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1周回ってエコ? “大人向けの粉ミルク”好調、昔ながらの「粉製品」が令和に再注目の理由

 コロナ禍に粉末プロテイン市場が急激に拡大するなど、好きな時に好きな分量だけ、手軽に栄養が取り入れられる“粉需要”がひそかに高まっている。乳製品を展開する森永乳業でも、大人向けの「粉ミルク」や牛乳と混ぜるだけでホイップクリームが作れる「ホイップパウダー」など、粉製品を拡充。いま、昔ながらの“粉”に注力する理由を同社に聞いた。

年間100件超える要望を受け、商品化した“大人のための粉ミルク” 4年で市場3倍成長

 約100年に渡って育児用ミルクを販売してきた森永乳業。2016年に“大人のための粉ミルク”『ミルク生活』を発売すると、大きな話題を呼んだ。発売のきっかけは、消費者からの声だったという。

「お客さまから育児用ミルクについて『赤ちゃんが健康に育つものだから体にいいと思い、育児用ミルクを毎日飲んでいる』、『乳幼児用ではなく、大人向けにいろいろな栄養が入っている粉ミルクがあればぜひ購入したい』といったご意見・ご要望が年々多くなり、発売する1年前の2015年には、年間で100件を超えるようになりました。このようなお客さまの声を基に、大人に必要な栄養素をバランスよく摂取できる上、大人にお勧めしたい当社独自の機能性成分も摂取できる、大人のための粉ミルクを開発しました」(森永乳業・広報IR部・佐藤恵梨華さん/以下同)

 ターゲットは、商品化の要望が多かったシニア層。長年の研究を通じて培われた育児用ミルクの技術とノウハウを生かし、母乳の優れた栄養バランスに近づけながらも、女性に不足しがちなカルシウム・鉄や、大人の健康をサポートする成分(ラクトフェリン、ビフィズス菌BB536、シールド乳酸菌(R)、中鎖脂肪酸)などをバランスよく配合しつつ、味にもこだわった。
「メインユーザーは、60~70代の女性です。『毎日飲んでいて、体の調子がいいです』『牛乳・ヨーグルトに混ぜて毎朝食べています。牛乳を普段飲まないのですが、この商品が健康に役立っています』『いろいろなサプリメントを飲むより、これひとつでいいのが気に入っています』などのお声を頂いております。大人に必要な栄養素をバランスよく摂取できることに加え、味・溶けの良さについても評価いただき大人向け粉ミルク市場において、『ミルク生活』は約9割のシェア(※当社推計)と圧倒的な支持を頂いております」

 大人の粉ミルク市場は2017年以降、右肩上がりに成長。コロナ禍を経た2021年度の市場規模は、『ミルク生活』が店頭販売を開始した2018年度と比較して、約3倍にまで成長している。

 液体ミルクと粉ミルクで得られる栄養に違いはないとのことだが、“粉”であることの利点は、保存期間が長いことに加えて、使い勝手の良さだという。

「水や牛乳に溶かすだけでもいいし、料理にも使えるので、無理なく毎日様々な形で摂取していただけます。また、その日の気分や体調に合わせて、分量も自分で調整できます。一方、湿気や水滴が入ると粉末が固まることがありますので、使用時はぬれたスプーンは使用せず、開封後は湿気を避け、乾燥した涼しい清潔な場所に保管下さい」

どうしても余ってしまうホイップクリーム… 常温保存で使いたい分だけ使える“粉”が現代にフィット?

 また先ごろ、牛乳で混ぜるだけでホイップクリームが作れる『ホイッピー』がSNS上で紹介されると、「画期的」「汎用性すごく高そう」「欲しい…」「これは買うしかない」「是非常備したい」などのコメントが寄せられ、14.5万いいね!の反響があった。

 同商品の前身に当たる商品は1967 年から製造されており、数回のリニューアルを経て、現在の『ホイッピー』になったのだという。1袋650gの業務用製品ではあるが、Amazonや楽天市場等でも販売されており、個人で購入することができる。

「本商品は業務用のため、少量での使用は想定していないことや、使用するホイッピーの量が少ないとうまくホイップクリーム状にならないことから、ホイッピーは100g 以上からお使いいただくのが理想的です。牛乳の量でホイップの硬さを調整できますので、お好みの硬さを見つけてみてください。また、開封後は冷暗所で保管のうえ、できるだけ早めに使用いただく必要がありますので、その点はご注意ください」

 液体から生クリームやホイップクリームを作る際、どうしても余ってしまうことが多い。またこちらに関しても、消費期限も短い液体製品に比べ、常温で保存可能であることが粉であることの強みだ。ケーキやドーナツ、スコーンなど、日頃のおやつにホイップクリームを添えたい時などにも、気軽に楽しめる。

 同社では、大人の粉ミルク同様、ホイップパウダーも、多くの消費者の要望を受け、今後複数のECサイトでの展開を検討中だという。自分で味の濃さや量を調整しながら、手軽に飲み物や料理に取り入れられる“粉”製品。健康志向が高まる一方、物価高騰が相次ぐ今、大容量を長期間保存でき、好きな時に好きな分だけ使えるという“1周回ってエコ”な観点からも、今後ますます需要は高まっていくかもしれない。

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