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人形の概念変えた「ブライスドール」に大人が夢中な理由 ”パルコCMデビュー”から20年

 リカちゃんサイズの華奢な体に、グレープフルーツのような大きい頭とアーモンドのような瞳のドール、ブライス。2001年にPARCOの広告モデルに抜擢されてから、20年近く多くのドールファンに愛され続けている。着せ替え人形としての需要はもちろん、より自分好みのドールにする“カスタムドール”としての人気も高い。日本で彼女の存在を多くに人に広めたのが(株)クロスワールドコネクションズCEOのジュンコ・ウォングさん。その魅力を日本で発信し続けているジュンコさんにブライスと歩んだ歴史について話を聞いた。

ブライスのCMモデル起用は「街でモデルの原石を見つけたみたいだった」

 ブライスは1972年にアメリカで少女向けの着せ替え人形として誕生するも、子どもたちが個性的なビジュアルを怖がったといい、約1年で販売が終了した。2001年に日本に上陸しパルコのモデルとしてデビューしてからは、子どもの“おもちゃ”ではなく、大人からの注目を集めることに。着せ替え人形らしくアウトフィットの多様性や、顔や髪形などを“カスタム”して自分の好みのブライスを愛でるという、他のドールにはなかなかみられない現象も見られ、現在はSNSで簡単に“我が子自慢”ができるというところでも盛り上がりを見せている。

 さらに、2002年からは毎年ブライスを中心にチャリティ活動が行われている。その寄付先は多岐にわたり、今年も大阪・阪急百貨店うめだ本店にて「世界にひとつだけのブライス」チャリティーオークションを行い、手恷。虫氏のキャラクター「リボンの騎士/サファイア」に変身したドールや、有名ブランドがスタイリングしたブライスが登場し、オークション収益は、東日本大震災の被災地のこども支援に役立てられた。

――パルコのCMにブライスが登場するに至った経緯を教えてください。
ジュンコ・ウォング「ブライスを初めて見たとき、『この子は日本で活躍する!』と直感したんです。その当時、パルコのクリスマスキャンペーンに関わっていたので『広告のモデルとしてブライスを提案してみようか』と思って彼女のことをもっと深く調べました。ブライスとの出会いは、まさに衝撃的。ただの“人形”との出会いではなく、原宿を歩く可愛い女の子をモデルにスカウトしたような気分。パルコの広告にも、あくまでひとりの女性モデルとしてブライスを広告に提案したんです」

――そこからおよそ18年が経った今でも人気のブライス。その理由はどのように分析されていますか?
ジュンコ・ウォング「それぞれのドールがお洋服やメイク、瞳や肌のタイプが違い、コレクションしたくなるようなドールがたくさんいるのが理由かなと思います。最近はSNSでドールの写真をアップしている人が多いのもひとつの要因だと思います。可愛いドール写真をシェアしてコミュニケーションがうまれると、『もっと“いいね”がほしい!』と掻き立てられて、もっと可愛い写真が撮りたくなる。そんなトレンド的な事象にも助けられている気がします」

――“カスタム”もブライスの魅力になっています。カスタム教室も開催されていると聞きました。
ジュンコ・ウォング「そうですね。公式で発売しているデフォルト製品のブライスも、最高に可愛いと思っている姿で販売しているのですが、”より自分の好きなブライスと一緒にいたい”と思う気持ちを応援したいと思っています。カスタムして遊ぶというのも、ブライスの遊びの中のひとつで、ブームを作ったもののひとつでもあります。ただし、ブライスをビジネスとして扱うライセンスはすべてCWCが取得しているので、趣味の範囲で自分のブライスをカスタムして楽しんでほしいです。ただし、弊社主催のイベントなどで、そのイベントのテーマ性、世界観に合った作品を作ってくれそうな作家さんには、イベントを一緒に作り上げてくれるようにご協力をお願いすることもあるので、うまく共存できていると思っています」

新作はいつも争奪戦 生産数が少ない理由は「普通のおもちゃの戦略とは違う」

――ブライスの新作はいつも争奪戦ですが、数を絞っているのは戦略なのでしょうか?
ジュンコ・ウォング「『もっと数を作ってほしい』という声もいただくのですが、これ以上増やすのは物理的に難しいんです。それにブライスは、大切にしてほしいし、大切にされるべきドール。必要以上に作って、粗末に扱われることは絶対に避けたいんです。さまざまな環境汚染によって地球が悲鳴をあげているなかで、ブライスの供給が需要を上回ることになったら、ブライスに夢を持っている人たちを裏切る行為だと思うんです」

――希少価値を煽る戦略かと思っていました。
ジュンコ・ウォング「先ほどと重なるのですが、ブライスはただの人形ではなく、モデルなんです。戦略としても、プロデュースしている私たちはおもちゃメーカーの人間ではなく、広告などを手掛けるプロなので、普通のおもちゃを売る戦略とは違った価値観を持っていると思います」

――一般的なおもちゃのドールとは、立ち位置が違うということですね。
ジュンコ・ウォング「ブライスは、ギミックも、アウトフィット(洋服)も本格的で、価格も1体2万円弱からと、安くないんです。なので、真剣にこのドールと向き合いたい、お年玉を全部使ってもいいからお迎えしたい、と思ってくれる人の元にしか行けないと思うんです。だからこそ『この子こそは』という一体を見つけて“お迎え”してもらって、大切にしてほしいですね」

“インフルエンサー“であるブライスが行ってきたチャリティ活動とは

――ブライスと歩んできた18年間の中で、印象的な出来事はありますか?
ジュンコ・ウォング「ブライス1周年の2002年からチャリティ活動を続けており、いろんなところに協力できていることです。とくに思い出に残っているのは、国内ではできない手術を受けに海外で手術を受けられるチャリティを行ったとき。後日、小さな会場に行くと、子どもたちが並んでいて『ブライスちゃんありがとう』とお礼を言ってくれるんです。その日は号泣しっぱなしでした」

――たくさんのチャリティを行っていますが、今後の展望は?
ジュンコ・ウォング「ブライスに影響力があるからこそ、今の規模のチャリティを開催できると思っているので、ブライスには感謝しています。チャリティを開催できることをうれしく受け止めています」

――ブライスはインフルエンサー的な役割を担っているような感じですよね。
ジュンコ・ウォング「まさにそうですね。彼女は日本に来た時から、モデルとして上陸し、今も人前に立ってその活動を続けています。ブライスを通じてチャリティを続けていけば『チャリティ』や『人助け』をブライスのファンにも伝えることができる。今後も私たちらしく続けていきたい活動ですね」
(文/Kanako Kondo)

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