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生々しさ残るUFOキャッチャー、廃墟が”朽ちはてるまで”を写真で表現 「怖い」だけで終わらせない写真家の執念

  • 投棄されたUFOキャッチャー。ぬいぐるみが置かれたまま残る(C)toshiboさん

    投棄されたUFOキャッチャー。ぬいぐるみが置かれたまま残る(C)toshiboさん

 廃業したドライブインの裏手にあるのは、遊ばれなくなってしまったUFOキャッチャー。投棄されてから時間が経過し、廃れたぬいぐるみが生々しく残る。この写真を撮影したのは、廃墟を専門に撮影する写真家・toshiboさん(@JIYUKENKYU_jp)。ツイッターに投稿された廃墟写真は「人間が忘れていく風景」「ダークさと光のコントラストが素敵」「めっちゃ行きたくなる」などと反響を集めている。toshiboさんに廃墟写真を撮影するうえでのこだわりを聞いた。

「フラッと開拓した場所の方が、何となく愛着が湧く」

ーーどのように廃墟の撮影のポイントを見つけているのでしょうか?

「ひたすらにGoogle mapの航空地図で、それっぽい物を探したりしています。ですが、自分の場合は目的の場所の道すがらで、ばったり撮影したい物を見つける事の方が多いように思います」

ーー道すがらに、見つけていくものなのですね。

「たまたま車を停めた場所が廃墟で、その裏手に、隠されるように投機されていたUFOキャッチャーを見掛けた時は、撮影せずにはいられませんでした。一般的な観光でも、雑誌で紹介されていた場所よりも、自分でフラッと開拓した場所の方が何となく愛着が湧く…って事あると思うんですけど、廃墟のスポットを探すのも、そう言った感覚に近い気がしています」

ーー確かに、ぬいぐるみたちが少し汚れた状態で置かれたままになっていて、生々しさもあって、ホラーゲームに出てきそうな怖さがありました。実際に撮影をしていくなかで苦労することは?

「最近は廃墟の経年変化や経年劣化の”変貌の様子”を記録する写真を撮るようにしているため、過去に撮影した場所に再度訪れるようにしているんです。季節や天候、時間のタイミングなど、違いがはっきり出るように工夫して行動しているので、そのタイミングを合わせるのに苦労しているかもしれません」

「ある意味一番怖かった」真夏の体験談

ーーこれまで訪れた廃墟のなかで、撮影のテンションがもっとも上がったのはどんな時でしたか?

「行き当たりばったりで撮影に行く事が多いので、行ってみたらすごい光景だったことが多く、どこでもテンションは上がっている気がします(笑)。なかでも、かなり感動したのは、赤い瓦が印象的な旅館があった場所です。高台から旅館を見下ろすように撮影したのですが、建物は老朽化と雪害で崩壊していました。僕が初めて訪れた時には既に崩れてしまっていたのですが、時間が経ち、更に崩れて行く様子や、建物の瓦礫が周辺の緑に呑まれて行く様子を記録したくて、毎年訪れる様にしています」

ーーtoshiboさんの作品には、怖さを感じる作品も多いと感じます。それ以上進んでしまうと、戻ってこられなくなりそうな森や、廃校の教室など。撮影していて怖い体験をしたことは?

「正直に言いますと、僕自身あまり”怖い”と思う事がなく、どちらかと言うと、何か物音がしたりすると原因を確かめに行ってしまうタイプなので、怖い話がなかったりします(笑)。ですが、廃墟マニアとして活動している中で、いわゆる『見える』タイプの人も中にはいて、”絶対に行かない方がいい”と教えられる場所も確かにあります」

ーー夏になると「怖い話」も多くなるので、リアルな話が聞ければと思いました(笑)。

「夏場はやはり、どうしても”暑さ”のほうが記憶に残りますね。最高気温が38℃のなかで、丸一日撮影していたこともありました。汗も枯れて何も出てこない様な状態で(笑)。写真を撮っていると、気づいたら数時間経っている事は良くあるのですが、今年は特に暑い日が多い気がするので、何かに夢中になり過ぎて熱中症にならない様に気をつけたいですね。ある意味で一番怖いかもしれません」

いかに没入感を持てるか、”美しい”や”怖い”はあえて使わない

ーー作品として撮影するなかで、もっともこだわっていることは?

「自分が”良い”と思った空間や物を引き立たせたい…と言うのが念頭にあります。”没入感を持てる写真”を目指していて、例えば、写真の構図取りで水平はなるべく出すように、レタッチする際は全ての写真にHDR合成(通常撮影時よりも表現できる明るさの幅を広げる)を施すなど、見ていただける方が写真を違和感なくすんなり見られるように…と毎度考えています」

ーー作品の世界観に、いかに入り込みやすくするか計算されているんですね。

「これはかなり引き算的な思考だと思うのですが『写真を見る側の人に委ねたい』と言う気持ちがあり、自身の作家性や表現はなるべく割愛して、出来る限りシンプルにしようと言った感じです。また、活動もSNSがベースになっていますが、投稿の際に文字情報に”美しい”や”怖い”など文言は入れないようにしています。その甲斐があってか、SNSでは多面的な意見を頂けてるのではないかと思っています」

ーー今後はどのような写真を撮りたいですか?

「廃れや朽ち、もしくは奇妙と言ったテーマでの活動は、今後も変わらずに続けていきたいと思っています。そのようなことに興味のアンテナが向かうので、変わりようはないのかもしれません。廃墟の写真を撮影することは、0(廃墟と化した時点)からマイナス(朽ちていく過程)へ向かって行くような感覚の”時間軸の記録”をしていると考えています。なので、今後はプラスから0へと向かって行く様な記録も撮って行きたいと考えています。

 そして、レンズを通した写真だけでなく、CGなどを用いて、理想の空間を作り上げるようなこともやってみたいと思っています。ただ、完全に技術がないので、どの程度時間が掛かるかわかりませんが(笑)」

Twitter:@JIYUKENJYU_jp(外部サイト)
Instagram:@104b0(外部サイト)

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