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タリーズ開催の絵本大賞 過去に小学生も受賞の「夢の1冊」

 コーヒーチェーンのタリーズコーヒーが展開する、『タリーズ ピクチャーブック アワード』が今年で18年目を迎える。「絵本部門」と「ストーリー部門」に分けて募集され、受賞作は実際に絵本としてタリーズから刊行される。年齢制限や、画法に制限がないのも特徴で、下は1歳から70代まで幅広い層からの応募が毎年集まる。開催のきっかけから、今後の展望までを聞いた。店舗で絵本の読み聞かせを行なうなど、親子スペースへの取り組みも積極的な同社の思いとは。

『第16回タリーズ ピクチャーブック アワード』受賞作品

『第16回タリーズ ピクチャーブック アワード』受賞作品

手描きからデジタルへ手法も様々 70代からの応募も

――まずは、2003年に『ピクチャーブックアワード』をスタートしたきっかけを伺えますでしょうか?

マーケティング本部・関口幸代さん会社の経営理念の中に、「子ども達や青少年の成長を促すために、夢や目標のお手伝いする」という項目がありまして、コーヒーと関連したもので何かできないかと考えたのがきっかけです。音楽や小説など色々な候補がありましたが、絵本なら店舗での読み聞かせなどイベントにも活用できるということで、絵本を募集することに決まりました。

――年齢問わず誰でも応募できるのは大きな特徴だと思います。

関口さんそうですね。10代から70代の方まで大変幅広いです。「キッズ部門」に関しては、下は1歳未満のお子様も。丸や線で一生懸命に描いてくださった作品を見ると、こちらもほっこりした気持ちになります。

――画材や技法などを限定しなかったのはなぜでしょうか?

関口さん開催当初は手描きの方が多かったですが、近年ではパソコンで描かれる方も増えていますし、切り絵や写真を加工される方もいらっしゃって。技法を絞ると作品の幅も狭められてしまうと感じたので、あえて限定せずに募集を行なっています。
  • ストーリーと絵、タッグを組んで応募する人も

    ストーリーと絵、タッグを組んで応募する人も

  • 受賞からロングセラーとなる作品もあるそう

    受賞からロングセラーとなる作品もあるそう

――「絵本部門」「ストーリー部門」について、それぞれ応募される方の傾向はありますか?

関口さん絵本部門は、やはりずっと絵本作家になりたかった方が多いです。共作も可能ですので、ストーリーと絵、タッグを組んで応募される方もいらっしゃいます。ストーリー部門に関しては、絵本を作ってみたいけど絵が描けないという方が、文章のみで応募される印象です。お子様から年配の方まで幅広い応募があり、最近は小学生も増えていますね。

――実際の審査の流れについて教えてください。

関口さんまずは担当者がすべての作品に目を通した後、編集協力いただいているグランまま社さんの編集長と2次審査を行ないます。5作品程度に絞った後、社内の社員で3次審査を実施します。絵本部門に関しては、その後約3作品を「お客様審査」という形で、店舗に“審査ブック”を置いて見ていただいております。

――店舗に来るお客さんも審査に参加できるんですね。

関口さん店舗限定ですが、北海道から九州まで全国の店舗の中から選定し、生のお客様の声も反映させて最終的に判断しています。

アワード初の詳細なテーマ設定 こんな時だから「人とのつながりを」

――今回は「たからもの」がテーマでしたが、ここに込めた思いを伺えますか?

関口さん実は、今までは「家族で楽しめるハッピーな作品」など、幅広いテーマで実施していたんです。ですが、今年はコロナ禍ということもあり、“人とのつながり”を感じられたり、読んだ方が“温かい気持ち”になれるテーマをと考え、「たからもの」にさせていただきました。

――応募状況はいかがでしたか?

関口さん「絵本部門」は例年よりやや増えた印象ですが、「ストーリー部門」は、例年の2倍ほどに伸びました。コロナ禍で家にいる時間が増えたことも大きかったと思います。

小学生の女の子による作品が受賞『はっくしょん』

小学生の女の子による作品が受賞『はっくしょん』

――過去の受賞作品で、印象的だったものがあれば教えてください。

関口さん第13回で、当時小学4年生の女の子が受賞した作品はとても印象深いです。『はっくしょん』という作品で、女の子のくしゃみが世界を一周するお話で、ストーリーもとてもよかったんです。作文用紙に手書きで書かれていたので、“子ども”というバイアス抜きに審査して欲しいと思い、編集者の方にお見せする際は、あえて文字をパソコンで打ち直して、お渡ししました。その後の審査でも高評価を経た結果、その作品が選ばれて、我々としても心に残る一作となりました。

――ご本人も喜ばれたでしょうね。

関口さん受賞のお知らせに、お住いの近くまでお会いしに行ったんですが、とても喜んでくれました。本を読むのが好きな女の子で、応募した作品以外にも何作品かため書きされていたそうです。

――受賞作が実際に絵本として刊行されるのも、アワードの大きな特徴ですよね。

関口さんそうですね。毎回受賞された作者の方には、編集の段階から印刷まで立ち会っていただいています。自分の作品が初めて印刷されるところを見て、刷り見本を大事そうに持ち帰られる姿を見ると、こちらも毎年感動しますね。

絵本がきっかけで入社 一緒に夢を形にしていく喜び

――タリーズの店舗は、絵本が置いてあることもですが、小さなサイズの椅子やテーブルがあったりと、キッズコーナーが充実している印象があります。店舗環境において心がけていることはありますか?

秘書室 秘書広報グループ・須崎未紗さんお子さんたちがキッズスペースで遊んでいる間、親御さんたちにはコーヒーを飲みながらゆっくりしていただけたら…という思いがあります。もともと店舗によって小さい椅子やテーブル、大きいクマのぬいぐるみを置いていたり、絵本の読み聞かせ会などの開催はしていたのですが、2014年からは“キッズコミュ”という名前をつけて、本格的に取り組んでいます。
  • 「タリーズコーヒー キッズコミュ」イメージ

    「タリーズコーヒー キッズコミュ」イメージ

――絵本の読み聞かせも、定期的に行なっていらっしゃいますよね。

須崎さん今はコロナ禍でなかなか難しい状況ですが、以前は月に1度などコンスタントに実施していました。ドリンクを買っていただくだけで参加できるので、反響もたくさんいただいています。

――キッズスペースにも、「ピクチャーブックアワード」で出版された本が置いてあるんですよね。

須崎さん誰でも自由に読めるようにしているので、気軽に手に取っていただけたらうれしいです。

――絵本は横長で小さいサイズも特徴的ですが、こだわりは?

関口さん出版当初は、通常の書店にあるように大きいサイズだったのですが、親子で読みやすいサイズを追求した結果、現在のオリジナルサイズにしています。横幅を広くすると親子で並んで読みやすいですし、カバンに入る大きさなのも1つポイントですね。

――単にコーヒーを飲む場所、というだけではなく“親子で楽しめる”という点を、お店作りから感じることができます。改めて、「ピクチャーブックアワード」への思いを伺えますか?

関口さん私自身、もともとコーヒーが飲めなかったのですが、就職活動中に初めてタリーズで『カフェモカ』を買ったんです。それがおいしくて感動したのと同時に、そのお店に置いてあった絵本を見たのがきっかけで、入社しました。入社当時から希望していた絵本に関わることができ、毎年たくさんの方に応募していただけて大変うれしく思っています。

――最後に、今後の展望を教えてください。

関口さんこれからも、お客様や作者の方の記憶に残る作品が残せるよう開催していきたいと思っています。受賞をきっかけに活躍される方も増えているので、今後も途絶えさせずに続けていきたいです。

 『第18回タリーズ ピクチャーブック アワード』の受賞作品の発表は、7月最終週を予定している。今年も多数の応募のなか、「絵本部門」「ストーリー部門」それぞれ1作品が決定し、10月に1冊の本として刊行される。コロナ禍に作られた「たからもの」をテーマにした名作は、作者だけではなく、読み手の心も温めるに違いない。

(取材・文/辻内史佳)

昨年、第17回の受賞作品

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