(更新:)
ORICON NEWS
ホクホクからネットリへ、進化する「石焼き芋」の新潮流
人気低迷した過去も、技術進化で店内販売可能に
しかし、2000年以降、技術革新によって、室内でも焼きいもを販売できる機械が導入されると、スーパーなどでも通年で販売することが可能となり、人気も回復する。また、かつては、リヤカーやいわゆる焼きいも販売専用のトラックが主流だった“移動販売型”も若者にもなじみのある「フードトラック」に形を変えて、ゆるやかに“逆襲”しつつあるようだ。
神奈川県東部を中心に風情のあるフードトラック形式で焼きいもを販売している「こふく屋」の青木さんは、「昔から移動販売に憧れがあって」焼きいも屋をはじめたという。移動販売の中でも火器を載せて移動するだけに、許可や申請など焼き芋販売は、ハードルが高そうに思えるが、実際はどうなのだろうか?
オシャレなフードトラックという形式については「現代的にというつもりではないのですが、自分の趣味で作っていったらこうなっていました。ガツガツ商売したいというよりも、自分が好きなようにこっそりやりたいという副業のようなマインドでやっているので(笑)。女性や学生さんも近づきやすい感じでいたいとは思っていますが、まだまだ製作途中です」(同上)とのこと。
肝心の販売実績については、「寒い日の夕方が一番売れると思います。ひとつ200円から売ることもあります。客層は仕事帰りのサラリーマンやOLさん、学生さん、ファミリー層まで幅広いですね。意外と若い方も多いのではと思います。人数も増えているような気がします。SNSを見て来たよ、といってくださる方もたまにいます」(同上)というから、石焼きいも業界にも新しい風が吹きはじめているのかもしれない。
芋も進化? ホクホクからねっとり、スイーツ需要へ
一方、最近人気なのが、甘みの強い「ネットリ系」。オレンジっぽい黄色がかった「安納芋(あんのういも)」は、種子島の特産でここ数年でよく耳にするようになった。10月後半にしか仕入れられないという「紅はるか」は、甘いのに後味スッキリが特徴だ。
「若い方には紅はるかが人気です」(同上)冷やしてスプーンでも食べることも可能で、天然のスイートポテトのような味わいが若い層にもウケているようだ。焼いた際、蜜やいもカスが出るため移動販売では避けられていたが、スーパーでの販売がきっかけで一気にブームに。素朴な味の「ホクホク系」は小腹のすいた時のおやつとして、甘みを感じる「ネットリ系」はスイーツ感覚で、それぞれ人気を集めているようだ。
かつてからの「ホクホク系」から新種の「ネットリ系」まで、焼きいもも消費者の好みに合わせて多様化しているようである。