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“子役出身”はもはや足枷ではない? “劣化”と揶揄されず活躍する俳優が増えた背景
「役者としての使われ方が変わる」 “子役”としての評価が俳優生命を縮めるジレンマ
今でこそ、「子役の頃からイメージが全く変わらない」とその変わらぬ容姿が注目されているが、「見た目年齢と実際の年齢が合わないことで、使いづらかったのか、役が全然ない時がありました」(2018年5月18日放送「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)より)と語っていた。
70〜80年代“子役ブーム”の先駆けとして活躍してきた杉田かおるやアラフィフで“毒舌キャラ”としてバラエティで再ブレイクした坂上忍は、子役でブレイク以降は、俳優業で同じような活躍することはできず、徐々に仕事が減っていったという。
「“子役”というのは特殊なジョブ」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「子どもであるがゆえに“子役”。子役には中高生…つまり、子どもから少年少女になってしまうと子役としての仕事は減ってしまうジンクスがあり、ゆえに『消えた』という心無い表現に見舞われます。『キッズ・ウォー』(1999年TBS系)でその名を馳せたイケメン双子子役の斉藤祥太・慶太さんはスポーツインストラクター、解体業や塗装業、ガス配管などのアルバイトをしながら俳優活動を。『人間・失格』(1994年TBS系)での怪演が話題だった黒田勇樹さんも一度芸能界を離れてアルバイトをしたことを明かしています」(衣輪氏)
分別がつかない子ども時代にブレイクするからこそ、重要なのは“大人の役割”
“守られる”存在のはずが“守る”役割を課され、役者、あるいは芸能しか選択肢がない状態に…。ほか、恒松祐里のようにレッスンや撮影のため、同級生たちとのコミュニケーションという“普通”のことができず、大人や子役ら芸能人たちの付き合いばかりになってしまうケースもある。「分別のつかない所に大金を持っていることで悪い大人たちが寄ってきて、最終的にその子役の人生を壊してしまうというエピソードも海外ではよく聞かれる話」(衣輪氏)。
また安達祐実のように、『家なき子』などに出演していた中学時代、実生活でも陰湿ないじめや嫌がらせを受け、引きこもりになってしまったパターンや、成長によって「劣化」などの誹謗中傷にさらされる事例は数多い。そういった声から、彼ら彼女らを守ること、メンタルケアをする存在や場所があることは非常に重要だ。「芝居に子どもらしさに求めるのに、子どもらしい経験を奪うのはまぎれもなく矛盾」と衣輪氏。注目を浴びたり、ブレイクしたときこそ、彼らが彼ららしくいられる場所を作ることが大切になってくる。