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“離婚”に踏み込めない主婦の助け、弁護士費用の立て替えも…最近耳にする『法テラス』とは?

  • 法務省が所管する国の機関が『法テラス』

    法務省が所管する国の機関が『法テラス』

「不倫した夫に慰謝料を請求したい」、「多重債務で生活が苦しい」など、様々なトラブルの相談が寄せられる法テラス。離婚や借金、相続だけでなく、最近は“旧統一教会問題”を機に、「不安を煽られて高額な商品を買わされた」「高額な献金をしたけど返金してほしい」といった悩みに対応する「霊感商法等対応ダイヤル」が開設されたことも話題を集めた。多くの人が日々、様々な“法的トラブル”に遭遇しているが、そもそもどこの誰に相談すべきなのか、弁護士や司法書士に依頼した場合の費用の心配もあって、途方に暮れることもあるだろう。そんな悩みを受け入れ、解決への道筋をガイドする機関が、法テラスである。

「夫と離婚したい…」パート主婦の相談も、利用者の半数以上が“女性”

  • 『法テラス』サイトより

    『法テラス』サイトより

 最近よく耳にする「法テラス」とは、法務省が所管する公的な法人であり、問題や悩みを抱える人にとって、司法との最初の接点となる場所のひとつである。

 たとえば、全国対応のコールセンターである法テラス・サポートダイヤルに相談すると、内容に応じて、弁護士会・司法書士会、日本労働弁護団、日弁連交通事故相談センター、消費生活センターなど、連携する各種の専門機関などへの案内がなされる。このダイヤルに限らず、法テラスに相談をすると、まずはトラブル内容の確認・整理と、それに応じた情報提供が行われる仕組みになっている。

 最新の『法テラス白書』(令和3年度版)によれば、サポートダイヤルへの相談内容で最多の分野は、コロナ禍も影響してか「金銭の借り入れ」が17.5%、次いで「男女・夫婦」が13.6%。男女別にみると、特に男性には金銭の借り入れ問題が、女性には男女・夫婦のトラブルが多く、全体における女性利用者の割合は52.9%だった。

 「夫と離婚したいけれどご自身はパート収入のみで、将来的な生活のイメージも難しく、子どもの親権の行方も気になって動けない、といった不安を抱えた方も多くおられます。私たちは、その相談の背景にある不安はどのようなものなのかを見極めながら、たとえば地域行政にはこのような支援があるとか、こういう公的な機関から一時的な支援金が支給されますよ、といった情報を提供することで、少しでも不安が解消されるお手伝いを行います。」(法テラス・本部民事法律扶助第一課職員)

暴力を受けた直後だと泣きながら電話する人も…「その方にとって人生の重要なターニングポイント」

 性犯罪なども含め、ケースによっては「犯罪被害者支援」の枠組みを使うこともある。相談者のなかには、問題の深刻さに無自覚な場合なども散見されるという。

 「離婚と債務のトラブルを同時に抱えて、更に日常的な暴力を受けているのに気づけず、男の人はこういうものだから、と思い込んでしまっているケースもありました。他の公的機関の方から法テラスに相談したら、と促されてお電話をくださって、そこで初めて、自分が深刻なDV被害にあっていると認識できた。その方の場合、ご自身の債務もあったり、離婚後の親権のこともあったり、更にお子様にも虐待が及んでいたり。問題がかなり複合的で、深刻に困っておられました。法テラス経由で弁護士に無料で法律相談をして、離婚と債務整理などを行い、諸費用は分割で現在、返済いただいています」(法テラス・本部犯罪被害者支援課職員)

 法テラスでは、「収入等が一定額以下であること」など一定の基準を満たしていれば、調停や債務整理、裁判などにかかった費用を立替えてもらえる仕組みが整備されている。その費用は、月々の分割返済となり利息もかからない。

 「泣きながら電話してこられて、暴力を受けた直後だと打ち明けてくださる方もおられます。時間がかかっても、まずは丁寧にお話をうかがって、こちらに何ができるかを考えることを心がけています。いくつもの気持ちの上でのハードルを乗り越えて電話してくださっているわけですし、その方にとっては人生の重要なターニングポイントかもしれない。できる範囲で配慮しながら対応を行っています。まずは、ご自分が困っている問題や巻き込まれていることが法的トラブルかも、と認識していただくことが大事だと考えています」(前出・本部民事法律扶助第一課職員)

 DVからの緊急避難用シェルターなどの紹介も含め、外部のさまざまな支援窓口など、可能なかぎりの情報提供が、日々実施されているという。近年よく耳にする、離婚後の“養育費の滞り”も、「第三者からの情報取得手続」という仕組みを用いて裁判所経由で銀行口座や勤務先情報などを追跡し、差押手続きなどを行えるようになってきており、以前よりも法的な体制は整いつつあるという。

相談者の8割以上が女性…「DV被害の悩み」、このほか「職場のパワハラ」、「ネットの誹謗中傷」の相談も増加傾向

 法テラスでは、法的な悩みを気軽に相談できる窓口だという認識をより広めるために周知の取り組みを続けている。近年ではウェブ動画なども活用して幅広い世代へのアプローチを行い、特に若年層に向けては、各教育機関などの協力のもと、啓発ポスターの掲示なども積極的に行っている。

 「コロナ禍で明らかに増えたのはDV被害に関する相談で、その8〜9割近くは女性からの相談です。また、個人事業主の方が金銭的に苦しくなって、という相談が多くなった印象もあります。債務にまつわる相談は、開設当初からずっと3〜4割くらいを占めていますが、そちらは男性からの相談が多い傾向です。また、さまざまな働き方改革の影響からか、最近では未払い賃金やパワハラといった労働にまつわる相談や、ネット上の誹謗中傷に対する問い合わせも増えてきています」(前出・本部民事法律扶助第一課職員)

 例えば「外国籍の人が多い地域」、「生活困窮世帯が多い地域」というような地域の特徴によって、求められる相談のニーズにも違いがあるが、法テラスは、すべての都道府県に地方事務所を有しており、可能な限り柔軟な対応を行っている。また、大規模災害の発生時には、被災者専用の相談窓口を設けるなどの対応も行っている。法律についての身近な駆け込み寺と呼ぶのはたやすいが、日々の法改正や社会の変化に即応していくことが常に求められる機関だ。今回取材した法テラスの職員の方々が異口同音に認めるのは、「解決しました、ありがとう」と相談者が落ち着いた様子を伝えてくれる際の安堵と達成感が、業務のやりがいにつながっているということ。

 「目の前の状況に絶望してしまって、法テラスに相談してみるという選択肢すら思い浮かばないような状況にある方々に、どうやって寄り添えるかを常に考えていくしかありません」(前出・本部犯罪被害者支援課職員)

 日本で「法律相談」はまだまだ浸透していない印象。しかし、たとえば更なる少子高齢化の加速で、これまで親族や関係者の間でウヤムヤに処理されてきたような事柄にも、成年後見人制度のような法的な介入が必要となるケースが増えてくることが予想される。様々な法的トラブルに遭遇した場合、どんなアクションを起こすべきか。「知識を武器にする」という意識も、重要なのかもしれない。
■法テラスとは?(外部サイト)
 法テラスの正式名称は『日本司法支援センター』。その名の通り、法的トラブル解決を求める人たちのための総合案内所であり、国によって設立された機関だ。2006年の業務スタート以来、2021年までに累計で500万件以上の相談がサポートダイヤルに寄せられている。

 法テラスでは、電話やメール、面談での問い合わせの内容に応じて、法的な観点からの情報とともに、適切な機関・団体(全国で約2万3000件以上)などの情報を無料で提供する。「そもそもこのトラブルは法的なもの?」という相談も可能だという。
また、経済的に余裕のない場合など、一定の条件下で無料の法律相談や、更に必要に応じて審査の上で弁護士・司法書士の費用を立替える前述の「民事法律扶助」も重要な業務である。この立替えは、法テラスが一括で弁護士・司法書士に費用を支払った後、利用者はそれぞれの状況に応じて分割で法テラスへ費用を返済できるという、経済的な弱者に寄り添った仕組みだ。

 実際に犯罪の被害にあった人や、その家族に向けて、最適な支援が受けられるようサポートする「犯罪被害者支援業務」も大きな役割のひとつ。被害に関する刑事手続への可能な範囲での支援や、損害の回復・苦痛の軽減のための法制度に関する情報提供などを行っている。

 他にも、身近に法律家がいない司法過疎と呼ばれる地域の解消のための「法律事務所」設立など、幅広く法的な情報・サービスの提供を日本全国で継続展開している。
【日本司法支援センター 法テラス】(外部サイト)
「法テラス」Twitter(@houterasu_4_10)

【法テラス サポートダイヤル】
0570-078374
※平日9時〜21時、土曜9時〜17時

【犯罪被害者支援ダイヤル】
0120-079714
※平日9時〜21時、土曜9時〜17時

【霊感商法等対応ダイヤル】
0120-005931
※平日9時30分〜17時(祝日・年末年始を除く)

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