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吉野家、10年ぶり復活『親子丼』が2ヵ月で終売なぜ? 物価高騰で変わりゆく“牛丼屋”の在り方

 先月、10年ぶりの復活販売された吉野家の『親子丼』が、発売からわずか2ヵ月ほどで終売した。同商品は10年間試行錯誤を続けた末の発売で、すぐさまSNS上で「めっちゃ旨い。マジで旨い」などと話題となっていただけに、350万食を突破したところでの終売に、驚きの声も多数寄せられていた。物価高騰により、各社牛丼値上げとともに鶏肉メニューの強化が相次いだ中、吉野家の親子丼終売の理由と、今後の展望を同社に聞いた。

開発期間10年、販売期間はわずか2ヵ月… 『親子丼』終売の次なる注力は『から揚げ』

 今年4月、10年ぶりに復活販売された吉野家の『親子丼』。”箸やレンゲが止まらない、うまい・やすい”をコンセプトに、開発期間は10年に及んだ。特にこだわったのは、「たれ」と「価格設定」だという。

「たれは濃口醤油と本味醂、黒蜜糖をベースに焼津産かつお節と北海道産昆布の風味をきかせました。さらに、鶏のうまみがつまったエキスを追加し、うまみと風味がしっかりとした『親子丼』によく合う奥深い味わいのたれとしました。このたれをふんだんに使ったことで、とろとろの玉子とたれが鶏肉、玉ねぎ、ご飯を抱きこむ『親子丼』が実現しました」(吉野家・広報/以下同)

 輸入牛肉の高騰を受け、昨年、牛丼チェーン各社が牛丼の値上げを発表。それとともに、安価で仕入れやすい鶏肉メニューの強化が見られた。そのうちの1つ、吉野家の『親子丼』は大きな話題と反響を呼んだが、同商品が終売となった今、同社の次なる戦略はいかに。
「主幹商品の牛丼に続く、第二の注力商品として『から揚げ』の販売を推進しています。吉野家のから揚げは肉厚大ぶりの鶏もも肉を特製たれに48時間以上しっかりと漬け込み、店舗で鶏肉のコクとうま味たっぷりのから揚げ専用油でカラッと揚げています。特製たれと揚げ油にコクとうま味があるため、衣にも鶏肉にもコクとうま味が染み込み、その味わいは濃く、ジューシーです」

 子どもから大人まで、幅広い客層をターゲットにできるから揚げ人気は根強い。また牛丼同様、家で作るのにはひと手間かかることや、昨今のテイクアウトの急増から、“惣菜需要”も見込んでいる。

テイクアウト急増で女性客獲得、薬局展開や冷凍食開発で「店舗外」でのユーザー拡大

「コロナ禍以前は、店内飲食が圧倒的にウェイトを占めていましたが、昨年はテイクアウト利用が全体の半数にまで増加しました。テイクアウトを利用するお客様は店内飲食と比較すると女性のお客様が多く、ご本人のお食事はもちろんのこと、ご家族のお食事と推測される、複数人分のお食事をお買い求めいただくことが多くあります」
 男性ばかりでなんとなく店舗は入りにくい…という女性客も、テイクアウトの拡充により、新たな常連として定着したのだろう。2020年6月には、ドラッグストアでの『牛丼』販売を開始した。これにより、今度は高齢層の新規顧客を獲得し、着実に販売店舗を全国に広げている。また、2013年から販売している『冷凍牛丼の具』からは、先日、血糖値上昇を抑える『トク牛サラシアプレミアム』を発売。同商品は構想から8年を経て、外食チェーン初のトクホ許可取得。奇しくも、コロナ禍で高まった内食需要や健康志向にフィットする商品となった。

 明治32年の創業以来、店舗焼失や倒産、BSEによる牛丼販売休止も乗り越え、時代の流れと共に常に進化してきた吉野家。120年以上に渡り、いくつもの苦難を乗り越えてきたが、今度はコロナ禍に次ぐ物価高騰により、さらなる岐路に立たされている。当初は高級品だった『牛丼』を国民食にまで押し上げた同社が、“から揚げ”の店として新たな顔を打ち出すのか、はたまた変わらず世界に誇る牛丼屋としてさらなる快進撃を見せるのか、明治から令和に続く吉野家の今後を見守りたい。

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