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横行する「盗撮」に警鐘、子ども連れや海外の人も…「自衛だけでは守りきれない時代」

 世界から注目されている日本のコスプレ文化だが、撮影側と被写体側の相互理解と意思疎通ができてこそ、いい写真が生まれるというもの。そこでコスプレイヤー兼カメラマンである、ちぇるしーさん(@biscotti716)がX(旧Twitter)に「撮影する時に気を付けてること」を紹介し、反響を呼んだ。投稿した意図や、一般人でも気を付けるべきことなど、ちぇるしーさんに話を聞いた。

両方やっているからこそ、撮影時に理解しにくいポイントがあることを身に持って感じてていた

 ちぇるしーさんが「撮影する時に気を付けてること」として、「写っている範囲は必ず言う」「数枚撮っては見せて確認を繰り返す」など具体的な内容を投稿。これに対しSNSでは「本当に参考になります」「レイヤー視点で考えてくださるカメラマン希少すぎだし、全部共感でしかない」など、数々の賛辞が書き込まれた。
――「レイヤー兼たまーにカメラマン的な自分が誰かを撮影する時に気を付けてることを挙げてみた」という投稿は、多くの反響がありました。反響への感想を教えてください。

「まず率直に、これほど多くの人に見て頂くと思っていなかったので驚きました。いいねの数に対して、ブックマーク率が非常に高く(約半数ほど)、撮影に対する向き合い方を色々考えたりしてもらうきっかけになれたのかなと思います」

――印象に残ったコメントはありますか。

「かなりの数の方が『これやってもらえると助かる』『凄く解る』と、共感の意見を書いてくれていたのが印象的です。『自分も次からやってみよう』など、ポジティブな意見もとても多く、それも嬉しかったです。もちろん『自分にはマネ出来ないからカメラマンにはなれない』といった意見も中にはありましたが…。ただそもそも、個人的なやり方を挙げただけで【こうやった方がいい】という意図はなかったので、文字情報だけで伝えるのは本当に難しいなと感じます」

――なぜ、今回の内容を投稿しようと思ったのですか?


「単純に自分が書き出すことで、誰かの役に立ったり、何かに気付くための『ヒント』になれたらいいな、と思ったからです。コスプレイヤーとカメラマン、どちらの立ち位置としても中途半端ではあるのですが、だからこそ気が付けたり、わかることはあるんじゃないかと。片方しかやってないと、理解しにくいポイントがあるのを、今まで身を持って感じてきたので、改めて書き起こしてみたという具合です」

“盗撮行為”が蔓延る昨今…自衛だけでは守りきれない?

――昨今、レイヤーさんに声掛けもせず、無言で撮影するいわゆる「盗撮」行為が横行していると感じます。ちぇるしーさんは、レイヤー・カメラマンどちらも活動されていますが、このような行為は多いと感じますか?

「例えば10年前と比べて増えた減った、というのは自分では体感しにくいですが確実に【ある】というのは言えます。そして決して少なくないと…。悲しい事態ではあるのですが、事実として盗撮行為は行われていると感じますね。盗撮している認識がある・ない、悪意や個人の欲望を持っている・持っていない、など様々なタイプがあると思います」

――そうですね。

「コスプレイベントの多くが街や商業施設などで開催される以上、イベント外の一般の方が悪意なく撮る(興味本位・物珍しさなど)ことは、完全には避けられないと思います。もちろん一般社会において、他人を許可なく撮るのが駄目だというのは認知されているはずなので、よく考えればそれが盗撮にあたるのはわかることではあります。

ただ小さなお子さんを連れた家族などで、お子さんが好きなキャラのコスプレだったのでつい撮ってしまった…なんてパターンだったりすると、気持ちとしてはとてもわかるし、強く注意するのも難しいとも思いますね…。海外の方も大変多くいらっしゃって、海外の方から見れば、コスプレは正にジャパニーズカルチャーなわけで撮りたくもなるでしょうし。だからと言って全てを容認は出来ないので、イベント主催側、参加者、コスプレ業界全体で【声掛けや許可無き撮影はご法度】というのを、ひたすら周知していくほかはないのかなと個人的には考えています」
――もし明らかに“悪意を持った撮影”をしている、と感じた時はどうするべきだと感じますか。

「もちろん、その場での注意や確認はするべきです。特にそういった行動を起こす人は、年齢が若く撮影経験が少ない、初心者的なレイヤーさんを狙う傾向が高めだと感じています。そして未成年や経験の少ないレイヤーさんなんかは、仮に盗撮に気付いても怖くて何も言えないパターンがあると思います。

なので盗撮を防ぐことと並行して、周りのある程度年齢を重ねたレイヤーさんやカメラマンさんが、ちゃんと助けてあげられる環境を作ることが大事なのだと思いますね。兎にも角にも自衛がまず大事、なのは正しいと思いますが、自衛だけでは守りきれない時代に変わってきていることも、頭に入れておくべきと考えています」

“ルールや正解はない”からこそ、「コミュニケーション」を取ることが大事

――コスプレイベント等だけではなく、街でも盗撮をされたことはありますか。

「自分自身が盗撮されたというのは普段感じたことはないです。これは自分が男性、中年だからというのが大きいと思いますが…。直接の盗撮はなくても、最近は動画撮影や配信をされながら歩いてる人も多いので、そこに写りこむのは抵抗がありますね」

――黙って撮影してしまう人へ伝えたいことはありますか。

「黙って撮影する人の中には単純に【素敵だな】【いいな】と思って撮る人もいると思います。ただ撮られる側にはそれは一切分からなくて、不信感や恐怖しか芽生えません。犯罪行為は元からダメですが、そうでなかったとしても一声かけてみるか、キッパリ撮るのを諦めるかにした方がいいと思います。

現代は一声かけることすらリスクのある時代ですし、とにかく初めから撮らないのが一番だとは思いますが。隠し撮り、ではなく【盗撮】です。相手のプライバシーや肖像権を【盗んで】いる=裁かれる可能性がある、ということをもっと自覚すべきだと思います」

――レイヤーもカメラマンも気持ちよく撮影をするために、ちぇるしーさんが一番重要だと感じることはなんですか。

「『相手の気持ちになって考える』『独りよがりになって押し付けない』。この2つを頭に置いて【コミュニケーションを取る】ことだと思います。冒頭でも答えましたが、色んなやり方があって、然るべきでルールや正解はないんです。自分の中でのパターンや行動規則を作っておくとどんな環境でもあまり迷わず動けるというだけで…。自分で決めたやり方でも、当然相手によってフレキシブルに変えていきます。

それと、よく相手を観察すること(心理や内面を特に)。結局撮影と言っても人と人とのやり取りなので、顔が相手を向いていても気持ちが上の空では些細な変化や行動に気付けないんですよね」

――すごく気を付けていらっしゃるんですね。

「イベントで初対面、などでは難しい面ももちろんありますが出来る限り『言葉』を多くして、わかりやすく伝えるのが大事だと思います。行間を読む、空気を読む、なんてのは気心知れた関係ですら上手くいかない時があります。撮影の時にしか会わない、なんて関係ならなおさら難しいはず。

だったら『ちょっと丁寧すぎかな?』と思うくらいにしゃべって、伝えることから始めていいと思います。そこから相手に合わせて、省けるところは省いたりすればいいと思います。なので人との繋がりを意識して、そこも楽しめる撮影というのが個人的な理想です。コスプレ業界は、様々なイザコザやトラブルが毎日のように見受けられます。携わる人達(自分も含めて)がみんな気持ち良く安心して、笑顔で楽しめるようになったらいいなと願っています」
ちぇるしー

お話を伺った人 ちぇるしー

X:@biscotti716
Instagram:@bisco716

▼作品展示情報
富士フイルム主催 “photo is”あなたが主役の写真展2024
9月13日(金)〜9月16日(月・祝)
グランフロント大阪

「笑顔になる瞬間」部門
作品No. DS21013
作家名 chelsea
作品タイトル 『そうさ We are challengers』

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