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「ヘアヌードとつけば何でも売れるようになった」写真家・篠山紀信が振り返る“平成の写真史”

 慶応大学卒の結城モエ、帝京大学卒の高尾美有、中央大学卒の松井りな、キャンパスクイーン卒業生の女優3人が「いまの自分を表現したい!」と、写真家・篠山紀信に直談判。フランス語で「初めて」を意味する『premiere(プルミエール)』が誕生した。さらに1月23日には、山梨県にある清春芸術村を舞台に、彼女たちとアート作品とのセッションを収めた篠山による写真集『premiere ラリューシュの館』も発売。今回、『premiere』シリーズの創作秘話に加え、篠山が「もっとも興味深いテーマ」として掲げてきたヌード写真の変遷と魅力について聞いた。

篠山自身も「初めての経験だった」 女優たち自らヌード志願

 篠山の最新作にして、“平成最後”の写真集となった『premiere』シリーズ。誕生する発端となったのは、結城、高尾、松井らが「自分の殻を破りたい」「何か思い切ったことがしたい」と声を上げたことだった。彼女たちの熱い想いを聞いた篠山は、「時代が変わったな」と感心した。

「これまでは、事務所の人が『この子は伸びますよ。ぜひ撮ってやってください』と言っている横で、当の本人は嫌そうにしていることが多かった(笑)。でも今回、彼女たち自身が『やりたいです!』と切望したんだからね。こんなこと何百冊と写真集を撮ってきた僕にとっても初めての経験だった」

 『premiere』それぞれには、巻末に彼女たちが綴ったあとがきがあり、ヌードに挑戦することに大きな葛藤と迷いがあったことが綴られている。だが、撮影が始まってしまうと楽しくて仕方ないという感情に変わっていったという。篠山をはじめ、この撮影のために召集されたヘア、メイク、ファッションのプロたちと一緒に「ものづくり」ができる喜びを実感していたためだ。

「僕がヌードを含めた女の子の写真を撮るとどうしても男目線になるし、男性雑誌の読者が欲するような写真になってしまう。でもね、この作品に関してはそういう風にはしたくなかったんです。彼女たちの気持ちを大切にしたかったし、女性読者にも素敵と思ってもらいたかった。だからスタッフを一新して、女性誌などで活躍する人たちに参加してもらったんです。とことん、女性に寄り添って作り上げました」

「制限」があるからこそヌードは面白い

 日本の写真史、ことヌード写真において常にトップランナーとして走り続けてきた篠山に、改めて平成のヌード写真史について振り返ってもらったところ、「ヌードは時代と敏感に反応するもの」と前置きした上で語り始めた。

「写真家にとって『ヌード』は面白いテーマなんです。国や時代、あるいは宗教や習慣によって必ず制限があるでしょう?日本でもアンダーヘアは長らく禁じられていたけれど解禁されたし、逆に児童ポルノ法が制定されて以来、未成年のヌードはダメになった。でも制限があるからこそいいんです。もし無制限だったら表現の喜びがなくなってしまうからね。ヌードは時代の空気を如実に映し出すものなんです」

 日本でアンダーヘアが写った写真集を最初に発表したのは篠山紀信本人だ。平成3年(1991年)に女優・樋口可南子を撮り下ろした写真集『water fruit』だった。

「当時、外国ではアンダーヘアが写った写真集がばんばん出ていたんです。モノクロでアートっぽい作りだったから、そういう感じの写真集にすれば日本でも文句は言われないだろうと思ってね(笑)。樋口さんはすごく色っぽい方だから、『エロス』をテーマにいやらしく撮った。そしたらマスコミが『ヘアヌード』という新しい言葉を作って騒ぎ立てて……。結果としては55万部も売れたんですよ。それ以来、『ヘアヌード』とつけば何でも売れるようになった。この言葉、僕自身は1回も言ったことないし、使いたくないんだけどね(笑)」

 同年(平成3年)に発表し、155万部の大ベストセラーとなった宮沢りえの写真集『Santa Fe(サンタフェ)』は、「真面目に撮った。エロティックでもなんでもない、芸術的要素の強い写真集だった」と振り返る。

「18歳になったばかりの美しい乙女を撮るのだから聖地で撮りたい。そこでスペイン語で『聖なる信仰』という意味を持つサンタフェの地を選んだんです。僕の好きな画家、ジョージア・オキーフの美術館もある芸術の街だし、『“聖処女”を撮るならここだ!』と。そんな思いもあって美しい芸術作品として撮ったのに、週刊誌がまた『ヘアヌードだ』と騒ぎに騒いでね……。あれには本当にまいったよ。だって実際にはアンダーヘアなんてほとんど写ってなかったんだから!でも僕も週刊誌でバンバン写真を撮っていたし、表現の自由にも関わってくるから、一切文句は言わなかったけどね(笑)」

今後は男性のエロ目線じゃなく、女性視点のヌードが主流に

 さらに平成のヌード写真史においてもっとも衝撃的だった出来事のひとつとして、平成20年(2009年)に篠山が発売した写真集『20XX TOKYO』の撮影時のエピソードがある。誰でも見ることができる屋外で女性の裸を撮影したとして、公然わいせつ罪の疑いで篠山が書類送検されたのだ。

「僕は東京生まれの東京育ちということもあり、東京の街の変遷に興味があったんです。見慣れた街をそのまま撮っても差異が出ないけれど、そこに“異物”として女性のヌードを置くことでいっそう変化がわかる。だから都市の真ん中やビルの屋上などでヌードを撮り続けてきた。『20XX TOKYO』の時もそれまでと同じスタンスで撮っていたんですよ。時間帯も真夜中だったしね。それでもダメということになったのもやっぱり『時代』なんだと思う」

 現代の若い女性たちが声を上げたことがきっかけで生まれた『premiere』シリーズによって、「今後は男性のエロ目線じゃなく、女性視点のヌード写真が主流になっていくのかもしれませんね」と語る篠山。

「そういう意味で彼女たちは時代の波に乗ったと思うし、その想いに応えた作品が発表できたことを誇りに思います。これからどんな時代になっていっても、やっぱり僕はその時代時代を写し続けていくんでしょうね」

 最初に篠山に「次に撮りたいものは?」と聞くと、「そんなことはわからない。時代に聞いてよ(笑)」と、いたずらっぽく笑った。

(インタビュー・文/高倉優子 写真/長澤紘人)

Information

■「premiere ラリューシュの館 結城モエ 松井りな 高尾美有」
発売元:小学館
撮影:篠山紀信
価格:¥4,104
判型:B5変形 128ページ

また、写真集発売を記念して、2月24日に篠山本人たちが登壇するイベントが開催される。

会期:2019年2月24日(日)
時間:18:30開場/19:00開演予定
場所:SHIBUYA TSUTAYA 7F WIRED TOKYO 1999
登壇:篠山紀信 結城モエ 松井りな 高尾美有 

内容:
第1部 トークイベント(19:00〜20:00頃)
第2部 サイン会(トーク終了次第開始〜20:30終了予定/参加者の列が途切れ次第早期終了あり)

詳細はこちら

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