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独立後「活躍する人」「しない人」…プロダクション幹部が明かす“大物芸能人の独立”の裏側「事務所の圧力はほぼない」

のん、小林幸子の例も…、SNSや行政指導の影響大「“事務所からの圧力”はリスク以外の何物でもない」

  • 2020年に独立した手越祐也(C)oricon ME inc.

    2020年に独立した手越祐也(C)oricon ME inc.

 そして、今の時代とくに影響が大きいのが、SNSだ。昭和の時代は盛んだった“事務所からの圧力”が廃れていった原因の一つが、SNSだという。

 「のんさんの独立騒動の時、SNSでは芸能界を悪く言うコメントであふれていました。ですが現在、事務所からの圧力が本当にあるかと問われれば、ほぼない。今そんなことをしたら、タレント本人がSNSで発信し、拡散されてしまう可能性がある。事務所にとって、リスク以外の何物でもないのです」

 小林幸子の再ブレイクも、後押しになった。「一時期は芸能界から干されたかに見えましたが、小林さんはネットで人気になり、“ラスボス”と面白がられて一気に新たなファン層を獲得。テレビに出られなくても話題になるという例を作り出しました」。

 行政が動いたことも、独立の増加を促している。2019年8月、公正取引委員会は芸能分野の契約・取引などについて具体例を提示。11月に見解をまとめ、芸能事務所を辞めたタレントの芸能活動を禁止・制限することは独禁法違反にあたるため原則禁止とした。また不明確な契約書問題も争点にとなり、事務所からタレントに対するパワハラに関してもメスを入れた。

 「確かに、タレントに不利な契約を結ぶ事務所は多くあった。そのため、この公取委の動きの影響は本当に大きく、間違いなく独立が増えた一因といえるでしょう。この頃、実は公取委からのアンケートが各芸能事務所に送られてきたんです。でも、どの項目を選んでも“パワハラがあった”という結果になるような内容で。これはちょっと、恣意的すぎたのではないかと思いますけどね(笑)。ただ、これらの結果、不平等契約は浄化されつつあり、それは良いことだと思います」

独立後“活躍する人”“しない人”、「『テレビ局の忖度で出演できない』だけではない」

  • 2021年に独立したベッキー(C)ORICON NewS inc.

    2021年に独立したベッキー(C)ORICON NewS inc.

 このように、時代の流れにともなうさまざまな要因から、年々増えてきたタレントの独立。だが実際は、公表時には話題になっても、その後あまり活躍が見られない人もいる。独立してうまくいく人、いかない人は何が違うのか。

 「YouTubeに土俵を移す人も多いですが、たとえ本人が願っても、テレビには戻ってこられないケースも多い。なぜかというと、やはり元の事務所とビジネス的につながっているかどうかは大きいと思います。テレビはとくに、事務所との信頼関係をベースにタレントを使ってきた。事務所の管理下にないと何が起こるかわからず、怖くて使えないという事情もあります。その傾向はテレビだけではなく、CMでも顕著。YouTubeで活躍できるのは良いことだと思いますが、その世界ではよくても、テレビやCMではルール違反になることもある。また、タレントの周囲の人が芸能界のルールを逸脱している場合もある。よく、『元の大手事務所への忖度で出演できないんだ』と言われますが、決してそれだけではないのです」

 2021年も、数多くのタレントが独立していった。今後もこの流れは加速し、芸能事務所は過去のものとなるのだろうか。

 「今後、独立が増えるというよりは、契約の仕方が変わったり細分化したりすると思います。そもそも芸能界には労働組合的なものがほぼなく、プレイヤーは事務所がなければ身を守るものがない。そこで正式なユニオンが生まれていくでしょうし、プロダクションはスリム化されてタレントの“家”的存在に。仕事はエージェントと分業され、問題が起こればユニオンに相談…という流れになっていくでしょう。そうして、芸能事務所は形を変えて残っていくと思います。アメリカのように全部が契約で決まり、ビジネスライクに行うのは日本人の気質では難しい」。

 激変する芸能界。ネットやSNSでは様々な憶測、噂が飛び交うが、同幹部いわく「悪い方向に向かっているわけではない」とのこと。一般社会でも、多様性や働き方について論じられる時代。芸能事務所やタレントたちは、今後どんな道を選び、どう変化していくのか。そこから生み出されるものが、ハッピーなものであることを願いたい。

(文:衣輪晋一)

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