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ダウン症の弟、急逝した父、倒れた母に気づかされた“家族”の意味「家族は選べる」

人と同じようにできないことを恥じていた自分を救ってくれたのはダウン症の弟「家族を信じることを選んでいい」

 初著書のタイトルは、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。奈美さんは“家族”というものに対して、どのような考え方を持っているのだろうか。

「ある本を読んで、私の中で“家族”についての考え方が変わったんです。カメラマンの幡野広志さんという方の本で、『家族は選択できないものから選択できるものになっている。自分に良い影響を与える人の存在は自分で選ぶことができる。』という解釈を読んだときに、はっとしたんです。これまで、情けなさと悔しさにおぼれていた私を助けてくれたのはいつも家族でした。でも、それは家族という理由で私を助けてくれるのだから、それに甘えてはいけないと。しかし、先の言葉を読んで私は『家族を信じることを選んでいいんだ、家族も私のことを信じることを選んでくれたのだから』と思ったんです。もちろん事情は色々あると思いますが、障害がある家族の面倒を見るのが辛いのなら、家族と距離をおいてもいいんじゃないかなって。家族に対する考え方や思い込みに疑問を持ってもいいと思うんです」
 心身の不調で会社を休職していた時も、助けてくれたのはダウン症の弟だった。休職中ずっと家にいたときに、弟が「どっかいこ」と誘ってくれたそう。「その旅行中に、弟の強さを感じました。みんなができていることができなくて悩んでいた私は、弟の当たり前のことができなくても楽しくやれているところを見て、目が覚めたんです。人と同じようにできなかった自分を、迷惑をかけている自分を、恥ずかしく、情けなく思っているのは、ほかでもない自分だと気づきました」悩むことをやめ、人の目を気にすることをやめてみたという奈美さんは、その後会社へ復帰できた。強く優しく、自分らしい生き方を謳歌する弟だからこそ、奈美さんは弟を“選んだ”のだろう。

 『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』というタイトルには、家族に選ばれ、家族を選んだ奈美さんの思いが込められていた。最後に、今後の目標について聞いた。

「今、これまで発表した私の家族のエッセイのエピソードをモチーフに、“私はこの時にこんな行動をしていたらどうなっていただろうか”という妄想小説を小学生向けに書いているので、いつか発表できたらと思っています。あと、福祉関係の製品やサービスのPRも続けていきたいですし、岸田奈美を色んな面から楽しんでもらえるようなことをどんどんやっていきたいです。そして今は仕事の都合で離ればなれで暮らしているのですが、いつか母と弟と一緒に暮らすのが私の目標です。」

(取材・文/奥村百恵)

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