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アイドル写真集 、“進む過激化”の背景は?
“ポストこじはる”、かとれなの初写真集に「アイドルがここまでやっていいの?」
本作は、ロンドン&ハワイでロケを敢行。小嶋陽菜の大ヒット写真集『どうする?』を手掛けたカメラマンの中村和孝氏が撮り下ろした、上半身オールヌードにバストトップを熊のぬいぐるみで隠した超セクシーカットをはじめ、Tバックの美尻を披露したバックショットや、定番の手ブラ、一糸まとわぬ姿の座りカットなどが収められている。キュートな表情と過激なカットが織り交ざった、大胆な構成となっており、 “48グループ史上最大露出”と話題を呼んでいる。その内容は、アイドルがここまでやっていいの?と驚きの声が上がるほど。
アイドル写真集&グラビアの“過激化のインフレ”
グループアイドルがグラビアを飾るようになってから、水着姿は当然と言わんばかりに、過激化が進んでいる印象にある。アイドルが写真集で新たな一面を見せていくのは昔から続く定番の手法。しかしながら、過激な描写は、実際ファンが求めているものなのだろうか。昨年、写真集旋風を巻き起こした乃木坂46を例に考えてみると、その背景が見えてくる。
乃木坂写真集の大ヒットから見る“女性ファン”の影響力
写真集を出したメンバーの多くが女性誌で活躍するモデルたち。白石麻衣は『Ray』『LARME』(ともにこの春に卒業)、齋藤飛鳥は『Sweet』、橋本奈々未(現在は芸能界を引退)と松村沙友理は『CanCam』、衛藤美彩は『美人百花』、西野七瀬は『non・no』、桜井玲香は『NYLON JAPAN』、堀未央奈は『ar』…といったメンバーが写真集を出し、いずれも好調を推移。欅坂46の渡辺梨加も『LARME』の専属モデルで、写真集初版10万部という好スタートを切った。アイドルとしての坂道グループ自体が女性ファンの獲得で認知を広めてきたことは周知の事実だが、その女性ファンの存在が写真集にも影響を及ぼしているようだ。
大ヒットとなった白石麻衣の写真集は、「同性の女性から支持されるようなものにしたい」という自身の希望により、『an・an』や『sweet』などの女性誌のカバーを撮影するフォトグラファーを起用。さらに、スタイリストやヘアメイクも女性誌で活躍するスタッフを集め、女性目線の世界観で作られた。ヒットの要因について、モデルとして活躍する美貌から、露出しても下品にならないということがさまざまなメディアで考察されている。女性から嫌悪感を抱かれる色気ではないので、ビジュアルを最大限に生かす戦略を取れるのだ。
“同性に向けた写真集”という免罪符、セクシーカットは“下品”にならず“大胆”
独自に『sweet』渡辺佳代子編集長に話を聞いたところ、「エロが撮りたい訳じゃない。女の子の体はすごくカワイイから、そこを追求するとどうしても(衣装の)布が減ってしまう」「美しいものを追求すると身体を出すことがセットになる」と編集意図を語ってくれた。男女の好みの差異については「男性の“カワイイ”がナチュラルなもの(または、ナチュラル風に作りこまれたもの)を好むのに対して、女性は、作りこまれた、やや大袈裟なものをカワイイと感じる傾向にあります。SNSの普及で、最近特にその傾向が加速しているように思います」とも。
さらに、過去の写真集で女性からの反響が最も多かったのは、紗栄子の写真集『EPISODE 1』だったと振り返る。「バストトップ以外は全て露出し、一番過激で、セクシーでしたね。紗栄子さんの写真集イベントでは、観客の9割が女性の方たちでした」(渡辺編集長)。女性が憧れる“体の美しさ”を追求すると露出が増えていく。つまり、女性ファンの存在が写真集の過激化に実は一役買っているのだ。
被写体となるアイドル達にとっても、セクシー路線第一ではないというコンセプトにより、逆に大胆になれる効果もあるのかもしれない。ユーザーにとっても女性誌のモデルが被写体であることや、“女性ファンをターゲット”と公言することにより、女性が手に取っても恥ずかしくないものであるというイメージの構築ができている。セクシー路線ではないというイメージ構築が、被写体側・ユーザー側に相乗効果を生んだ結果としての“過激化”であると言えるだろう。