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“子役出身”はもはや足枷ではない? “劣化”と揶揄されず活躍する俳優が増えた背景

「俳優」からいったん距離を置くことも“元子役の呪縛”を脱するカギに

最近では大学進学のニュースが話題になるなど、俳優の活躍だけでなく進路も注目されている芦田愛菜(C)ORICON NewS inc.

最近では大学進学のニュースが話題になるなど、俳優の活躍だけでなく進路も注目されている芦田愛菜(C)ORICON NewS inc.

  • 「『まえだまえだ』から俳優としての認知を更新していきたい」と話していた前田旺志郎(photo:撮影/田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.)

    「『まえだまえだ』から俳優としての認知を更新していきたい」と話していた前田旺志郎(photo:撮影/田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.)

 とはいえ、昨今の日本で、“元子役”俳優の活躍がめざましいのはなぜか。小学生時代、兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」で大ブレイクし、その後NHK連続テレビ小説『おちょやん』で注目された前田旺志郎は「高校受験時にここから先はちゃんと将来を考えないと後戻りできなくなるぞ”と危機感を覚え」、自問自答の末「俳優という仕事を続けたい」という決意を固めたそうだが、彼の進路を家族は尊重したという。

 小林星蘭とともにユニットを組み、CDデビューを果たすなど子役タレントとして活動してきた谷花音は2021年にアメリカの高校に留学。最近では、実写版『ちびまるこちゃん』でまるこ役を演じブレイクした森迫永依も、高校時代は学業を優先しながら活動。上智大学を卒業した現在、女優の活動を本格的に始動。ドラマのほかにもその知性を生かしてクイズ番組などに出演し、活動の幅を広げている。
  • 名バイプレーヤーとして活躍する伊藤沙莉(photo:撮影/田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.)

    名バイプレーヤーとして活躍する伊藤沙莉(photo:撮影/田中達晃(パッシュ)(C)oricon ME inc.)

  • NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出演している三浦透子(C)ORICON NewS inc.

    NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出演している三浦透子(C)ORICON NewS inc.

 5歳で子役デビュー以降、“天才子役”として活躍を奮ってきた芦田愛菜も、中学受験のため一時芸能活動をセーブ。以降活動を再開し、現在は女優だけでなく「病理医になること」を夢として語っており、“天才子役”を脱却どころか、今後の進路や活動が今や世間でも注目の的だ。この“中学生になったら学業に専念する”流れは、間下このみあたりから顕著に。ほか野村佑香、加藤清史郎らが続々と学業優先の道を選んだ。

 つまり大切なのは、子役としての活躍ではなく、彼ら自身の在り方を尊重すること。“子役”ではなく1人の“人間”としての人生も経験することだ。「俳優」から距離を置くことで、自身を見つめ直す時間(期間)が“元子役”の枠を脱する一つの手立てとなり、また「俳優」に戻ってもそれが人間性の厚みに。それが演技や芸能生活の幅を広げる結果となる。事実、吉川愛も「パン屋でバイトすることで一般のことを知れ、より繊細に役を考えられるようになった」と話している。

 今や子役時代の栄光は決して足枷ではないのかもしれない。最近では、子役からデビューしながら、着実にバイプレーヤーとして演技を積み、ブレイクした伊藤沙莉や、二代目「なっちゃん」として注目され、今年、映画『ドライブ・マイ・カー』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した三浦透子のような子役出身の実力派俳優もいる。子役の経験から自らの意思で演技の研鑽を積み花開いた例の一つだろう。子役としての評価以上に、彼らそれぞれの“個”を尊重すること。それが、彼らのキャリアの在り方を多様化し、結果、俳優業界にいい循環をもたらすのでないだろうか。

(文・中野ナガ)

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