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【野村不動産ホールディングス】空前絶後3,000人のお引越し大作戦、“昭和”なオフィスからおしゃれフリーアドレスへ…おじさんたちはどう変わる?
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トライアルオフィス、A・B区画の様子
オフィスの変化がおじさんを“スーツの呪縛”から解き放つ? グループの一体感も生まれた
ミーティングもしやすいA・B区画のブース
「若い社員は比較的順応は早かったのですが、目の前に上司がいないことで、まめに“報連相”を行う、結果を出すなど自立した行動の必要性を自覚したという声が寄せられています。一方で年配社員は、部下や若い社員が順応していく姿を見て、これから長く働く若い社員のため、会社のこれからのために必要だったと、多くの方が認識した印象です。その結果、2巡目のトライアルでは、フリーアドレス(グループアドレス)でどうチームビルディングするか、前向きに検証いただけていますね」(春日さん)
また、副次的なものではあるものの、とくに管理職や年配社員には興味深い変化が起こった。“服装の自由化”が進んだことだ。
「新宿オフィスでも服装の自由化は導入されていましたが、なかなか浸透していなくて。どうしても、“島型オフィスでスーツに白シャツ”という形から抜け出せなかったんです。それが、オープンな雰囲気のトライアルオフィスに来てみたら、なんだかスーツだと浮いてしまう、ポロシャツやTシャツの方が馴染む…と。それで『スーツを脱いでみよう、形から変えてみよう』という人が増えた気がします。役員もスーツではない日が多いので、それを見て年配の社員もカジュアルな服装で来られる方が多くなりました」(林田さん)
まさか、オフィスの変化がおじさんたちを“スーツの呪縛”から解き放とうとは…。もちろん、それ以外の懸念点「グループの一体感の創生」にも、フリーアドレスは寄与した。
「フロアが多数階に分散していた新宿と違い、執務空間を共有することによって、今までWEB会議のアイコンでしか見たことのない人に実際会ったり、働きぶりを見聞きできるようになったという声が非常に多くあがっています。顔見知りが増え、組織を超えた協業が必要になる際にスムーズになったとの意見も聞かれました」(橋本さん)
フリーアドレスというと、とかくベンチャーやIT、外資系の企業に向くと考えられがちだが、同社の話を聞いていると、大企業や歴史ある企業においてもメリットは非常に多いことがわかる。
約75%の社員が「移転に前向き」、働き方や他部署連携を考えるきっかけに
手応えを感じるプロジェクトチームの3人
また、約75%の社員がトライアルを通じて「移転に前向きになった」「働き方を変えようと思った」とも回答。2巡目を実行中の今、「総じて社員の本気度が高まっている」そうで、春日氏は「トライアルがないまま移転していたらと想像すると、ゾッとします」と苦笑いする。
「移転までの3年間、予算と労力をかけてでもトライアルオフィスを設置するという決断に会社の本気度を感じましたが、様々な変化や効果を得ている今、英断だったと実感しています」(春日さん)
もちろん今後もまだまだ課題はあり、「移転がゴールではない」という。
「様々な部署と連携して進めてきて、それはトライアルや移転が終わっても残るもの。会社の進化や成長を考えるとき、こうした組織をまたいだ繋がりは非常に大事です。働き方や他部署との繋がりなど、今後もソフト面に軸足を置いて注力したいと考えています」(春日さん)
また、今回得たノウハウは同社にとどまらず、どんな企業にでも活用できそうだ。トライアルオフィスを経てつかんだ成功も失敗も、自ら経験したリアル。物理的な面だけでなく、社員の意識醸成にまでつながるならば、とても大きな価値となる。
「会社ごとに課題や目指すところは違います。ただ一つ言えるのは、オフィス環境や社風を変えるのは会社にとって非常に大きなプロジェクトであるということ。経営も含め、どれだけ全社的に取り組めるかが鍵になります。我々はオフィスビル事業者でもあるので、自ら本社移転で培った経験やノウハウを通じて、移転やオフィスに悩みを抱えるお客様に対して、よりお役に立てるようになったと感じています。ぜひお気軽にご相談いただければ(笑)」(春日さん)
新本社への移転は来年夏。トライアルオフィスよりはるかに規模が拡大する新たな環境で、社員たちがさらにどのような意識変化を起こし、新時代の働き方を実現していくのか。その行く末は、多くの企業にとっても参考になるはずだ。
(文:河上いつ子)