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意外と知らない“コンビニコピー機”の世界 驚くほどマニアな世界?

 誰もが気軽に利用し、もはや生活の一部になっているコンビニエンスストア。そんなコンビニにひっそりと鎮座するのがコピー機だ。かつてはテスト前などに学生が大挙して押しかけ、ノートを大量にコピーするなどという光景も見られ、家庭にプリンターがない人にとっては貴重な存在だった。だが、スマホやタブレットが普及された今ではプリントすること自体が少なくなり、コピー機自体の需要も低くなっているのが現状。その一方で、コンビニのコピー機はアニメやゲームの人気キャラ、アイドルなどのブロマイドから、地図や新聞といった生活に役立つものまで、その“コンテンツ力”を劇的に進化させているのをご存じだろうか? コンビニコピー機にはマニアックな魅力が秘められているのだ。

オンラインサービスの導入によりコピーだけじゃないコアな商品を提供

 コンビニが激増しはじめた1990年代、コンビニのコピー機と言えば、とにかくコピーすることがメインの目的だった。2000年代に入って、FAXを送ったり、USBメモリやSDカードに記録したデータをプリントしたり、紙媒体をスキャンしてPDFデータ化するなど、いくつかの機能が付加されていくのだが、大手コンビニエンスストアチェーン『ローソン』の担当者によると、大きく進化したのは2014年のことだったという。

 「2014年の春に、マルチコピー機を導入したのがはじまりですね。オンライン化をすることによって、それまでのコピー機・FAX・写真プリント以外のオンラインサービスが可能になったのです。狙いとしては、今までのコンビニのコピー機では提供できなかった、新たなデジタルなサービスを提供することとなります」(株式会社ローソン コミュニケーション本部 広報室 持丸憲氏)。

 実際ローソンでは、大ヒットしているアニメ映画『この世界の片隅に』や『ひるね姫』、アイドルグループ・でんぱ組.incのメンバーや人気コスプレイヤーのブロマイドを販売しており、店内のコピー機がプリントする形で手に入れることができる。またセブンイレブンでは、アニメ『おそ松さん』やゲーム『ユーリ!!! on ICE』など、人気キャラのブロマイド、ファミリーマートでも人気アニメ『ガールズ&パンツァー』やウルトラヒーローズのブロマイドを発売しているが、各社ともブロマイドのみならず、ペーパークラフト、占い、楽譜等々、およそこれまでの“コンビニコピー機”とはかけ離れた多くのコンテンツを提供しているのである。

大衆向けのコンビニがあえて“マニアック”を追求するワケ

 しかし、こうしたある種マニアックなコア層を対象にした手法は、大衆向けであるはずのコンビニの姿勢に逆行している感もあるが、果たしてどのような狙いがあるのだろうか?

 「通常、商品は店頭に並んでおりますので、ご来店いただければそれらの存在に気づいていただけますが、コピー機で販売しているコンテンツは、SNSなどの外部の告知を実施し、それを目当てに来店していただく必要があります。わざわざそのコンテンツを目的にご来店いただくためには、根強い人気のあるコンテンツを展開する必要があるのです。ターゲットはコンテンツにより異なりますが、おおむね10代〜30代の男女となります」(前出・ローソン担当者)

 確かにマニアックな層をコンビニに足を運ばせるには、かなり強力なコンテンツが必要になるのだろうが、アニメやゲーム関係では、先のコメントにもあるようにせいぜい10代〜30代までで、40代以降の中高年層にとってみればあまり“響く”ものではないだろう。昨年、マイナンバーカードがあれば住民票の写しや印鑑登録証明書など、各種証明書のコンビニ交付が可能となったことが話題になったが、中高年にしてみればコンビニプリントのメリットと言えば、それくらいではないだろうか。ところが、各社の競馬・競輪新聞などのプリントは、実は50代の“キラーコンテンツ”となっているとのこと。その他、カレンダーや地図、ナンクロなどのパズルのプリントなど、中高年向けの人気コンテンツもけっこうあるようなのだ。

他店にはない“マニアックさ”を各コンビニで展開 競い合うことで高まるコンテンツ力

 こうして見ると、コンビニプリントの世界でも各社し烈な競争をしているわけで、前出のローソンの担当者も、「店頭キャンペーンとの連動、グループ会社との連動(ローソンチケット・HMV・ユナイテッドシネマなど)、またSNSとの連動による告知を強みとしております。今後、強化していきたいジャンルとしては、コンサート、演劇のライブ写真、ブロマイド以外のペーパークラフト、メッセージカードなどがあります。また、楽譜や競馬新聞なども強化していきたいですね」と語るなど、各コンビニチェーンそれぞれコンテンツに特色を出しながら、しのぎを削っていることがうかがえる。

 書籍や雑誌などの紙媒体の衰退が叫ばれて久しいが、オンライン化が進み、こうしてさまざまなエンタメコンテンツを提供できるようになったコンビニプリントは、いわゆる“紙コンテンツ”の新たな地平を拓くものかもしれない。そして、コンビニのコピー機と“ご無沙汰”になっている人でも楽しめる、新しい媒体になる可能性も十分に秘めているようである。
(C)2017 ひるね姫製作委員会
(C)でんぱ組.inc 『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi 完備!& in 日本武道館 〜またまたここから夢がはじまるよっ!〜』
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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