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【大阪市】万博を前に路上喫煙の全面禁止 「喫煙所が足りない!」の声にどう応える? 府との連携、たばこ税収…賛否の中での奮闘
桜島北公園喫煙所
昼休みには喫煙所に行列、“市”と“府”の異なる喫煙ルールに懸念も
(イメージ)
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「昨年8〜9月にパブリックコメントを実施したところ、非喫煙者の方からは『一刻も早く路上喫煙を全面禁止にしてほしい』という意見がありました。一方で喫煙者の方からは、『一気に市内全域に拡大するのは時期尚早なのではないか』という意見も。ただ共通して、『喫煙所の少なさが路上喫煙を誘発しているのでは』『分煙環境の充実(ゾーニング)をしっかりしてほしい』という意見は多かったですね」(大阪市環境局 路上喫煙対策担当課長・楠本大介氏/以下同)
ちなみに、今年4月には大阪“府”の受動喫煙防止条例が、30平米を超える飲食店を対象に「原則屋内禁煙(罰則あり)」へと改正される。つまり、“市”の条例で路上喫煙が全面禁止になり、“府”の条例では喫煙可能な飲食店が少なくなるということ。大阪市の喫煙者は4月以降、外でも屋内でも吸う場所が限られるということになり、戸惑いの声は多い。
また市内の飲食店からは、「売上に及ぼす影響が大きい」「公共の喫煙所を増設してほしい」という声も。府と市で異なる喫煙ルールがほぼ同時期に施行されることに対しては、自治体の苦労も大きいようだ。まず市としては、第1弾ともいえる市内全域での路上喫煙禁止をスムーズに実施する必要に迫られた。
一部エリアでは路上喫煙率が10分の1以下に、求められた急ピッチな喫煙所増設
「たしかに当局にも、東京から来られた方から喫煙マナーに対してご意見をいただくことはあり、もっと啓発に力を入れなければいけないと考えています」
ただ、楠本氏によると、平成19年度より一部エリアで路上喫煙禁止を施行して以降、喫煙マナーは徐々に改善されてきているという。
「もともとの喫煙禁止エリアでの定点調査によると、平成18年度の路上喫煙率は2.57%でしたが、令和5年度には0.2%と10分の1以下になっています。ちなみにそれ以外のエリアでも2.3%から0.33%と、路上喫煙禁止エリアを設定したことにより、全市的に一定の効果が見られています」
1月27日以前までの路上喫煙禁止区域は、繁華街を中心に6エリア。しかしそれぞれに設置された喫煙所は全7ヵ所(6ヵ所+近隣1ヵ所)と、自治体の規模に照らし合わせてみても極めて不足していたのは否めない。これが市内全域まで広がるとなれば、喫煙所を増やすことが必要だったが、大阪市ならではの問題もあった。
「大阪市内、特に駅近は土地が少なく、喫煙所整備のネックとなっていました。ただ条例の改正を前に、大幅増設が急務だったのも事実。市の整備だけでは間に合わないので、民間事業者にもご協力いただくべく、設置費用100%の補助金制度を創設しました」
民間事業者からは、令和5年度には34件、令和6年度には84件の応募があった。加えて大阪市が整備する喫煙所と合わせて、1月27日までに約170ヵ所の公共喫煙所オープンを達成している。万博というデッドラインはあれど、これだけ急ピッチに事業を達成した大阪市の努力は認めたいところだ。