• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • ライフ
  • 博多土産『めんべい』わずか20年で業界トップに、100年続く老舗菓子ひしめく激戦区でなぜ?
ORICON NEWS

博多土産『めんべい』わずか20年で業界トップに、100年続く老舗菓子ひしめく激戦区でなぜ?

 ラーメン、もつ鍋、明太子など、全国屈指のグルメスポットとして知られる福岡。舌の肥えた博多っ子を満足させる銘菓も多く、玄関口となる福岡空港や博多駅にはご当地土産がズラリと並ぶ。そんな激戦区の博多土産市場で、発売からわずか20年で人気トップの座に躍り出た商品が、辛子明太子風味のせんべい『めんべい』だ。100年以上続く老舗菓子メーカーが乱立する中、なぜ、短期間で福岡を代表する地位に上りつめることができたのか。人気の秘密を探った。

“割れやすさ”は土産菓子の致命傷、それでも「うまさを優先」

『めんべい』誕生は2001年。開発・発売した山口油屋福太郎は、1909年に福岡市で食用油製造業として創業。その後、食品卸業に加え、72年からは福太郎の屋号で辛子明太子を製造・発売する会社だった。

 当時、博多には辛子明太子の製造会社が多数あったが、辛子明太子が“博多名物”として広く全国に知られるようになったのは1975年、山陽新幹線が博多駅に乗り入れたことがきっかけ。しかし、生ものであるために、遠方に帰る客には買ってもらいにくいという難点もあった。

 そこで同社は、「消費期限が長く、常温で持ち運べる明太子を使った博多の新名物を作りたい」という思いからお菓子の開発をスタート。当時は斬新だった“明太子味”に挑戦した。

 せんべいに着目したのは、人気のお土産の三大要素といわれる「安い・軽い・美味しい」を兼ね備えていたから。キャッチーなネーミングは、新入社員のアイデアだったという。とはいえ、完成までの道のりは決して楽なものではなかったようだ。同社の広報担当に話を聞いた。

「おせんべいの材料はお米や小麦粉などがありますが、『めんべい』はじゃがいもでんぷんをベースにしています。また、旨味もエキスやパウダーを使うのではなく、自社の明太子にイカ、タコという素材を練り込みました。さらに明太子だけだと塩味がきつくなるので、イカやタコをバランスよく混ぜることで旨味を引き出すよう苦心したそうです。ただ、具を練り込んだおせんべいは、どうしても割れやすく、でも、割れないように調合を変えると、味が落ちてしまう。最終的には、割れやすさは承知のうえで、おいしさにこだわりました」

博多人が「自信をもってオススメできる」、口コミが全国へ拡大

 同社のチャレンジ精神は、販売戦略にも表れている。土産物店だけでなく、地元の人が通うスーパーの鮮魚コーナーでも販売。さらに空港や駅の土産物店では、味への自信から「美味しさを実感してほしい」と積極的に試食販売を展開。結果、口コミでじわじわと地元を発信源に人気が広がっていったという。

 そんな『めんべい』の知名度が全国区に拡大したのは、10年目のこと。口コミによる人気の広がりを受けて、情報番組『がっちりマンデー?』(TBS系)やバラエティ番組『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)などで紹介され、土産売り場での存在感をさらに増していった。

「福岡空港や博多駅には、『め』と大きく書かれた当社の紙袋を持っている方々が大勢歩かれていて、それもさらなる宣伝効果になったかもしれません。見た目は地味かもしれませんが、食べると美味しさに惹かれるというお声をたくさんいただきました」

「ついに叶った!!」SNSで話題、チロルチョコやカルビーとの注目コラボも

 今年の4月には、チロルチョコがコロナ禍で「おかしで日本を明るくしたい」という想いからから始まったSNSキャンペーン「#おかしつなぎ」を機に実現したコラボ商品『めんべい味のチロルチョコ』が話題に。さらに6月には、カルビーとドン・キホーテとコラボした『ポテトチップス めんべい味』を発売するなど、他企業とのコラボも続々と展開してファンを楽しませている。

 さらにコロナ禍で旅行客が減り、大打撃を受けた中でも、土産ではなく“自家消費用”として訴求する『めんべいチップス』や、『めんべい』にデコレーションができる『めんべいお絵かきキット』といった新商品を開発。迎えた20周年企画では、7種類目のレギュラー味『めんべい香味えび』を発売中。さらに夏には、『めんべい』味を再現した一口サイズのせんべい『博多のめ印』も、全国で発売予定という。

「当社は“感動と喜びをずっと提供し続ける”をモットーとしているので、20年経った今でも、どんどん面白いことをしたいという考えは変わっていません。この地位に甘んじないよう、日本中の皆さまに楽しんでもらえる商品を提供できればと考えています」

 コロナ禍、元気のない日本を、お菓子の力でどんなふうに盛り上げてくれるのか。『めんべい』の今後の挑戦にますます期待を寄せたい。
(取材、文/河上いつ子)
タグ

あなたにおすすめの記事

 を検索