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日本のデジタル化、8割超が「遅れ感じる」と回答 進んでほしいもの1位は「選挙のネット投票」

 9月1日、デジタル庁が発足した。国や地方行政のIT化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進を目的とした省庁で、「誰一人取り残さないデジタル社会」の実現のため、さまざまな取り組みを進めていくという。海外諸国と比べて「デジタル化が遅れている」と言われる日本にとっての起爆剤となるか、注目されるところだ。ORICON NEWSでは、10代〜50代の男女1000人に「デジタル化」についての意識調査を実施。実に8割の人が、現状のデジタル化について遅れていると回答した。

デジタル化に立ち遅れる日本 ペーパーレス、在宅ワークなど問題は山積!?

 結果の詳細を見ていきたい。まず「現状、日本のデジタル化は遅れていると思いますか」の問いに対して、「遅れていると思う」51.5%、「どちらかと言うと遅れていると思う」が29.4%。これらを合わせると、実に80.9%の人が「遅れている」という結果に。

 その理由も「ニュースを見ると、諸外国ではデジタルで対応していることを、日本ではペーパーで対応してることが多いから」(大分県/20代/女性)「ペーパーレス、キャッシュレス、在宅ワークをもっと広めて定着させるべき」(東京都/20代/女性)など、海外の状況や社会生活の中で感じた実体験から感じている人が多い。
  • コロナ禍で定着したテレワーク(イメージ)

    コロナ禍で定着したテレワーク(イメージ)

 中でも「ペーパーレス」については、若い世代が問題視している傾向も。「ハンコ文化が根付いていたり、領収書、レシートを紙で求められたりする」(宮城県/20代/女性)、「大事なものは紙という風潮が残りすぎている」(大阪府/20代/女性)、「最終的にデータで保存するのだから、最初からデータで登録できる方が効率的だと思う」(愛知県/20代/女性)など、日本特有の文化に異を唱える声が挙げられた。

 また「テレワークやオンライン授業などの環境の整備が、他の先進国の中で圧倒的に遅れている」(熊本県/20代/男性)という意見も。2020年のコロナ第1波の頃、大学や専門学校で授業を再開することができず、学生が学校に行けない期間が長く続いた。デジタル化の遅延によって、若年層が被害を被った一例だと言えよう。

 さらには、「新型コロナの影響でリモートワークが増え、これまでの仕事内容が自宅でもできることが分かったのに、いまだに会議や書類確認のためだけに出社する人がいる。デジタル関係に疎く、(会社での)立場の強い人の中には、自分が疎いことを自覚しながらも学ぶ姿勢を見せずに諦めている人が多い。その人たちの意識を変えないと、社会全体としては停滞したままだと思う」(福岡県/10代/女性)と、社会全体のあり方に警鐘を鳴らすかのような貴重な意見も見られた。

ネット投票に給付金の申請…効率化を進める事で社会全体すら変わる可能性も

 ここからは複数回答になるが、「デジタル化が遅れていると思う分野」も聞いてみると、特に行政の分野に票が集まった。主なものは【給付金の申請・納付】65.3%、【運転免許証やマイナンバーカードなどの公的証明書】57.8%、【政治参加・投票】54.4%、【企業・職場】51.9%など。

 その上で、「行政・教育・職場関連でデジタル化が進んでほしいと思うもの」(複数回答可)の1位は【選挙のインターネット投票】(58.2%)となった。インターネット投票はコロナ前から議論されているものの、さまざまな問題点が挙げられ、いまだに実施に至っていないのが実情。2019年の参議院議員選挙では、投票率が50%を割り込む(48.8%)など「投票率の低さ」が問題視されている昨今だが、インターネット投票なら投票率アップにも有効であり、今後検討されるべき分野と言えるだろう。

 2位は【給付金の申請】(55.0%)。ここ2年間はコロナ関連の給付金を申請する人が多かったと思うが、「特別定額給付金を給付するときに時間がかかったから」(岐阜県/20代/女性)と、有事の際だからこそ緊急性をもって対応してほしいところではあるが、難しいのが現状のようだ。最近では「月次給付金」などWEBだけで申請できる例もあるが、いまだに書類ベースでの申請も少なくなく、より一層のデジタル化が望まれている。

 3位以下は【税金 (確定申告など)】47.6%、【運転免許証やマイナンバーカードなどの公的証明書】46.9%、【ワクチン証明書】44.8%…と続く。更新頻度は高くないものの、運転免許証などの証明書の類も、わざわざ役所などに出向いて手続きすることなく、「デジタルで済ませたい」と思う人が多いようだ。

一方で人と人とのコミュニケーションを重要視する声も

 逆に「デジタル化が進んでほしくないもの」には、【神社のお祓いや神事】が1位となった。全体では54.5%だったが、年代別では40代からの回答が60.4%と最も多かった。「神社や日本流のおもてなしなど、日本の良き伝統はデジタル化にそぐわない」(千葉県/40代/女性)、「参拝する時は、現地に出向いて神様の空気を身体で感じたい」(埼玉県/40代/女性)など、伝統や神事、冠婚葬祭は身をもって体験したい思いがあるようだ。

 30代以下の人たちからも、「これらのことをデジタル化してしまうと、これまでの日本のしきたりや文化を変えることになると思う」(滋賀県/20代/男性)、「(デジタル化すると)何となくありがたみが減る気がする。リモートやオンラインはまだ良いですが、読経をAIが読み上げるとなると違和感を覚えます」(神奈川県/30代/女性)などの意見があった。
 続く2位は【ライブやイベント (チケット・オンライン開催など)】。全体では38.6%がこの項目を選び、10〜20代の割合が多く46.4%を占めた。「ライブやイベントでは、その場の雰囲気を楽しみたいから」(石川県/20代/女性)、「感情がある人が行なうことで共感や感動を生むものだと思うから。ライブがオンラインだと、YouTubeを観ているのと変わらない」(大阪府/10代/女性)、「コロナ禍でオンラインライブを2回ほど視聴したけど、やっぱり物足りなかった」(埼玉県/40代/女性)などの声があった。

 またライブチケットの半券を思い出に残しておくという人も多く、「ライブのチケットがオンライン化されているが、せっかくの思い出になるチケットをスマホで完結させてさせしまったらライブの意味がない」(千葉県/10代/男性)といった意見も。
 続く項目としても【ホテルや旅館の接客】(33.6%)【雑誌や書籍】(26.4%)【スポーツ実況】(25.8%)…に票が投じられたが、「接客や実況は、人ならではの良さがあるから」(石川県/20代/女性)、「いくら優秀なAIでも、やっぱりスポーツは人間に実況してほしい。細かな感情が違う」(群馬県/50代/女性)と、人と関わることで喜びを得られるものは、デジタル化するべきでないと共通認識であるようだ。デジタル化の便利さを知っている若い世代も、デジタル化すべきものとすべきでないものとを、自分自身の尺度できちんと判断しているのだ。

 人類がコロナと共存していく“ウィズコロナ”の時代。感染防止対策の意味でも、今後より一層のデジタル化は必要となるだろう。ただし、すべてをデジタル化すればいいというわけでもない。これから時代が進んでも、デジタルとアナログは互いに共存していくことだろう。そして両者の上手いバランスがより強く求められる時代になるのかもしれない。
【調査概要】
調査時期:2021年9月29日(水)〜10月4日(月)
調査対象:計1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女 ※本調査では“デジタル化”とは「デジタル技術の導入によって効率化・コスト削減させることと定義し、アンケートを実施(ペーパーレス化、web会議、オンライン手続きなどが代表的))
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ

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