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ORICON NEWS
『ビッグカツ』40年変わらず“30円”、物価高騰・駄菓子不況続くも人気不変の理由とは
原材料は魚肉、ピンチが生んだ看板商品だった 創業者自ら全国行脚で大ヒットに
しかし高度経済成長期に入ると、コンビニや大手スーパーマーケットのような全国規模の大型チェーンが拡大。レジに対応する必要が出てきたため、大型化し、個包装に切り替えた『ビッグカツ』が誕生した。しかし、発売当初は全く売れなかったという。
「これまでなかった商品でしたので、弊社の営業部も上手く販売できず、『売り方がわからない』という意見が多かったと聞いています。ただ、子どもも買える価格で製造するために『これくらい売らなければならない』という制約があったため、最終的には発案者である創業者が自ら全国売り歩いて成立させたようです」
親世代から始まった『ビッグカツ』ブーム、原価高騰でも“30円”をキープする理由
「発売当初、子ども向けに販売した『ビッグカツ(串カツ)』でしたが、予想に反して、大人がおつまみとして酒販店で購入し始めました。お父さんが自宅で食べているのを見て、子どもたちが分けてもらう。食べてみると、美味しい。しかも駄菓子屋さんでも売っていて、自分でも買える値段だった。というヒットの源流だったと考えています」
「できるだけお肉に近づけられるように、『プッチン』の配合に苦労しました。発売当初から、原材料のマイナーなチェンジは度々行っています。品質向上のために、抗酸化作用を持つイカを配合していましたが、実験の結果、『有無であまり違いが無い』という衝撃の事実が判明し今は使用していません」
昨今の物価高騰により、油や小麦粉の値上がりは同社にとって非常に厳しい打撃となっているが、1980年に個包装の発売以来、値段は変わらず“30円”をキープしている。その背景には、やはり当初の“子どもたちがお腹いっぱいになるような商品を作りたい”、“子どもでも買える価格で提供したい”という創業者の強い願いが受け継がれている。
10年間売上変わらない秘訣は「駄菓子×SNS」訴求 誕生から45年、最大の危機は“今”
「懐かしさ、家族で楽しむ、遊び心を切り口としてどう関わっていくかを考えています。5年前にSNSを始め、お客様と直接コミュニケーションを取るようにしました。3年前にVRを始め、より親しみを感じていただけるようなコミュニケーションも取れるようにしました。これらの関わりを通じて、今の子どもたちにも食べていただけたらと思います」
Twitter「ビッグカツとイカ姿フライのすぐる【公式】」(@SUGURU_BIGKATSU)アカウントのフォロワーは8.2万、昨年には「#いいにくいことをいう日」というハッシュタグとともに「非常に言いにくいのですが、、中身は魚です(汗)」とつぶやくと、5万いいねを超える反響があった。
「衝撃」「知りたくなかった」「それでも美味しいから好き」などのコメントが寄せられたが、さらに『ビッグカツ』に関する豆知識を聞いてみると、「少し温めて食べていただくと食感が柔らかくなり、風味も増します。ちなみに、ビッグカツシリーズに使用するソースは全て、職人の手作りです」とのこと。
誕生から45年目を迎える『ビッグカツ』だが、一番の危機はまさに今だという。
「ここまで主原料価格が急激、かつ長期的に全て上昇する局面はありませんでした。商品構成やオペレーションの見直しなどを通じて乗り越えていけたらと思います。近未来に向けた、さらなる“代替肉”としての可能性も模索しつつ、これからも長くお楽しみいただける商品にしていきたいです」