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もはや“グラドル”は死語? 登竜門としてのグラビアの価値は今もあるのか
“巨乳ブーム”の先駆け小池栄子、MEGUMIの活躍とイエローキャブの功績
「ですが世間はすぐに巨乳に飽きてしまう。ここで登場したのが優香さん」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「グラドルとしては元祖癒やし系であり、その“グラドルっぽくなさ”(=巨乳orセクシー系ではない)が売りでした。その後、井川遥さん、乙葉さんなどにその系統が受け継がれていきます。その後、小倉優子さん、若槻千夏さん、現役女子大生だった眞鍋かをりさんの登場でグラビア界はレッドオーシャン化。可愛い系、知性派、美乳系など多様化していき、2000年代は群雄割拠の時代を迎えます」(同氏)
当時、主戦場だった紙雑誌は『FRIDAY』(講談社)、『FLASH』(光文社)、『FOCUS』(新潮社※2001年休刊)、『週刊ヤングマガジン』(講談社)、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『EX大衆』(双葉社)など。今や人気主演女優である綾瀬はるかもデビュー当時は主戦場としていた。
アイドリング!!! が芸人並みにバラエティもできるアイドルの礎を構築
「その時代、アイドルのバラエティ番組出演に関して、一石を投じたのがアイドリング!!!」と前出の衣輪氏は指摘する。フジテレビが番組初のアイドルグループとして世に送り出したグループで、冠番組『アイドリング!!!』(フジテレビ系)で登場。基本的に、歌やダンス、パフォーマンスを見せるのがアイドルの仕事だったのが、アイドリング!!!は、“汚れ役”も果敢に挑戦。“笑われるアイドル”を生み出した。
「元々、井森美幸さんのようなバラエティアイドル(バラドル)ブームがありましたが、彼女らはバラエティ色が強かった。それが、アイドルがバラエティも行うというポスト・バラドルブームが到来。グラドルがバラエティに出演する機会もこの頃から減少。この流れを作ったのはフジテレビ社員で、アイドリング!!!のプロデューサーでもあった門澤清太氏でした」
「門澤氏は、『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)のプロデューサーでもあり、以前のインタビューでは“特にアイドルが好きなわけでも、詳しいわけでもない”とお話されていました。つまり、異業種の人がアイドル業界に関わったことで、アイドリング!!!は突然変異的存在となり、礎(いしづえ)に。歌って踊れるだけでなく、笑いもできるアイドルたちの躍進は『日向坂で会いましょう』などにも受けつがれ、グラドルブームが衰退、アイドルがバラエティを席巻するようになったのです」(衣輪氏)
異業種からのグラビア回帰、出版不況…グラビアアイドルの評価が一変
「昔とは違い、SNSや撮影会で水着になるだけで誰でもグラドルと名乗れるようにもなりました。カメラや画像修正ソフトの進化がこれに拍車を。グラドルそのものへの希少性がますます薄まるなか、女優やアナウンサーなどの異業種から、グラビアへ“回帰”する流れも。グラビアアイドルは肩書ではなく、表現の一つへと変化したのです」(衣輪氏)
グラビアは最初から“性的消費”のイメージが強かったが、深田恭子や吉岡里帆、田中みな実などの写真集がヒットすることによってその価値観に変化が起こった。モデルとグラドルを同時に行う“モグラ女子”の存在もあったが、ますます同性から注目されるようになっていった。そして2020年、宮崎美子の40年ぶりの水着グラビアが話題に。グラビアのネガティブな側面が払拭されたかのように、同性を中心に大絶賛が贈られた。
女優、タレント、アイドルなど異業種がグラビア進出するようになった結果、グラビアは「リアルな自己表現の場」、もしくは「フォトグラファーとタッグを組んだ作品」のニュアンスが強まる傾向に。“性的搾取”から、女性の“憧れの自己表現”への色を強くしていったのだ。