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【SDGs】チョコが店頭に並ばなくなる日も? 実を無駄なく使いきる“サステナブルカカオ豆”に挑む明治「100年間カカオに恩恵を受けてきた責務」

収穫したカカオ

収穫したカカオ

 1926年に誕生した『明治ミルクチョコレート』。100周年となる4年後までに明治が目標に掲げているのが、「サステナブルカカオ豆」調達比率100%だ。カカオを作る人からチョコレートを食べる人まで、全ての人を幸せにする「サステナブル=持続可能なカカオ豆」とは? 「チョコレートは明治」のCMでおなじみの同社が取り組む「メイジ・カカオ・サポート」について聞いた。

2050年にはカカオの樹が消える可能性も…持続可能なカカオ生産の実現が必須

  • カカオの木

    カカオの木

 チョコレートはスーパーやコンビニなど、どこでも手に入る身近なお菓子。しかしチョコレートの原料であるカカオが育つのは、「カカオベルト」と呼ばれる南北緯度20度以内という地球上のごく限られた地域だけ。ラテン語で「神々の食物」という意味があるカカオは、貨幣として使われていたこともある貴重なもので、これまで生産園での児童労働や劣悪な労働環境、森林減少などが課題とされてきた。

 日本が輸入しているのは世界のカカオ生産量の1%に過ぎない。輸入の多くを欧米諸国が締めていたが、2000年代以降、主に経済成長を遂げたアジアでのチョコレート消費が拡大し、世界のカカオ豆の需給バランスは崩れつつある。さらに気候変動の影響でカカオの栽培可能地域は年々狭まっており、カリフォルニア大学では、「2050年には世界からカカオの樹が消える可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 「チョコレートは明治」でおなじみの食品メーカー・明治では、世界のカカオ産地に直接足を運ぶなかでカカオを取り巻くさまざまな社会課題に直面してきた。

「例えば、西アフリカでは貧困や児童労働、中南米では森林減少が深刻な問題となっています。生産地の実情を目の当たりしながら、100年近くカカオに恩恵を受けてきた私たちには、持続可能なカカオ生産の実現に貢献する責任があると感じました」(明治・カカオマーケティング部 木原純さん)

 2006年からは明治の社員が生産地に直接入り、その地域の実情に応じた支援を行う「メイジ・カカオ・サポート」を開始。カカオ農家に対するカカオ生産技術支援と生活向上に向けた支援を行うことで持続的なカカオ生産に取り組んでいる。

4年後までに「サステナブルカカオ豆」の調達比率100%へ「カカオ農家さんが自立した生活を続けるための支援を」

「メイジ・カカオ・サポート」

「メイジ・カカオ・サポート」

 一般的にカカオ豆は商社を通じて輸入されるが、明治では2026年までに農家支援を実施した地域で生産された「サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を目指しており、2022年度には60%まで達成している。

「サステナブルカカオ豆は生産者だけでなく、チョコレートを食べる人もハッピーにします。ここ最近、製造者がカカオ豆(BEAN)から板チョコ(BAR)までを一貫して手がける『BEAN to BAR』がトレンドになっています。厳選したカカオ豆の特徴を最大限に引き出した個性的なチョコレートが世界中さまざまなメーカーで作られています。明治ではさらに一歩進み、カカオ農園と協業する『FARM to BAR』の活動を推進しています。産地によって異なるカカオ豆の芳香を生かした『meiji THE Chocolate』は、農園(FARM)を大切にすることから生まれました」

 『meiji THE Chocolate』(参考小売価格:税込237円)のラインナップはベネズエラ、ブラジル、ペルー、ドミニカ共和国の4種類。そのほか「メイジ・カカオ・サポート」ではガーナ、エクアドル、ベトナム、メキシコ、マダガスカルの9ヵ国で活動を展開している。

「特に日本への輸入量が最も多いガーナでは、カカオの品質向上につながる栽培技術の指導、農家の生活を支える井戸やインフラ設備、苗木の配布、学校教育の支援など、あらゆる角度からカカオ農家さんが自立した生活を続けるための支援を行なっています」

 これらは持続可能な開発目標『SDGs』である17の目標のうち、「1.貧困をなくそう」「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも経済成長も」「9.農業と技術革新の基盤をつくろう」「12.つくる責任 つかう責任」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に貢献する活動でもある。

 チョコレートの味や香りの決め手となるカカオは、産地によって個性がさまざま。商品ごとに異なるカカオを使用した上質な『meiji THE Chocolate』は、「メイジ・カカオ・サポート」により高品質なカカオが生産されたことで誕生した。そうした高品質なカカオが適正な価格で取引されることで、カカオ農家を豊かにすることにもつながる。
  • 『meiji THE Chocolate』ベネズエラ

    『meiji THE Chocolate』ベネズエラ

  • 『meiji THE Chocolate』ブラジル

    『meiji THE Chocolate』ブラジル

  • 『meiji THE Chocolate』ベネズエラ

    『meiji THE Chocolate』ペルー

  • 『meiji THE Chocolate』ドミニカ共和国

    『meiji THE Chocolate』ドミニカ共和国

カカオ実1つから使用されるチョコの原料は全体の1割程度…丸ごと無駄なく使い切る持続可能なチョコレート生産を目指す

カカオの実

カカオの実

 ラグビーボールのような形のカカオの実。そのうちチョコレートの原料になるカカオ豆は全体の1割程度だ。明治では、新たなパートナーシップを形成することで、これまで破棄されてきた大部分のアップサイクルへの検討が始まっている。

「カカオ豆の皮(カカオハスク)に再生プラスチックを混ぜ、カカオがほんのり香るタンブラーを試作しました。また、カカオの果実(カカオパルプ)はこれまであまり食用にされてきませんでしたが、とてもフルーティでおいしい。この部分を使ったジュースやソルベなども検討しています」
  • タンブラー

    タンブラー

  • ソルベ

    ソルベ

  • ジュース

    ジュース

 これまでカカオハスクやカカオパルプは肥料や飼料に利用されてきたが、あくまで副産物で経済価値を生み出すものではなかった。これらが商品化されれば、カカオ農家にさらなる収益が還元できるわけだ。

「これらの取り組みもまだ一歩目です。カカオの実の全体重量の8割を占めるのがカカオポッドという殻の部分。これを集めるのはカカオ農家さんにとって大きな負担です。収入にならない労働負荷をかけないためにも、ビジネスとしての可能性を見出した上で具体化することが大切なんです。将来的にはカカオポッドも含めてカカオの実を丸ごと無駄なく使い切ることを目指して、今後も検討・開発を進めていきます」

 カカオを取り巻く複雑な社会課題を1企業では、解決することはできない。「それでもカカオ農家さんやパートナー企業と協力し合うことで、一歩ずつ改善に向かうことはできます」と木原さんは語る。

 明治では「ひらけ、カカオ。」と題して、日本の消費者に向けたカカオの魅力を伝える活動も行なっている。これから先も持続可能にチョコレートを味わうためには、カカオやその生産者への理解を深めていく必要がある。

(文/児玉澄子)
◆「メイジ・カカオ・サポート」オフィシャルサイト(外部サイト)
◆『meiji THE Chocolate』オフィシャルサイト(外部サイト)

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