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【意識調査】「大学へ行っておけばよかった…」コンプレックス抱く親、子どもをどう導く?
若者たちは「最終学歴」に固執しない? 世代で異なる意識
一方、女性では20〜30代が30.3%、40代が32.6%、50代が35.6%、60代が26.7%。男性とは異なり、世代別の差がほとんどなかった。この背景には、日本社会の特性が考えられそうだ。
今の時代、男女による雇用機会や仕事内容の差は少ないといえる。しかし、上場企業の役員数で見ると女性の割合は7.5%にとどまり(東洋経済新報社『役員四季報』調べ/2021年7末時点)、男性が圧倒的に多いのが現実だ。そうした社会のなかで、男性のほうが学歴による不遇や不利益を目の当たりにする機会が多くなっていることがうかがえる。
有名大学出身=人生で得? 学歴コンプレックスを持つ親の半数以上が抱く“ホンネ”
企業が実力重視になるのは、利益を追求する事業体である以上当然だろう。とくに外資系企業やスタートアップなどのベンチャー系企業ではその傾向が強い。それは業績至上主義のなかで人を偏重し実績を重んじるからであり、「学歴=人の価値や生産性」ではないことはすでに誰もが知っている。「ない」とする親の割合が高いのは、そういう企業が一般的になっていることを示しているのかもしれない。
子の学歴にはこだわり、「職場でバカにされた…」親の実体験も影響
性別年代別で見て特徴的だったのが、40代と50代の男性だ。「有名学校出身のほうが、人生で得をする」が、それぞれ46.7%、44.7%と比較的他の年代と比べて高い割合になる(他年代は3〜4割程度)。終身雇用が当たり前だった時代の人生をかけた就職活動において、学歴が大きく影響したことが意識の根底にありそうだ。
また、子どもの学歴に「強くこだわる」と回答した親のコメントを見ると、「たとえ社会常識がなくとも有名大学を卒業したというだけで有利」、「私立大出身だが、職場でバカにされた経験がある」、「世界をみても学歴社会が重要視されている」など、就職時のほか入社後にも学歴で嫌な思いや不遇な扱いを受けた自身の実体験を挙げている。
なかには、学歴による人物査定に一定の理解を示す声もある。「学歴フィルターなどと言われるが、企業からすれば、最終選考まで絶対に残りそうにない人に応募の労力をかけさせないのもある種のやさしさ」とするのは、子どもの学歴に「こだわる」親。たしかに学歴には、その人の努力や知識、学力が紐づいている。熾烈な競争社会にさらされる企業にとって学歴は、より優秀な人材を確保するためのひとつの指標にもなるだろう。それも社会の現実だ。
「本人の人生のプラスになる」親の想い、子どもの反応は?
小学生の親からのアンケートでは、「学力レベルの高い学校の方が、向上意識もモチベーションもレベルが高い生徒が集まっているため、本人の人生に必ずプラスになる」など、子どもの学力向上や人間形成のための環境として有名私立中学を選び、その受験を目指す多くの親子の姿が浮かび上がる。また、学歴至上の親にとっては、エスカレーター式の有名大学に入学するために、早い時期から付属中学を受験するほうが、チャンスが広がると考えているのだろう。
加えて、小学生から学歴にこだわる親に共通するのが、やはり現実社会への意識だ。「学歴社会ではないと言われてはいるが、実際はまだまだ学歴重視」、「実力主義とはいえ、職歴や実績が無い場合には出身校で判断される」といった声も多数寄せられている。
一方でこんな声もある。「レベルの高い学校を出ていたほうが、そこに行き着くまでの過程があるから、人として信頼できる気がする。ただ、だからといって全員がタフではない。成功とは必ずしも連動していないと思う」。学歴はたしかにひとつの指標にはなるが、学力や能力は人それぞれによって異なる。それは個人次第と考える人も少なくないようだ。
実力主義がうたわれる日本社会だが、人々の意識や社会の一部にはいまだ学歴指標や派閥意識が残っているのが現実だろう。そうしたなか、親の社会的立場や経験によって学歴に対する意識はそれぞれで異なる。年代にもよるが、厳しい競争社会で学歴による不遇や差別が実体験としてある親も少なくないことだろう。そうした親たちが子どもの学歴にこだわるのは当然と言えるかもしれない。
親の経済力や考え方による影響はあるものの、学歴は多くの人にチャンスを与えるものだろう。そして、それは、社会に出てから人生のプラスに作用するケースもある。一方、もし学歴そのものが社会で役に立たないとしても、そのために身につけた教養や知識、学力は自分のためになるはずだ。自身に学歴コンプレックスがなくても、子どもの学歴にはこだわる親が多いのは、そんな現実を踏まえて子どもの幸せな人生を願う思いの発露なのかもしれない。
【調査概要】
調査時期:2022年3月8日(火)〜3月14日(月)
調査対象:計1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)】会員20代〜60代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)
調査時期:2022年3月8日(火)〜3月14日(月)
調査対象:計1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)】会員20代〜60代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)