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推し活の必需品となったブルーベリー、「推しを応援する人をサポートしたい」老舗メーカーが”推し活ドリンク”に注力する理由
監修者 常盤薬品工業株式会社 ヘルスケア事業部 吉川綾美
2017年に入社。化粧品・ヘルスケアの営業を担当した後、2018年からヘルスケア商品企画を担当。以降、看板商品である『眠眠打破』リニューアルや『すや睡眠』『LIVE mater』などをはじめ、多数の商品企画開発に携わっている。
「推しのどんな姿も見逃したくない」上層部からの疑念を打ち返した“推し活”をする社員の熱意
「韓国アイドルの推し活をしている先輩が、ライブに行く際に、まわりのみんなが『推しの姿をよりよく見たい』という理由で、ブルーベリーのサプリを飲んでいるという話をされたことがあったんです。それをきっかけに、弊社は医薬品や食品の製造実績があり、ドリンクも強みにしているのだから、推し活をしている人の需要に合ったブルーベリーのドリンクが作れるのではないかと盛り上がっていきました」(ヘルスケア事業部 吉川綾美さん/以下同)
とはいえ、上層部からは「推し活ってそんなに流行しているの?」「本当にブルーベリーサプリが必要とされているの?」といった声も。その疑念を晴らし、開発への道筋を開いたのもまた、推し活の楽しさを知る社員の熱意だった。
「私も学生の頃から推しがいて、アリーナ席のすごく近い距離なのに、双眼鏡を使っているファンを見ていましたから、『推しのどんな姿も見逃したくない!』というファンの熱意は肌で感じていました。ブルーベリーのサプリメントが話題になっていることについても、推し活友達との情報交換の中で知っていました」
そんなエピソードとともに、推し活のためのサプリメントの市場の伸びや、推し活を題材にしたアニメの人気、メディアで推し活が多数取り上げられ市民権を得ていることなどを調査・分析し、上層部へ説明。開発への理解を得られたという。
その裏には、同社に根付くこんな考え方も後押しとなっていた。
「弊社では『カラダ・ココロ“トキメキ”創造企業』をコーポレートスローガンに掲げています。推し活をテーマにした商品ならば、お客様にその“トキメキ”も一緒にお届けできるのではないかという点も開発を推進するポイントとなりました」
こうして立ち上げたのが、“推しに捧げる愛を応援するブランド”「LIVE master」。その第1弾として送り出したのが、ビルべリー約100個分相当のブルーベリーエキスを配合した『LIVE master GEKIMI推し活エナジードリンク』だった。
「推し活をする人にエネルギーを!」味、パッケージ、成分…細部まで“推し活”の楽しさとワクワクを表現
「50mLという小さい瓶1本なので、入れたい成分も多く大変でしたが、研究担当とやりとりしてギリギリまで挑戦しました」
さらに “エナジードリンク”といえば、元気がないときやここぞというときにエネルギーを補給する飲料だが、同ドリンクが目指したのは、“推し活をする人にエネルギーを与えること”。そのため、ブルーベリーエキスだけでなく、クエン酸やビタミンB1、B2,B6も配合し、「推しのライブやコンサートを最後の瞬間まで全力で応援できることを目指した」という。
ドリンク剤にしたのは、コンサートやライブの前の貴重な時間に手軽に飲めることを考慮してだが、さらに味にも推し活の醍醐味をわかっているからこそのこだわりが盛り込まれている。
「炭酸が苦手な方やカフェインの摂取を気にされる方もいらっしゃるので、すべての世代の方が飲みやすいように、ノンカフェイン、ノン炭酸。そして、何よりのこだわりは味にあります。推しに会ったときのトキメキを味で表現したくて、少しピリッとした刺激感を出せないかと考えました。ピリッにはカプサイシンっぽいものや山椒っぽいものなど様々な種類があるので、ドリンクで演出するのはどのピリッがいいのかには非常に苦心しました。また、飲んだ後、これから推し活を頑張るぞと思えるよう、味に余韻を残したいとも考えて、癖のある味や存在感も意識しました。この仕事に就いてから、私史上、一番試作を重ねました(笑)」
「目が合った! 絶対私と 目が合った」名作誕生の“推し活川柳”、専用商品だからこその宣伝方法
推し活といってもそのジャンルはアイドル、アニメ、スポーツ等々、多岐にわたる。同ドリンクも、「アイドルやアーティストのライブだけでなく、観劇やミュージカル、お子さんやお孫さんの運動会や学芸会や文化祭など、大切なこの瞬間、見逃したくないあらゆる推し活の瞬間にぜひご活用いただけたらと思います」と吉川さん。
推し活をする人にとって、気になるのはドリンクを飲むタイミング。ドリンク自体は、清涼飲料水なのでどのタイミングで飲んでも問題ないというが、社内ではライブ当日は荷物が多くなりがちなので自宅で飲んでから会場に向かう人と、会場で飲むという人に分かれているそうだ。
「コロナ禍を経て、オンラインでのライブが定着し始めていますが、それであれば、地方にお住まいの方や高齢の方などコンサートが開かれる都市部に出づらい方々も自宅で楽しめます。そのように、推しと会えるイベントのあり方や“推し活”は、今後ますます多様になっていき、推し活市場はさらに拡大すると予想していますので、弊社としては、“推しに捧げる愛を応援するブランド”であるLIVE masterにおいて、今後も尊い時間をサポートできるような商品展開のラインアップをしていきたいと思っています」
LIVE masterからは今後第2弾の新商品も検討中とのこと。推し活をより楽しめるアイテムが増えそうだ。
(取材・文/河上いつ子)