ORICON NEWS
独立後「活躍する人」「しない人」…プロダクション幹部が明かす“大物芸能人の独立”の裏側「事務所の圧力はほぼない」
昭和の時代にあった独立で“干される”事態、現在の独立は「要因の7割がギャラ問題」
そもそも、現在に続く芸能界の黎明は、地域の“興行師”と共にあった。興行師とは、芝居やコンサート、イベントなどの催事を仕切ってきた職業で、なかには反社会勢力とのつながりがあることもあった。だが一方で芸能事務所が力をつけていくと、興行師が抱えるタレントを引き抜くなどの行為が起こり始める。まだ明確なルールがなく、トラブル回避で興行師と芸能事務所が手を組むといったことも多々あった。
ここで革命を起こしたのが、渡辺プロダクションの創業者である故・渡辺晋さんだ。渡辺さんは、興行師に頼らない西洋式の新芸能システムを構築。これにより、興行師とも談合や言い値ではなく、ルールに則った金銭で交渉できるようになり、引き抜きなどのトラブルの元も規制。タレント本人が交渉しづらいことを芸能事務所が一気に引き受ける形となり、タレントは交渉や事務など面倒なことは事務所に一任し、プレイヤーとして専念できるようになった。
「このシステムがこれまでうまく機能していたのですが、それでも独立を選ぶタレントがいる。その多くはギャラ問題ですね。独立の要因の7割がそうと言っていいでしょう」。
タレントの“成長”で生まれる齟齬、「親が出てくる」「独立をそそのかす人がいる」場合も
そんなメリットの一方で、ある程度タレントが成長していくと、別の問題が持ち上がる。
「例えば歌手には、3年契約問題というものがあります。なぜ3年かというと、スカウトしてレッスン、営業、ここで大金がかかってしまうからですね。1年で芽が出る歌手がいたとして、すぐに独立されてしまうと事務所がかけたお金が無駄になる。また、ギャラの配分が折半か6:4か、それは事務所によって様々ですが、特に若い子の場合、親が出てくるんです。ヒットして人気者になって超多忙なのに、ギャラの多くを事務所に取られて割りに合わないと。こうして独立となる事象も少なくありません。周囲に独立をそそのかす人がいる場合もありますしね」。
また、タレント本人が成長したのにも関わらず、事務所自体が成長していない、スタッフの意識が変わらない状況に本人の不満が高まり、独立の要因となりうることもあるという。タレントが信頼を寄せていた、トップやスタッフの世代交代も同様だ。だが、タレントとスタッフとの関係が深いのも良し悪しで、信頼関係が強くなり過ぎると、事務所に反旗を翻して共に独立することに繋がる。そのため、定期的にマネージャーを変える事務所もあるほどだ。