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滝沢カレンのレシピ本が“おうち時間”にフィット、独自表現の根源は「小さい頃から人間ではない相手に話しかけていた」
料理をするときはもう1人の自分がいる「食材たちが踊ってお祭り騒ぎをしている」
滝沢カレンちょっとでもみなさんの“おうち時間”のお供になっているようで、本当に嬉しいです。「これを見てすごく安心しました」「不安だったけど1人じゃないんだって思えました」というみなさんのコメントに、私も「そうだ1人じゃないんだ!」って思わせてもらっています。
――「絵本みたい」という声も多く届いていますよね。
滝沢カレン料理している時間は結構無なんですよね。でも、現実とは違うもう1人の自分もいて、そこにいる自分はすごいはしゃいでる感じで、1つの物語のようですごく楽しいんです。顔は無だけど、頭の中ではとんでもない食材たちが踊っていて、お祭り騒ぎをしているのがすごく面白くて、私にとって料理の時間は子どもに戻ったような気持ちというか、絵本をずっと読んでいる気持ちになれるんです。
――カレンさんの表現からは材料や食べ物も人間のように扱うリスペクトを感じたのですが、幼い頃からそういった意識はあったのでしょうか?
滝沢カレン一人っ子だったからかもしれないんですけど、小さい頃から人間ではない相手に話しかけていたんです。昆虫とか、ありとか、お人形さんとか。話はしないけど、洋服だったり靴だったり、壁すらも仲間のように感じていて。そこで繰り広げられている世界が楽しいというのはずっとありますね。
滝沢カレンうちではおばあちゃんがお料理する役の人っていうイメージでした。おじいちゃんと私と母はそれを食べる役の人だと思っていたので、自分がいつか料理しなきゃいけないなんて1ミリも考えたことはなかったです。私は一生おばあちゃんの料理を食べて生きるんだって思ってたんですけど、実際もちろんおばあちゃんだっていくとこまでいってる年齢なので、そんな一生なんてことはないじゃないですか。だから、今になって教わっておけばよかったなって思うんですけど、自分が作る時はちっちゃい時に食べたかったなっていうものを、今遅れて作っています。おばあちゃんの味はもちろん大好きでしたけど、同じ物を作っているとかは一切ないです、申し訳ないくらい(笑)。
――今回のレシピ本は初心者向けだそうですが、料理を楽しむアドバイスを教えてください。
滝沢カレンアドバイスなんていう堅い私じゃないんですけど、でもやっぱりいつ始めたっていつ終わらせたって、いつ失敗したっていつ成功したって、料理って何も言ってこないので、それはすごい料理側に感謝しています。だから誰かにやりなよって言われてやるよりも、「よし!お腹すいたし、外に出るのもイヤだから、冷蔵庫のもので作ってみるか!」「よっこらしょ、腰でもあげようかな」っていう気持ちがすごく大事だと思います。私もそういうきっかけで始めたので。
「家から一歩も出たくないぐらい悩む時もある」それでも“毎日楽しい”理由とは
滝沢カレンいっぱい料理をして、インスタグラムで皆さんがおすすめしてくれた映画をたくさん見ています。もちろん今のこの状況が良いとは言えないですし、絶対健康が1位ですけど、もしずっとお仕事をしていたらこの映画に出会ってなかったかもしれないとか思うと、毎日「宝石ってこんなに転がってるの?」ってぐらい素敵な出会いがあったり、すごく自分自身を考える時間にもなっていたりするので、1日1日が何も無駄になっていないなって思います。
――モデル、バラエティ、女優、脚本、本の出版と、本当に忙しい日々でしたもんね。年々活躍の場を広げられていますが、お仕事選びの基準はありますか?
滝沢カレン全然選んでもらってるのはこちらなので、こっちから選んでいることはないんですけど、どんなに苦手な仕事だろうが、やる!って決まったら絶対にやってよかったなって思いたいし、周りの方にも思ってほしいから、どこに自分の気持ちを置くかはすごく大事だなって思ってるので、無表情でやる仕事はないです。「〇〇をやりませんか?」って言われたときに、私にやってほしいと思う人がこの世にいたんだ!っていうのがまず嬉しいので、そこにやる気をぽんっと置くし、その人が「わあ!やってくれてうれしいな!」っていう気持ちになってくれるのを想像すると、もうそれだけでわくわくします。だから仕事を選ぶというよりは、選んでくれる人が1人でもいるんだっていうありがたみは本当にいつも感じているので毎日楽しいです。
――レシピ本のおかげで元気をもらっている方々もたくさんいると思います。
滝沢カレン買ってくれるのは300人とかだと思っていたので、こんなにたくさんの人にお揃いを持ってもらえて、自分の世界、自分の考えていることを「いいな」「楽しいな」って言ってくれることってこんなにうれしいんだって、本を出さなかったら分からなかった世界だと思っています。自分の世界を口にすることってなかなかないので。日々は目の前の仕事を頑張ろうって必死なんですけど、振り返ったときに「あー、やりがいのある仕事だった!」って思うことが私はすごく多いです。おばあちゃんになったときに「この人生楽しかったなー、次は違う人生を歩みたいな」って思う人生の終わり方をしたいなっていつも思っています。
滝沢カレンもちろん全部が全部「うわー最高!」っていうことでもないですし、そんな前向きな人間でもないので、悩むときはとことん悩んで、もう家から1歩も出たくないってぐらい悩む時ももちろんあります。
――そんな時はどのように乗り越えるのでしょうか?
滝沢カレン子どもの頃から想像するのが好きなせいなのか、すごく広く考えます。自分のちっちゃい塊の中で考えていたらどん底のような悩みだったとしても、おっきいおっきい宇宙の中のちっちゃい地球に私はいて‥って考えると今度はそっちの不思議になっていっちゃうので、悩みを忘れてしまったり。例えば朝学校行きたくなかったりしても、じゃあ学校の先生は生徒さんよりも早くから行ってて、それ以上に学校の門を開ける人はもっともっと早く行ってると思うと、その人の方が大変だし、その人の方がきっと起きたくないじゃないですか。きっと学生って一番遅くに来る順番だと思うんですね。だからそれを考えると、朝起きるのがすごく楽になります。私の仕事でも、スタッフさんが私よりも何時間も早く起きていたり、寝てない人も多くて、それを考えると十分すぎる睡眠を私はもらってるんだって思って頑張れちゃうんですよ。
――“自分”から意識を外して考えるんですね。
滝沢カレンそうですね。それにインスタを見れば居間の住民たちが私を応援してるって言ってくれていて、どこにやる気のない時間ができるんだってぐらいやる気をもらえている仕事だなって思っています。自分がすごいんじゃなくて、周りがすごいから楽しませてもらえてるんだってことをいつも思っています。