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発達障害の息子との日常をSNSで発信する母の願い「様々な意見届くけど…息子と2人で輝ける場所にしたい」

 重度知的障害・自閉症スペクトラムで、療育園に通う5歳の息子さん。1歳の時から発達障害を心配していたお母さんは、将来を悲観してばかりで、毎日泣いていた時期もあったという。しかし、ある時から「ずっと泣いていてもこの先は変わらないなら、笑おう」と決心。現在は、息子さんとの日常をSNSやYouTubeで発信している。障害や育児に対して、時には厳しい意見も寄せられる中、発信し続ける理由とは。お母さんに聞いた。

“まだ大丈夫、心配しすぎ”と言われ続け… 発達障害の診断は「強くなれるきっかけに」

――YouTubeでも投稿されていましたが、改めて息子さんの障害に気づいたきっかけを教えてください。

1歳を過ぎても歩けないことがきっかけで、息子の発達に疑問を感じました。私自身もSNS世代で、友達の子どもやインスタで上がってくる子ども・同じくらいの赤ちゃんと勝手に比べてしまい、「アレ?」「これもできてない」「なんか違う気がする…」と毎日不安になりました。そんな中、毎晩ネット検索で“月齢とできないこと”などを調べているうちに、「発達障害」というワードに辿り着きました。

――はっきりと障害があると診断された際、どのようなお気持ちでしたか。

息子の障害を疑い始めたのがすごく早くて、その頃は家族や小児科の先生・役所の相談口などに相談しても「まだ大丈夫、心配しすぎ」と言われ続けていたので、障害を疑う自分がおかしいのだと自分を責めてしまっていました。そういった背景もあり、きちんと医師から診断された時はショックもありましたが、「間違ってなかった」とほっとしてしまう気持ちが大きかったです。はっきりと診断されるのは怖いことですが、またひとつ息子のことを知ることができて、自分自身が強くなれるきっかけでもありました。

――「毎日泣いていた」時期もあったそうですが、どのように乗り越えられましたか。そのきっかけは何だったのでしょうか。

息子の障害があるかもしれないと思い始めてからは将来を悲観してしまって、涙が溢れる毎日でした。でもある日から「障害があってもよく笑う子になってほしい」と思い、私自身も息子に対して笑顔でいようと決めました。ずっと泣いていてもこの先は変わらないなら、笑おうと…。沢山悲しみに浸って泣いた期間があったからこそ、そう思えたのかもしれません。

“比べる”ことが避けて通れないSNS時代の難しさ「心無い言葉をかけられることも…」

――SNSやYouTubeで様々な親子の姿が目に映りやすい今、“比べてしまいがち”なことに対してどのようにお考えですか。

「比べる」ことはこれからも避けて通れないんじゃないかと思うくらい、私も、比べては「羨ましい」と思ってきました。今は今で、同じ障害を持つ子同士で比べてしまったり…。本当にきりがないです。また、成長だけでなく、自分の生活と人を比べて羨ましいと思ったりしてしまうのですが、その度に「誰もが誰かの羨ましい存在であり、自分も誰かの羨ましい存在」と言い聞かせる事にしました(笑)。比べることは悪い事ではなく、比べまくってもいいから長く落ち込まず、すぐに前向きに考えることができればいいのかなと思います。

――お子さんに障害があることに対しての周囲からの偏見や誤解を感じることはありますか。

今は発達障害という言葉もメジャーになり、理解のある方が増えていることもあると思いますが、ありがたいことに、そこまで偏見や誤解を感じたことは私生活ではあまりありません。スーパーで「しつけがなってない」と高齢の方に怒鳴られたりだとか、あるあるな体験談は数回あるのですが…。ただ正直なところ、実際の私生活よりも、SNS上での方が感じています。心無い言葉をかけられる中で、直接言われないけど、心の中ではそんなことを持っている人が多いのかも…と考えると怖くなってしまいます。

障害の子を持つ親アカウントは大変さを語る投稿ばかりだった…「笑える動画作りたい」

――そうなのですね…。SNSやYouTubeを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

インスタを始めたきっかけは、私自身が息子の成長に疑問を感じたときに、同じ状況の人の投稿を見たりしてすごく救われたことがあったからです。発達障害と言っても十人十色で、息子と似たような状況のお子さんを見つけるのはかなり難しかったのですが…。だからこそ、私も息子についての詳細を上げることで、同じように救われる方が一人でもいたらいいなと思い、インスタを始めました。インスタと同様に、発達障害などのお子さんをあげている動画をYouTubeでよく見ていたのですが、見れば見るほどため息が出てしまうような動画ばかりで、見たことを後悔してしまっていたんです。そこで思ったのは、“大変そうな動画でなくて笑えるような動画を作りたい”、“私だからこそ障害児育児というヘビーな題材でも笑いに変えていけるのではないか…”と。YouTubeに挑戦したい気持ちが強くなりました。

――実際にSNSやYouTubeでお子さんの障害に関することの発信を始めて、気づいたことはありましたか。

息子の障害に気づいた時、塞ぎ込んでしまい勝手に孤独を感じてしまっていたのですが、SNSを初めてから仲間が沢山いるんだということに気付かされました。また、こんな私たちのことを心から応援してくださるような優しい方が多いことにとてもびっくりしました。本当に感謝しています。
――SNSやYouTubeの発信において、気を付けていることがあれば教えてください。

自分の思ったことや考えを、みんながみんな共感してくれるわけはないということを肝に銘じて発信しています。一人一人考え方が違って、発信するたびに様々な意見が届きます。それに対して毎度嫌な気持ちになってしまっていた時期もあるのですが、そういう考え方もあるのかと、今は前向きに捉えることができるようになりました。

――SNSやYouTubeはお母さまにとってどのような場所になっていますか。

息子とこれからどうやって生きていけばいいのかと将来を悲観していた私でしたが、SNSを始めて、「私だからできること・やりたいこと」を見つけることができました。息子と2人で輝ける場所になればいいなと思います。

――これからどのような動画や投稿を発信していきたいですか。

これからも楽しくて、くすりと笑えるような動画を配信していきたいと思っています。目標は「障害があるから」ではなく「面白いから」を理由に見てもらえるようになること。枠を飛び出していろんなことに挑戦していきたいです。

“障害かもしれない”という不安に囚われないで「今しかない一瞬一瞬を大切にしてほしい」

――YouTubeでは「障害児かもしれないというフィルターをかけて素直に成長を喜べなかった」「あの頃には戻れない」とも話されていましたが、障害の不安があるお子様を持つ親御さんに伝えたいことがあれば教えてください。

今の時代は「発達障害」という言葉がメジャーになり、月齢の小さい頃からすぐ疑ってしまう親御さんは多いと思います。私も同じ状況だったからこそ思うことなのですが…障害かもしれないという不安に囚われないで、目の前にいる今しかない可愛い時期のお子さんを見てほしい、育児を楽しんでほしいなと強く思います。ただ、疑っていることを否定はしたいわけではなく、むしろ一番一緒にいるママさんがそう思うのであれば、そうなのかもしれないと肯定したいと思っています。もちろん何もなく成長することを一番願いますが…。今この時間を泣いても笑っても先は変わらないので、笑っている時間を多く過ごしてほしいです。

また、私みたいなものが人様に言えることなんてなさすぎるのですが…強いていうのであれば、「一緒に“適当に”頑張っていきましょうね…!」と伝えたいです。普段からよく「頑張って」「頑張らないと」と言われます。私も息子の障害がわかった時に、そう強く思ってしまいました。でも、その言葉は実はかなり自分自身を追い詰めていたなと感じました。だから、頑張りすぎる必要なんてないと思います。また私の投稿に対して、「もっと頑張らないとと思い反省しました」というような声がよく届くのですが、私はそう思ってほしいのではなく、意識の低すぎる・適当すぎる私を見て「これくらいでいいんだ」「頑張らなくてもいいんだ」と思ってもらうことが本望です…!
――息子さんの性格を教えてください。

強いこだわりや癇癪などなく、おっとりしたタイプです。「愛嬌が最強卍」といつも言っているのですが、本当に人との関わりが好きで、どんな人に対しても最高の笑顔を振りまけることは、これからも息子にとっての武器だなと感じています。

――息子さんが好きな遊び、はまっていることなどがあれば教えてください。

ハトを追いかけること。電車を見に行くこと。シャボン玉遊び。最近は横に並んでいるものを見ることにハマっていて、道路のポールや自転車置き場などから離れず困っています…。

――息子さんとの印象に残っているエピソードや言葉があれば教えてください。

息子が初めて言葉らしいものを喋ったのが、4才の頃の「カンカンカン」でした。大好きな踏切の音です。今までは喃語のみだったので、「カンカンカン」を聞いた時は、息子ってこんな声をしているんだ…と、初めて本当の声を聞けたような気がして、自然と涙が溢れてしまいました。その後も言葉らしいものが増えてきて、「乾杯」だとか「やったー」だとか、「カンカンカン」も含めて、全て私が息子にしつこいくらいに声をかけ続けた言葉だったので、私の声は届いてないようで届いていたのだと胸が熱くなりました。これからも諦めないで息子に沢山の声をかけ続けたいです。

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