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“乾太くん”SNSで人気もなぜ普及率約2%弱? 国内でのガス乾燥機定着が出遅れた背景とは

 ガス衣類乾燥機「乾太くん」がSNSで“乾太さま”と崇められている。これは「乾太くん」を導入したあるご家庭が、「生活のすべてが変わった。とてもじゃないが"乾太くん"なんて失礼な呼び方はできない」と称えた投稿に「我が家もです!」と共感が集まり、ネットミーム化していった現象だった。性能良し・コスパ良し、しかしガス衣類乾燥機の導入ハードルは高く、その高評価とは裏腹に全国普及率はまだ約2%弱。一方で地域によっては、普及率15%超を達成しているらしい。乾太くんのさらなる普及に向けた打開策をリンナイに聞いた。

2017年以降SNSで注目され売り上げ伸長 1992年発売以来顧客満足度は95%をキープ

 リンナイが製造・販売するガス衣類乾燥機「乾太くん」が、2018年以来、毎年2ケタベースで販売台数を伸ばしている。そもそも乾太くんは1992年発売のロングセラー商品。それが近年になって脚光を浴びているのはなぜか。

「やはり生活スタイルの変化が大きいでしょう。共働き家庭が増え、洗濯を夜にしたり、週末にまとめてするのも一般的になりました。加えてSNSの口コミも後押しとなりました。もともと『乾太くん』は発売以来、お客さま満足度95%を下回ったことのない高評価商品なのですが、実際に使っている方の実感がSNSで可視化されるようになった2017年頃から売上ペースも伸びています」(リンナイ営業本部次長・伊藤敬一さん/以下同)

 その性能の高さからSNSでは“さま付け”で崇められている乾太くん。家庭用の衣類乾燥機には電気式とガス式があるが、ガス式の魅力はなんと言ってもパワフルな乾燥力と仕上がりのふんわり感だ。
「新入社員だった30年ほど前から『乾太くん』の開発に携わってきましたが、当時からこだわってきたのは洗濯物の容量×10分。5kgだったら50分、8kgだったら80分で乾くということで、これは電気式の約3分の1です。時短が求められる近年は、このスピード感も注目していただいているポイントです」

 さらに光熱費が電気式より安く、家計にも配慮。そんな家庭の救世主「乾太くん」だが、既築の一般家庭への導入ハードルが高いという難点もある。

「『乾太くん』はガス式ですので、設置場所にガス栓が必要ですが、洗濯機の周辺にガス栓があるご家庭は日本ではまだまだ少ない状況です。また乾太くんのスピード感とふんわり仕上がりの秘訣は“排湿”。衣類から出た湿った空気を外に排出する管を設置するために、壁に穴を開ける必要があるのですが、これも導入のネックになっています」

ガス乾燥機普及を阻む課題 既築の一般家庭への導入の難しさと海外とは異なる根強い“洗濯観”

 かつては松下電器(現・パナソニック)もガス衣類乾燥機を手掛けていたが、2007年に撤退。リンナイ製の「乾太くん」は、国内で購入できる唯一のガス衣類乾燥機となっている。

「衣類乾燥機の普及が日本で遅れたのは、“天日干し文化”が根強いのも理由の1つだと考えられます。一方、海外では景観に配慮して、外干しが禁止されている地域もあり、衣類乾燥機も多く使用されています。弊社では90年代より海外に輸出しており、日本国内でもいずれ普及するだろうとの思いもあって、ガス衣類乾燥機を継続する判断に至りました」
 そんな日本でも花粉やPM2.5などの問題から「外干ししたくない」という需要も増えている。SNSには「新築を建てるなら、洗濯機置き場にガス栓と排湿ダクトを!」と乾太くんの布教に努める声もあり、また「我が家はオール電化なので、乾太くんのためだけにLPガスを導入しました」というガチ勢も見られた。

 一方でリンナイも乾太くんの普及拡大のためにさまざまな施策に取り組んでいる。

「ハウスメーカーさんやマンションデベロッパーさんなどと連携し、物件の設計段階からガス衣類乾燥機を設置しやすいように取り組んでいます。戸建てや分譲マンションはもちろん、近年は“「乾太くん」付き賃貸物件”にも力を入れています。『乾太くん』は『一度使ったら手放せない』という評価をいただくことも多いので、若い頃に『乾太くん』のある生活の良さを実感し、長年のファンになっていただけたら、というための取り組みです」

 中でも高温多湿な沖縄県は乾太くんの普及率が約15%と日本で最も高い。賃貸住宅の検索サイトに“ガス衣類乾燥機付き”というチェックボックスがあるほど主流になっている。

「『乾太くん』があるだけで入居の申し込み率も格段に上がるということで、オーナーさまにも喜ばれています。近年はそうした流れが九州・四国にも波及しており、今後はさらに全国に広げていきたいと考えています」

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