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『めちゃイケ』『電波少年』を下支え アニメに頼らない“声優”木村匡也、ナレーターの矜持

ナレーターは読み手の顔や人格を想像させてはいけない

『がっちりマンデー!!』(TBS系)の収録テーブル前で (C)oricon ME inc.

『がっちりマンデー!!』(TBS系)の収録テーブル前で (C)oricon ME inc.

 これらバラエティの仕事がフィーチャーされがちだが、実はドキュメンタリーなどの“硬派”な仕事も多く、情報バラエティ番組『サカスさん』(TBS系)で「プロのナレーターが選ぶすごいナレーターベスト5」の1位に選ばれたこともある木村氏。その技術と実力は同業者からも高く評価され、現在はナレーションスクールの講師や、局アナウンサーのナレーション指導を務めるなど、後進の育成にも精力的に携わっている。特に近年はキャリアを経たプロの声優に指導することが増えているという。

「(アニメなどを手掛ける声優は)若さやルックスが求められる時代だけに、ある程度の年齢になって『仕事の幅を広げなければ』と危機感を持つ人もけっこう多いんです。ただ、同じ声を操る仕事でも声優とナレーターではまったく異なります。声優が『キャラクターと一体となって視聴者の心に深く突き刺さる分野』であるのに対して、ナレーターは『ニュートラルなボイスを駆使する分野』。つまり読み手の顔や人格を想像させてはいけないんですね。その逆をついて『キャラクターのイメージがたっぷりついた声』をあえてナレーションに起用する手法もありますが、その場合でもやはり『視聴者に第三者的な価値観を入れさせない読みの技術』と、それをつかむための『地道な基礎訓練』は必須。TARAKOさんや三石琴乃さんといった方々は本当に努力されて『声優がナレーションをやる』という道を開拓されたんだなと思いますね」

 実に30年以上にわたり、ナレーションという「ニュートラルなボイスを駆使する分野」の第一人者として活躍してきた木村氏。だが来春、55歳にして新たなことに挑むという。

「ありがたいことにオファーをいただき、来年4月放送のアニメーション作品に声優として出演することが決まりました。55歳のウルトラ遅咲きデビューです(笑)。アフレコを行っているのですが、現場で監督さんから『そんなに綺麗に読まなくていいですよ』と指摘されまして。やっぱり実際にやってみると、思っていたことの半分も表現出来ないので、『さすが、声優って難しいなぁ〜』と実感しているところです。ナレーションを30年やってきましたけど、自分の声もまだまだだなと痛感しました(苦笑)」

 トップランカーとしての地位に安住せず、自らが培ってきたものとは異なる声の技術を持った職業(=声優)へのリスペクトも忘れない。と同時に、今も“現役”である以上、若手には負けたくないという気持ちは強い。

「アニメの声優を経験したことで、ナレーションに挑戦したいという声優さんたちをますます応援したくなりましたね。一緒に切磋琢磨しましょう!だけど、お正月の『格付けチェック』は、まだまだ若いもんには渡しませんよ(笑)」

取材・文/児玉澄子

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