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コロナ禍での舞台制作者の現状 リモート生配信の是非「活動を止めてはいけない」

回線環境の問題など、テクノロジー面でのフルリモート上演の難しさ

──お茶菓子のパッケージもステキで観劇の特別感を演出してくれるとともに、落語との相性もピッタリでした。

永野拓也 僕は演劇をやってきた人間ですが、もともと古典演芸を観劇するのも大好きで。日本においてオリジナルのミュージカルを制作するチャンスは非常に少ないのですが、継続的なシリーズを目指すにあたって演目が多く、サービス精神に満ちていて、かつ懐の深い文化である落語の力をお借りしようと思いました。巨人の肩に乗るってやつですね。それが『劇的茶屋』の企画の始まりでした。

──フルリモート上演にあたって、通常とはまったく異なる制作や稽古のご苦労もあったのでは?

高原紳輔 テクノロジーに関しては、すべてが一からの勉強でした。作品のクオリティを落とさずにお届けすることが第一だったので、まずは機材の準備から始めました。それも配信する側だけでなく、役者にも回線や映像、音声などの質が一律に保てるものを配りしました。それぞれ自宅のネット回線の環境が異なるので、どこまで合わせられるのか試行錯誤の繰り返しで、大変でしたが、うまくいったときの喜びも大きかったですね。
永野拓也 あとは照明もそうですね。役者さんにはそれぞれの自宅から演じてもらっているので、明るさを一律に揃えないと(物語の舞台となる)同じ長屋にいるようには見えないので。

──セリフのやり取りや歌唱などで、役者さんにはどんなご苦労があったようですか?

高原紳輔 やはり役者同士が生で顔を合わせてないぶん、間や呼吸を合わせるのは非常に大変だったようです。その点は、観ている側と演じている側が違和感を感じなくなるまで試行と改善を繰り返し、稽古し、埋めていきました。

──ロングラン公演を実現したなかで、トラブルなどはなかったですか?

高原紳輔 首都圏に大雨が降った日に、雷で回線が混線して配信が止まってしまったことがありました。稽古中にも配信にまつわるトラブルは何回もあってそのたびに対策は講じていたのですが、まさか天候にも左右されるとは(苦笑)。
永野拓也 ただ、そういったイレギュラーな事態を想定した稽古もやってきました。万が一配信が止まってしまったら、再開したときに「タイムワープか!?」といったセリフを入れるなど、さまざまなトラブルを想定し練習してきました。

──舞台役者さんはトラブルやイレギュラーな状況に強いイメージがあります。

永野拓也 生の舞台でもアクシデントを完全に回避するのは難しいですし、そこで慌てず、むしろユーモアでエンタテインメントに昇華するという、スキル面でも精神面でも非常に頼もしい役者陣でした。

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