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【高橋ダン】日本人はなぜ“勉強”しないの? 勉強という“行為”のみを美徳化する危険性
日本が大国の仲間入りを果たしたという誇りは、既に過去のモノ
僕は日本人と言えば“勤勉”だと思い込んでいた。“勉強”も好きだと。ですが、この数字を見ると、大学を卒業して社会人になった日本人が、再び教育機関に入学するというケースは稀のようですね。
なぜこんなことになってしまっているのか考えました。日本の労働時間は世界でもかなり長い。つまり、単純に学ぶ時間がないのではないかと。このデータは僕のTwitterにもアップされているのですが、そこにある日本人からこんなリプライがありました。「日本は残業が多くて勉強する時間がない」「成果より残業を長くしている人が評価されるシステムがあるから」「残業代が出るから無駄に残業をしている人がいる」と。
日本のすべての企業がそうではないでしょう。ですが、中でも「成果より残業を長くしている方が得」という指摘は大問題だと思いました。残業をしている方が上司からの評価が上がる、会社のシステムとして残業代が出る。だから無駄に残業する…この労働環境のせいで、日本人が新たに資格を取ったり、会社がそれをプロモートするモチベーションがなくなってしまっている。ただ奴隷のように、長く働いてお金をもらうというのは、僕から見ればあまり効率的ではない。
会社のために、或いは、家族を養おうと残業代を得るために“働く”というのは、なるほど、“勤勉”であるとも言えるかも知れません。ですがこの価値観は、高度成長時代だからこそ成り立っていたもの。戦後、すべてが壊された日本はとにかく作り続けるしかなかった…。でも今はもう“戦後”ではない。勤勉さをアイデンティティに戦後復興を遂げ、大国の仲間入りを果たしたという誇りは、既に過去のモノと見るべきです。過去の成功体験を引きずって社会を変えてこなかった結果、“失われた30年”が続いていると僕は考えます。