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“憧れ”からよりリアルな“投影”へ 女性の「おしゃれ欲」を満たしてきた『リカちゃん』の55年

 1967年の誕生から、今年で55年を迎える『リカちゃん』。“着せ替え人形”というジャンルで、普段着はもちろん、お姫様のような豪華なドレス、ファストフードやアイスクリームショップの店員さんの制服など、“子どもたちのなりたい”を叶えてきた。近年では、好きな服を着せてSNSに公開する“#リカ活”投稿も増加。子どもだけでなく、大人の夢を叶える存在にもなっている。幅広く愛され続けるリカちゃんへの思いと、なくてはならない洋服へのこだわりについて、同社のリカちゃん事業部・向井里奈さんに聞いた。

グループサウンズ風に海外モデル…初代誕生から子どもの“憧れ”を着こなす

  • 初代リカちゃん

    初代リカちゃん

 『リカちゃん』が誕生したのは、1967年。“ごっこ遊び”や“おしゃれ遊び”を楽しめる玩具として、子どもたちから絶大な人気を集めた。当時は街に次々と百貨店が誕生し、ザ・タイガースなどのグループサウンズが流行した時代。『リカちゃん』も、グループサウンズ風や、海外モデルの影響でトレンドとなったミニスカートなど、様々なファッションを着こなしていた。

 発売当初のラインナップは全部で15種類。「エレガントワンピース」や「軽井沢」「江の島」「フランス語のおべんきょう」「デラックス<ローマ>」など、パーティードレスやワンピース、パンツルックなど、テーマに合わせたドレスの数々に、おしゃれが大好きな子どもたちは夢中に。その後も、トレンドのカジュアルな服、ドレッシーな服、お店屋さんの制服やウェディングドレス、お姫さまドレスなど、子どもたちの憧れのお洋服を網羅。現在でも常に40〜50種類のラインナップを取り揃えており、これまでに発売した洋服は数知れず。
 様々なラインナップの中で、初めてリカちゃんと出会う人へむけた入門セットとして人気なのが、『リカちゃん LD-01 だいすきリカちゃん ギフトセット』。リボンをあしらったワンピース、シンプルなワンピース、ドレスの3着がセットになっている。
「この3着がセットになっている理由は、上下が分かれておらず、3歳くらいの小さなお子様や、着せ替え遊びが初めての子でも着せつけしやすいことと、ワンピースやドレスなど普遍的に人気のシルエットなためです」(向井さん、以下同)

従来とは異なる挑戦的デザインも着手 しかし「リカちゃんが一番かわいく見えるシルエット」を根幹に

  • 『#Licca』シリーズ

    『#Licca』シリーズ

 ドレスのデザインは、デザイン画、または試作の段階で子どもたちにアンケートをとり、人気の高かったものを商品化。一番のこだわりは、その時代ごとの憧れや、子どもに好まれるデザインをしっかり取り入れることだと向井さんは言う。
「商品化しないデザインもたくさん作成し、お子様に直接ご意見を聞く場を設けています。昨年発売した『#Licca』シリーズは、従来のリカちゃんとは異なる、ピープス系、ガールズクラッシュ系などの尖ったデザインも多く、ある意味挑戦でしたが、小学生ユーザーに好評で、販売も好調です」

 好みのほか、着せた時に最もかわいいシルエットになるかどうかも重要な基準。生地や柄のサイズ感にもこだわり、ドレス製作を行なっている。
「着ぶくれしないよう生地の厚さを考えたり、人形サイズにしても違和感のないパーツや柄を取り入れています。プリーツの幅やギャザーなど細部にもこだわっており、何より、お子さまに遊んでいただくものとして安心安全な品質で製品作りをしています」

 また、デザイン検討のために、人気のアパレルやファッション誌でトレンドもチェック。時代に合わせたトレンド性の強いものと、普遍的に人気なデザインの両軸で展開している。
 2020年に発売された『ゆめいろリカちゃん』は、トレンドワードの“ゆめかわ”から派生されたシリーズ。発売から2年経った今でも一番人気のドールへ成長し、ドレスのデザインも含めて、ファンの心をつかんでいる。

「髪の毛の色が変わるというギミックも一因かと思いますが、パープルの髪色に、パステルカラーのドレスなど、全身“ゆめかわ”なデザインが、大変好評をいただいております。今年4月には2色のミックスカラーをカールできる新ドール『にじキュンカールリカちゃん』も登場いたしました」

自分の分身であることは変わらず「ずっと寄り添っていきたい」

  • お仕事系より

    お仕事系より

 リカちゃんは、着せる服によってちょっと背伸びしたお姉さん、お姫さま、ショップ店員、医者など、どんな人にでもなることができる。長きにわたり、子どもたちの夢を広げる存在として君臨し続けてきた。

 そして、現在ではSNSの普及と共に大人ファンも増加。2014年にツイッターを、翌年インスタグラムの公式アカウントをそれぞれ開設すると、大きな反響に。今では両アカウントの合わせてフォロワー数は22万を超える。時代や季節のトレンドに合わせて、オリジナルのファッションも投稿され、「着こなしが素敵」「こんな服、着てみたい」とコメントも多数寄せられている。

 また、近年では、大人がリカちゃんに洋服を着せて楽しむ活動“#リカ活”がインスタグラムで定着。自身が着ているのを同じような服を着せ替え、ポーズを付けて撮影したり、お出かけに連れて行ったりと、その楽しみ方は様々。「リカ活」のハッシュタグをつけ、連日多くの投稿が行われ、新たなムーブメントにもなっている。

「SNSの普及もあり、お子様から大人の方まで幅広い方々にリカちゃんを楽しんでいる様子をみて、私たちも楽しませていただいています。多くの方がリカちゃんと関わってくださっていることを、SNSなどを通して感じています」(向井さん)

 子どもの頃に抱いていた「こんなお姉さんになりたい」から、大人になると「今の気持ちを表現したい」「自分もこんなファッションを着こなしたい」と人形を自身に投影するような人も。『リカちゃん』が“自分の分身”や“憧れ”を表現するツールにもなっていく。その一端を洋服がリアルと非日常の絶妙なバランスを捉え、担っているのかもしれない。

「近年、他企業様による広告起用の機会も多く、様々な場面でリカちゃんを目にしていただく機会が増えたかと思います。子ども時代はもちろんですが、大人になっても、玩具以外の形でもみなさんに寄り添っていけたら嬉しく思います」

 子どもの玩具という範疇を超えて愛された所以は、常に時代のトレンドを追い、服作りにもこだわってきたタカラトミーの思いに他ならない。55年の時を経て、愛され続けてきた『リカちゃん』。今後もファッションやトレンドと共に進化を遂げ、子どもから大人まで、幅広い層の夢を叶え続けていくだろう。

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