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「リモートできない」コロナ禍で雑誌も広告もイベントもストップ、プロカメラマンの窮状

「ロケをしていたらクレームが入る」、ロケバス、ヘアメイクも壊滅状態

 一方、ファッション・広告系の撮影をメインとするカメラマンM氏もまた、同様に仕事の依頼はストップしているという。さらに、撮影に関わる様々な業種の窮状も教えてくれた。

 「まず、白ホリゾントのスタジオ(四方が壁に囲まれた密閉されたスタジオ)は、東京都から休業要請も出ており、営業しているところは少ない。ハウススタジオ(家屋風などシチュエーションのあるスタジオ)は窓を開けたりできるので、一部で通販カタログ等の撮影をすることもあるようです。とはいえ、スタジオはある程度人員を雇っているところも多く、人件費も発生する。経営するスタジオのうち、いくつかを閉鎖するという話も聞きますね。また、屋外で行うロケ撮影なら可能と思われますが、都心でモデルを使ったロケをしていたら、クレームが入る可能性がある。だから大手雑誌社などはロケも中止。その分、ロケバスを運営する会社は悲惨です。2ヵ月もその状態が続いていたら、どこも潰れてしまう」。

 また、撮影に関わるヘアメイクも、打撃を受けている職業の一つ。タレントやモデルに近づいてメイクを行うこともあるが、メイク道具を使いまわすことも問題視されている。「メイクで使う筆やパフなども、一度使ったら毎回消毒が必要になるので、メイクさんの負担が非常に増えている。一方で、マスカラなどはメイクさんではなく、モデル自身が施しています。目の粘膜からの感染もありますからね」。

雑誌は発行を見送り合併号に、広告には予算がつかず…

 撮影にまつわる様々な分野に影響が出ていることで、ファッションなどを扱う雑誌社もモデル撮影を中止し、3密が発生しない静物(服など)のみの撮影を行っている。それだけに、通常どおり雑誌を発行することは難しく、発売を遅らせ合併号として発行するところも多いそうだ。「ただ、完全に休刊するとスポンサー料が入らないことになり、雑誌が立ち行かなくなる。だから、なんとかして出さないといけない」という。とはいえ、広告の撮影自体も「コロナの影響でお金が動かず、予算が付けられない。新たな撮影は行いようがない」というから、もはや八方ふさがりと言うほかない。

 このように、テレビやライブ、映画、演劇の窮状など、ニュースで報道される内容以外でも、エンタメ界に大きな影響を及ぼしているコロナ禍。カメラマン両氏とも、持続化給付金の給付は受けられたようで、なんとか現状をしのいでいるようだ。だが、この状況は多少改善するとはいえ、今後も続いていくことに変わりはない。「様子を見ながら、少しずつ再開していくしかない。だが、コロナの影響が完全になくなるわけではないので、これまでのやり方は変わっていくだろう」とM氏。

 生活必需品ではないとはいえ、人々の心や生活を豊かに彩るエンタメやファッション。これまで通りとはいかないにせよ、これらに関わる仕事もコロナとの共存の方法を見出し、1日も早く、文化をつないでくれることを願う。

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