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【医師に聞く】「花粉症おさまった…」と安心してる場合じゃない、来春を快適に過ごすための治療は今がチャンス
花粉をあえて接種する治療? 今始めれば来春の症状を緩和できる
「簡単にいえば、あえてアレルギーの原因物質を先に体内に取り込み、治療していくという方法です。適切な表現ではないかもしれませんが、この場合は花粉をあえて接種する治療。抽出された花粉のエキスが薬の錠剤となっていて、それを舌の下に1日1回、投与する。これを継続していくことで体が花粉に対して慣れてきて、いずれは克服していくという治療になっています」
――インフルエンザワクチンにように、先にウイルスを投入して免疫を作り、予防するような方法でしょうか。
「もちろん全く治療方法は違いますが、おおまかな原理は一緒ですね。舌下免疫療法は、その症状を止めるという一般的な花粉症の薬と異なり、発症しないよう根本から治していくという治療法になります」
――つまり、花粉症の症状自体が出づらくなることが期待される…?
「おっしゃる通りで、WHO(世界保健機関)からもその明確なデータが出ております」
――治療を始めてどれぐらいで効果が出始めるものなのでしょうか。
「早い方は数ヵ月、できれば1年以上。3年前後続けると、さらに克服が期待されます。ただまだ新しい治療法なので、20年後に花粉症がぶり返すかどうかいうと、まだそのデータはありません。ただし現状では、舌下免疫療法を行うことで明らかに花粉症の症状は抑えられます。療法中に症状が出ても、花粉症の薬を併用しても問題はないので、花粉症の方にとって舌下免疫療法は有力な選択肢と言えます」
スギ花粉の飛散が収まった6月、今こそが治療の開始どき
「推奨は前年の6月以降になります。というのは、花粉は5月頃まで飛んでいるからです。GW明けから始めるという先生もいらっしゃいますが、私は基本的には花粉の飛散がない、5月後半ないし6月から始めることをお勧めします」
――その根拠とは?
「スギ花粉飛散時期はスギ花粉に対する感受性が高まっていることが多いため、治療の開始時期はスギの飛散が収まった頃が望ましいです。簡単に言うと、副作用が出やすいという報告があるということですね。舌下免疫療法は効果が1ヵ月以内に期待できる治療ではないので、花粉が飛散している間に開始することはメリットが小さく、デメリットが大きいと言えます。ゆえに、花粉に暴露していない5月後半から6月以降が推奨期間となっています」