木彫り熊、SNS時代に再注目 “鮭をくわえた”イメージ覆す多様な熊に若者たちも反応
大正末期にスイスから伝来、鮭は“くわえる”より“背負う”ほうが一般的だった!?
「鮭は“くわえる”よりも、“背負う”ほうが一般的だったんですよ」と話すのは、フリーの編集者で、木彫り熊の魅力を発信する活動を行う「東京903(くまさん)会」の代表・安藤夏樹氏だ。「スイスの木彫り熊の特徴の1つに、“擬人化”が挙げられます。八雲の熊は当初、スイスの熊を模倣して作られていたので、擬人化熊も多く彫られました。その流れから、鮭を背負っているスタイルは早い段階でありました。ちなみに、誰が熊に鮭をくわえさせたのかをはっきり示す資料は、現時点では見つかっていません」(安藤氏)
木彫り熊の展示イベントには、30〜40代が多く来場
クリエーターが語る、北海道の木彫り熊の魅力「自分の好きな熊を探すこと」
自身も木彫り熊を制作するようになって、クリエーターとしてどこに魅力を感じているのかを尋ねてみると「自分の好きな熊を探すこと」と高野氏。「木彫り熊には、繊細な毛並みで一瞬の動きをとらえたものから、ゴロンとしたカタマリのように見えるものまで、大勢の作家があらゆる表現で制作しています。そのなかで独自の造形を見つけるのは非常に難しいのですが、さまざまな表現で作られているということが、『北海道の木彫り熊』は決まった『型』よりも大事にしていることがあるよ、と示してくれているような気がしますし、それを探し出すことに面白さを感じています。北海道の木彫り熊には、とても魅力的な熊がたくさんありますので、まずはそんな熊たちをどこかで目にしていただけたらと思います。びっくりしますよー」(高野氏)