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「完全にイラストです」SNS絶賛の“箱絵グフ”、驚くべき観察眼で発見した「作者からの隠されたメッセージ」

グフをモチーフにした理由「誰もが簡単に手に入る物を使って、あっと驚くものを作る」

――『グフボックスアート再現』が、多くの賞賛を受けました。今どのように受け止めていますか?
前多ミライ多くの方から賞賛の声を頂き、本当にありがたく感じております。なかでもとてもうれしかったのは「まさにアートですね!」という言葉でした。私の中で、プラモデルの「箱絵」は、ただのイラストではなく「ボックスアート」という“アート作品”だと思うのです。私の塗装方法は「絵の具」を使い「絵画的」な仕上がりを意識しているので、この言葉でほめてもらえたのは、本当にうれしかったです。

――見事な完成度ですが、制作のきっかけを教えてください。
前多ミライここ数年、ガンプラが品薄でどこにも売っていない、手に入らないという状況が続いていました。オークションサイトに出品されても、どれも高値でとても手が出ない。最近ようやく改善されてきて、少しずつではありますがお店の棚にガンプラが並び始めました。そんな状況の中で「今自分が出来る事は何か?」と考えて思いついたのが「今現在、模型屋さんに並んでいるキット(誰もが簡単に手に入る物)を使って、あっと驚くものを作る」ということでした。

――ガンプラ転売問題への警鐘がテーマとしてあったんですね。作品を発表された9月2日“グフの日”も視野に入れて、グフを選ばれたのですか?
前多ミライグフについては、ガンダム好きなら誰しもが知っている人気の機体だという知識はあったので、先ほどのテーマにピッタリだと思いました。

“細かすぎるこだわり”に込めた伝えたい思い「制作前に少し、箱絵を眺めると一層愛着が沸く」

――前回「ドム」の取材時に、特に箱絵の「光」をどう表現するか、色へのこだわりをお話していただきました。本作では、「色」についてどのようにこだわったのでしょうか?
前多ミライグフは一見、青だけの機体に見えますが、実際の箱絵で「純粋な青」はほんの少しだけ。グレーに青や紫を混ぜた色だったり、限りなく黒に近い青色だったりと、その種類は無限に思える程でした。

――アンミカさんの「白って200色あんねん」じゃないですが、青もこだわりだすと深いんですね。
前多ミライはい。箱絵を良く観察して見つけた色を、実際に絵の具を混ぜて作リ出すのが本当に大変でした。また今回は、派手な発光表現はされておらず、唯一モノアイだけがピンクに光っています。そこが、パッと箱を見た際に一番目を引く「アイキャッチ」の役割だと感じたので、しっかりと絵の具の塗装だけで発光しているように見えるようにしました。

――観察から、それを忠実に再現することがいかに難しいかを考えさせられますね。
前多ミライ観察という意味では、箱絵をよく見ていて、ワクワクした部分もありました。

――それはどこですか?
前多ミライ箱絵をよく見てみると、肩アーマーに頭部の動力パイプが反射して映り込んでいる様子が描かれていました。それに気が付いた時は、このボックスアートの作者である森下直親先生(ドムと同じ作者)からの隠されたメッセージを発見したような気分になり、すごく興奮し同時に「絶対に塗装で再現したい!」と感じ、その部分の塗装にはすごくこだわりました。

――ここまで細かい部分にこだわるのには何か理由があるのですか?
前多ミライ実は私がこの部分にフォーカスしたのには、皆さんに伝えたいことがあったからなんです。普段何げなく目にしているプラモデルの箱にも、じっくりと観察してみると今まで気が付かなかったことや、イラストレーターのこだわりを発見できたりするんです。せっかく手に入れたプラモデルですので、作る前に少しの時間、箱絵を眺めるとより一層愛着が沸くのではないでしょうか。

――こだわり抜いた結果、行き着いた境地ですね。ちなみに本作において、苦労したところはどんなところですか?
前多ミライヒートロッド(右腕から出ているムチのような武器)の工作です。キット付属のヒートロッドは短くて、どうしてもボックスアートのような形にはならないので、一から作る必要がありました。最初に作った物は、アルミ線を芯にしたため、やわらかく形を保てずに垂れ下がってしまいボツになったりと、何回も試行錯誤し、長くても形を保てる太い真鍮線を使い、やっとあの形になりました。

SNS時代で変化したガンプラの技術伝承「模型界隈の全体のレベルが上がっている」

――こうしたご自身の制作と合わせて、その制作の工程を公開するYouTubeチャンネルも開設されました。これにはどのような思いがあるのでしょうか?
前多ミライ私が一番よく頂く質問は「どうやって塗装するのか?」です。単純に、皆さん興味があるのだなと感じました。私の塗装方法は、口頭や文章では伝わりにくい「感覚」の部分が多く、「だったら百聞は一見に如かずで、YouTubeにしたらいいのでは?」という思いでスタートしました。

――かつては、本などでしか入手できなかったガンプラのカスタム技術や手法が、前多さんのようなモデラーさんがSNSなどで公開することによって、ガンプラ界全体のレベル向上につながっていると思います。ガンプラが誕生して40年あまり、こうした技術が受け継がれていくことに対し、どのように考えていますか?
前多ミライ展示会で感じたのですが、若いモデラーさんがたくさんいて、皆さんそれぞれ、古くからある技法を取り入れつつも、今の時代ならではの新しい技術を上手にミックスしています。その様は見ていてとてもスマートで、新しい時代の流れのように感じます。
 情報がなかったころは、伝承される技術も限られたものだったのかもしれませんが、今はさまざまな技術の中から自由に好きな物をチョイスして、ミックスして楽しむという時代になったのかなと思います。そして、模型界隈の全体のレベルが上がっていると感じます。

――前多さんはレベル向上の一端を担ってらっしゃると思います。話を戻しますが、前作のドム、本作のグフを制作されたことで「箱絵」への思いはどうなっていますか? また、改めて「箱絵」の魅力をお教えください。
前多ミライ約1年ほど、箱絵再現をテーマにプラモデルを作ってきました。今の私にとって箱絵は「教科書」であり「問題集」です。先にもお話した通り、箱絵を観察しているとふと「なぜ、ここはこの色なんだろう?」「なぜ、ここが光っているんだろう?」という疑問にぶち当たる時があります。作者に質問して答えを教えてもらえる訳もないので、自分で考えるのですが、結局答えも箱絵の中にあります。
 広い視野で見てみると「背景にある物が反射している色」だったり「手にもった武器の発光が反射した色」だったりといろいろな情報が見えてきます。それは全て作者の頭の中で想像された物ばかりで、その発想は本当に尊敬に値するものばかり。それが箱絵の魅力だと思います。

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