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“アムラー”“ガングロ”の再来は? 平成から紐解く令和の美容「時代を象徴するミューズは生まれにくい」

 平成30年間の美容史を膨大な資料や意識調査から分析した書籍『平成美容開花 平成から令和へ、美容の軌跡30年』に描かれたトレンドメークの再現やアイメークの遍歴といったイラストが、「懐かしい!」とSNSで話題になった。「バブル」を始め、「アムラー」や「ガングロ」など、時代を象徴するようなヘアメイクやファッションが数多く送り出された平成の流行から紐解き、令和の美容についてポーラ文化研究所の研究員・富澤洋子さんに聞いた。

“アムラー”時代のような細眉は、戦前にもブームが

──同書の出版の経緯を教えてください。

富澤洋子さん ポーラ文化容研究所は化粧文化に関する研究活動を行っております。出版活動としては、これまでも各時代の化粧文化史をまとめた学術書を編纂してきました。ただ平成はタイムリーに過ごした方が多い時代ですので、より広く楽しんでいただけるものにしたいと企画したのが本書です。

──どのような資料をもとにされたのですか?

富澤洋子さん まず平成を象徴する11誌の女性誌を選択。化粧記事から約1万件のデータベースを作成し、その時代の傾向やキーワードなどを読み解いていきました。また美容に関する意識調査と分析は長年にわたって実施していまして、今回は令和に改元した直後に行った調査も含めて収録しています。

──イラストや写真で楽しめる1冊でもあります。SNSでは「バブル期はファンデーションを塗った顔の色と塗っていない首の色が違う」といった指摘も(笑)。

富澤洋子さん 表紙の裏には平成のトレンドメークやファッションをまとった女性たちが時代を超えて一堂に会するパーティの様子が忠実に再現されていて、どこに目線を合わせるかで年齢がわかるという遊び方ができるとおっしゃる方も。「女子会のお供にしたい1冊」とPOPを書いてくださった書店員さんもいらして、時代の気分をシェアしてくださっていることがうれしいですね。

──平成の奇抜な美容トレンドとして、今なお語り継がれるのが“ガングロ”です。

富澤洋子さん 安室奈美恵さんをミューズとする“アムラー”や“コギャル”から派生した“ガングロ”と呼ばれる10代の女の子たちですね。

──極端なまでの細眉も特徴でした。もう生えてこないんじゃないのか、というくらいに眉毛を抜いてしまったり。

富澤洋子さん 細眉については実は戦前にもブームになったことがありました。マレーネ・ディートリッヒというハリウッド女優の人気で。

肌への意識が向上した平成、小麦色の肌に憧れながらも実際には日焼けを避ける方が多かった

──歴史は繰り返すと言いますね。“美白信仰”が長らく続いている印象ですが、ガングロブームはまたやってくるでしょうか?

富澤洋子さん 未来を予見するのは難しいですが──。そもそも日本の美容史において、小麦色の肌がもてはやされたのはごく限定された時期だけなんですね。まずは「カリプソ」という中南米の音楽が流行った1950年代。お手本は浜村美智子さんのエキゾチックなメークで、ブラウン寄りの唇の色がたしかにアムラーっぽかったもしれません。ただ眉は細くなかったですね。そして、その次が女性の海外旅行ブームで「日焼け肌=夏を満喫した証」とされた1980年代。日本における「日焼け肌=健康美」として推奨されましたが、実はこの時期が「美白」への転換期となります。

──では、平成のガングロブームは?

富澤洋子さん 見た目に目立ったため社会現象的に取り上げられましたが、あくまで一部のコミュニティの間での流行りだったと結論付けられるでしょう。というのも昭和後期に大きく報道された「オゾン層の破壊」、それに伴う紫外線が肌に与えるダメージの啓蒙をきっかけとして、その後に続く平成は女性たちの肌への意識がどんどん向上していった時代でもあったんですね。

──環境問題が美容にも影響を?

富澤洋子さん そうですね。“ガングロ”が登場した平成10年前後の雑誌では、「ファンデーションでテラコッタ肌を演出」といった提案が目立ちます。ということは、小麦色の肌に憧れながらも実際には日焼けを避けていた方が多かったことが読み取れます。

──令和に続く平成後期の美容トレンドでは、どんなところに注目されましたか?

富澤洋子さん 平成中期以降は情報化が一気に進み、嗜好も細分化されたことで際立ったキーワードや安室奈美恵さんのような時代を象徴するミューズがなかなか登場しなくなりました。ただ私が本書を編纂していくなかで、実は現在に続く美容意識に大きく影響を与えていたのでは、と考えたのが平成23年の東日本大震災です。

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