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(更新: ORICON NEWS

“コンビニコピー機”に新たな活路? “同人誌”制作、ヲタ活サポートの本気度

 今年8月、東京ビッグサイトで開催された世界最大規模の同人誌即売会『コミックマーケット94』(C94)は、猛暑にもかかわらず3日間で50万人以上を動員。その“同人活動”に一役買っているのが、意外にもコンビニのマルチコピー機。同人誌1冊を簡単に、イベント直前まで作ることができると話題だ。オワコン&ガラパゴス化しているイメージもあったコピー機の新しい可能性を、セブン‐イレブンでマルチコピー機を展開している富士ゼロックスに聞いた。

コンビニコピー機の新たな活路、オンラインを使った作品発表の場

 コピー機と言えば、学生時代は試験前にノートのコピーをとったり、社会人になってからも複合コピー機で資料作りをしたりと、いろいろとお世話になってる人も多いだろう。最近では家庭に小型の複合機があるのも当たり前になり、コンビニに設置されているコピー機を使ったことがないという人もいるはずだ。

 そんなコンビニコピー機だが、これまでのコピー機能・FAX・写真プリント以外にオンラインサービス(マルチコピー機)が利用できるようになり、可能性が大きく拡がった。

 消費者との懸け橋となったのが、2003年にサービスがスタートしたネットプリントだ。コンビニのコピー機でオンラインから登録したデータを出力するサービスで、写真、アニメキャラやアイドルのブロマイド、楽譜、地図などをプリントすることができる。このサービスを利用して、自分の創作物(イラストや写真、同人誌)などを出力して配布する同人活動が、新しいコンビニコピー機の使い方として主流になってきているらしい。

 かつては同人誌とは言え、きちんとした印刷業者に頼んで印刷・製本していたのであり、少部数のコストは割高で、大きな負担となっていた。それがコンビニのコピー機で出力できるようになれば、大幅に予算削減もできるし、大助かりである。さらにSNSの普及により、今ではネット上で創作物を発表する機会も増えているだけに、コンビニで出力する需要の拡大も期待できるだろう。

セブンのマルチコピー機、機能性に目を付け同人活動をサポート

 全国のセブン‐イレブンには、富士ゼロックス製のマルチコピー機が設置されている。2016年にセブンでは、同人活動を応援するサイトをオープン。サイト運営も行なっている富士ゼロックス社の商業営業部・高田義久さんは、立ち上げのきっかけをこう語る。

「同人誌即売会などに参加する人は、イベント当日間際までコピー本制作(イラスト制作など)を行なっています。もし近くのコンビニで必要部数を小冊子プリントできたら…コピー機の新たなマーケットを作れるのではと仮説を立て、セブン‐イレブンさんの協力の下、当サイトを開設しました」(高田さん)

 そもそもなぜ同人誌のマルチコピー機印刷にスポットを当てたのか。これについて高田さんは「高品質でのプリント、スキャン、小冊子印刷などの機能に加え、マーケットの大きさが魅力と考えました。サイトを立ち上げると反響が大きく、すぐにマーケットの大きさを実感しました」と振り返る。

 実際、サイトオープン後の稼働率も、「イベント前日、当日、イベント会場周辺店舗のプリントは通常月の約5倍の実績でした(※当サイト開設直後の2016年8月の『コミケ90』、および同年8月『COMITIA117』開催時の実績)」とのことなので、現実的にコンビニの「マルチコピー機×同人誌」の親和性は非常に高いと言える。

SNSでも大反響!イラストレーター全面監修だからこその機能性

 しかし、こだわりが強い同人たちにマルチコピー機がすんなり受け入れられたのは、その便利性だけではない。マルチコピー機のサイトは掲載内容も含め、全面的に人気作家の木野陽さんが監修をしている。

 木野さんの起用の理由について「どんなときにマルチコピー機がお役に立てるのかと考えた時、さまざまなジャンルがある中、同人誌作家万人に受け入れられそうな作風であること、またサイト監修自体へご協力いただけるとのことから、木野さんにお願いすることにしました」と高田さん。
 実際に使用したユーザーからも「直前まで制作に没頭できた」と、狙い通りの感想が寄せられているという。SNSでも、サイトについては「同人の味方だった」「コピー機使える」などの反響があったそう。今年のコミケ開催前後でもツイッター上でよくつぶやかれ、「同じ趣味を持ったサークルや横のつながりでの拡散は、大変うれしく思っております」(高田さん)という通り、非常に好循環に情報が広がっているのだ。

 同人誌の制作に限らず、「24時間365日稼動といったコンビニエンスストアの特性、およびスマホとの相性(アプリ)が最大のメリットと考えます」(高田さん)というように、いつでもすぐ近くで印刷・製本できることは、マルチコピー機のユーザーにとっては大きな魅力。また、モノクロ冊子で1部20円(表紙込み、4P)から、フルカラーでも1部100円(同)から印刷できるというのは、同人誌として販売しなくても、自分の創作物を手軽に残せるというロマンもある。

 こうして同人誌を取り巻く環境もどんどん整備されることで、日本で一番集客力のあるイベント「コミケ」もさらに大きくなり、主役の「同人誌」がサブカルチャーではなく“メインカルチャー”になる日も近いだろう。そして、その同人誌と全国規模で展開するコンビニが相乗し、没落するかと思われたコピー機にも、未来のデバイスとも言える新しい可能性が現われたようだ。

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