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『テニプリ』作者、“トンデモ展開”は読者ツッコミ待ち?「ONE PIECEに負けたくない」90年代ジャンプデビュー当時語る

「『ONE PIECE』にも負けたくない」、アンケート1位への想いが“一歩外れた”展開に

  • 3DCG映画『リョーマ!』場面カット

    3DCG映画『リョーマ!』場面カット

――そんな『テニプリ』ですが26巻で“無我の境地”という超人的な技が登場して以来、凄技のオンパレードです。『ジャンプ』と言えば、『侍ジャイアンツ』(1971年)の魔球があり、『キャプテン翼』などもそうですが、技名を叫びながら超強力な必殺技を繰り出す王道の流れがあるかと思います。それを踏襲したのでしょうか?

許斐剛そうですね…。それはファンタジー系の作品に負けたくなかったから、かな。『ジャンプ』は日本一の少年マンガ誌で、その中での一番を目指したい作家さんが集まってきます。トップ・オブ・トップを目指す作家さんがアンケート制というシビアな状況で切磋琢磨しているのが『ジャンプ』の強さで、例にもれず私も一番になりたかった。そうなると、『ONE PIECE』にも当然、負けたくない。ファンタジー要素のあるもの、大見得を切って必殺技を繰り出す作品は、子どもが夢中になります。それが必要だと思いました。しかし、格好いいだけだと受け入れてもらえない傾向も。“ダサ格好いい”方が面白がられますしね。

――“ダサ格好いい”…最近だと、透明になる技「不会無(ふえむ)」が登場し、「ついに透明人間まで!」などとネットで話題になっていましたが、それらもすべて意図して?

許斐剛もちろん。私は天才ではなく、凡人なんです。天才だと天然でぶっ飛んだことが出来ますが、私は凡人だから常識的で「これは一歩外れている」というのが分かる。その踏み出すか、踏み出さないかのバランス感覚で22年間、やってきました。最近だと「これはバズるだろう」「こういう風に記事に取り上げられるだろう」と考え、その記事の見出しになるだろう部分まで提供するよう心がけてもいます。その記事を間口に読む方もいらっしゃるでしょうし、私は、漫画はエンタテインメントだと思っているので、とにかく楽しんでもらいたい。

――なるほど。読者のツッコミ待ちなんですね。

許斐剛まさしく。だからツッコんでくださる方は私の術中にハマっています(笑)。馬に乗ってテニスをしたり、そうすると皆、ツッコみたいじゃないですか(笑)。ただ、劇薬みたいなものなので、あくまでもテニスのルール内で、というのは大前提です。

――確かに、テニスのルールに「透明人間になっちゃいけない」というのはない。

許斐剛はい。なので、今も私は「何をしていないか」探しています。「そういえば、まだゾンビは出てないな」とか(笑)。

「痛快ストーリー、今の子どもにも絶対通用する」 “新生”劇場版に込めた想い

3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』場面カット

3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』場面カット

――そんな中、3DCG映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が公開されます。実写版を含めて、10年ぶり4作目の映画化です。

許斐剛私はアーティストとしても活動させていただいているのですが、2016年に、VRライブ(初のワンマンライブ『許斐 剛☆サプライズ LIVE 〜一人テニプリフェスタ〜』 ※☆は内側が黒星の白星)を見た映画業界の方から「面白いことをやってますね」と食事に招いていただきました。そこで「先生の夢は何ですか?」と問われ、「3DCGで、今まで見たことない、こうこうこういう映画を作りたい」と熱く語ったら、「その夢、協力させてください」と言っていただき。それがこうして形になりました。とても嬉しかったですね。

──3Dにこだわった理由は?

許斐剛まったく新しいものを見せたかったからです。3Dはお金がかかるので「2Dではどうですか?」と何度も言われたんですけど「そうじゃないんです」と。これは、これまでの劇場版の延長ではなく、ここから初めて『テニプリ』を観る新たな世代にも届けたかった。だからこそタイトルには『テニスの王子様』と入れたくなかったんです。

──作品名を入れたくなかったんですか!?

許斐剛『テニプリ』を知らない子たちにも見てもらえるようにハードルを下げたくて、タイトルにも『テニスの王子様』と入れたくなかったんです。一人の生意気な天才テニス少年がラケット一本で大人をなぎ倒していく痛快ストーリーは、今の子どもにも絶対に通用すると思っています。結局『リョーマ!』に落ち着きましたが、完全な“新生”劇場版です。ロードムービーのように楽しんでもらえたら幸いです。


(取材・文/衣輪晋一)

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