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ORICON NEWS
ハッピーセット、常に“2年先”のトレンド追いかけ35年「付属のおもちゃは“知育玩具”ではない」
最初のおもちゃ「ダイヤブロック」から35年、2年先のトレンドをどう読んできたのか
「最初は期間限定だったものの、その後定番化しました。また、最初のおもちゃはきりん、とり、ひこうきの3種のダイヤブロックで、3種全て集めてつなげるとマクドナルドのキャラクター『ドナルド』に作り替えられるギミックでした」(マーケティング本部・ナショナルマーケティング部・佐賀貴氏/以下同)
「トレンドは常に変わっていきますので、お客様にインタビューを行ったり、3〜8歳を対象に、今どんなものが欲しいのか、緻密なトレンド調査を行ったりしながら、決めています。企画はだいたい2年前から、実際に製造に入るのは15ヵ月前から。新作は月1回ほどのペースで、1年に20前後のプロパティとコラボしてキャンペーンしていますが、常に2年先のトレンドを追いかけていることになりますね。おもちゃ業界のトレンド情報をこまめにチェックしていますが、トレンドを読むというよりも、パートナーさんなどと密にディスカッションして一緒に作っている感覚です」
売切れ続出の大人気なのにリニューアルなぜ? 「“大人が与えたいもの”を与えない」
「これまでは世の中のトレンドや時事的な話題を取り入れ、子どもたちに喜んでもらうにはどのキャラクターが良いか、どれがくるかを追うのが主でしたが、今はこれに加え、子どもの成長や発達にも貢献できるよう、開発しています」
具体的には、「遊び」を通じて、言語、図形、数量、論理性、身体動作や自然科学、社会性などへの興味を深め、想像力、創造力、表現力などを考える楽しさを広げてほしいとしている。少々難しそうなイメージもあるが、大事なのは「子ども」が主体であることだ。
「『知育』は、“大人が与えたいもの”なんですよね。我々が作りたいおもちゃは、子どもたちが自分で欲しいと思えるおもちゃで、遊んだこと、体験したことで“自然と成長や発達につながるもの”なんです。ですから、子どもがどこに興味を持つか。大人の頭で考えて、『これを通して、こんなことが学べる』といったお勉強ベースのものではなく、楽しいから遊ぶ。子どもの『やりたい』『知りたい』を刺激し、夢中で遊び、体験することが自然と子どもの発達や成長につながることを考えています」
「一番難しいのは、子どもの気持ちになりながら考えていくこと。チームのみんなでディスカッションを重ねる中で、つい大人視点になりがちですが、『それで、子どもは楽しいの?』『子どもはどう感じるの?』などと指摘・相談し合い、パートナーさんにも確認しながら、進めます。ハッピーセット担当チームは、ハッピーセット世代の子どもがいるメンバーが多いんです。だから、自分の子どもだったら?と考えますし、『〇〇さんのおうちでは、どうやって遊んでいました?』『うちは〇〇で〜』と、年齢・性別含めてそれぞれの子どもの違いもインプットできる状態になっています(笑)」
環境・安全・健康面も配慮、年間1億販売の裏に“親心”ターゲティングも
「2025年までに石油資源由来の原料を新規に使用したプラスチックの量90%を削減し、サステナブル素材にすることを打ち出しました。昨年5月にはくまのがっこうのペーパークラフトを、今年1月には環境に配慮した紙を使用したすみっコぐらしのパズルを出し、ご好評いただいていますが、紙でも面白く、新しいおもちゃを創造しなければいけないのはなかなか難しい挑戦です」
そういった細やかな努力がありながらも、ハッピーセットというと、子どもは喜ぶ一方で、親は健康面から禁止したり、若干の罪悪感を覚えたりする一面もあった。子ども向け商品を買ってもらうには、子ども心だけでなく、親心も掴む必要があるのだ。昨年のリニューアル時にフードメニューも見直し、ポテトに加え、えだまめコーンやヨーグルト、サイドサラダが選べるように変わっている。
先月からは「がんばれ、えだまめコーン」編として、「嫌い……」「豆が入ってる……」「……(複雑な表情)」など、えだまめコーンに対する子どもたちの正直な反応を集めたCMが放送されている。
「ハッピーセットを通して家族に笑顔になっていただきたい。野菜を好まないお子様も多くいらっしゃいますし、そういった意味で、おもちゃだけでなく、お父さん、お母さんの気持ちに寄り添えるかも考えています。『ジャンクフードばかり食べさせている』と思ってしまう親御さんがいらっしゃるのも事実で、そうした親御さんたちの“後ろめたさ”を多少なりとも軽減し、『野菜を食べられる』『栄養バランスがとれる』点においても、子どもたちの味方になれるハッピーセットを提供していきたいです」
(文=田幸和歌子)