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「ライオンvsトラ」、「サメvsメカジキ」勝つのはどっち? 奇抜なマッチメイク描く人気マンガ『どっちが強い』に子どもが夢中になるワケ

ロジックな推理を基にしたバトル ファンタジーとリアリティの絶妙なさじ加減描く

 現実をリアルタイムで知れ、ネットですぐに情報が調べられる今の時代。そして、幼少期からデジタル・デバイスを使いこなす現代の小学生に、単に生物の生態を紹介するだけの内容では面白みが足りないだろう。そうしたなかで『どっちが強い!?』シリーズがヒットを記録する最大の要因は、ファンタジーとリアリティを絶妙に組み合わせた世界観にある。

 とくに、「これとこれが戦うの!?」という奇抜な対決構造は特長的であり、マッチメイクの選定こそが、編集者の腕の見せ所だ。そこには、どのようなこだわりがあるのだろうか。

「まず、動物とその捕食者というペアは選びません。勝負が明らかだからです。次にいろいろな品種から独特な狩り能力や防御能力を持っていて、かつ読者が興味を持ってもらえそうな動物を選びます。そして、ペアにする動物が同等のパワフルな能力を持つようになるとともに、この動物のペアが必ず子供の想像を膨らませたり、好奇心を刺激したりできるようにしています」(スライウム氏)

 そして、バトルものながら「行きすぎない」さじ加減も絶妙だ。動物の解剖学的構造を読者に知ってもらうために、動物の描写がとてもリアルであるのに対し、キャラクターには、いわゆる漫画的な表現が用いられており、これらのコントラストが、バトル・シーンで、より緊張感を与えるものとなっている。

「バトル・シーンを描く時は、研究資料やロジックな推理を基に、各動物が持っている狩り能力や捕食者から身を守る能力からバトルの様子を想像し、作画を進めます。無意味な戦闘にならないように、いつも心がけています。こうした工夫によって、動物の独特な、あるいは面白そうな生態を紹介するだけでなく、例えば飢餓時の行動や、家族での生活、危険から身を守る方法など、動物がどのように厳しい環境で生きていくのかを強調することで、現代の子どもたちに、動物への共感や同情を抱いてもらいたいと考えています」(スライウム氏)

 好奇心を掻き立て、子どもたちを夢中にさせる『どっちが強い!?』シリーズのように、学習要素が詰まったジャンルの児童書は、少子化の日本においても好調をキープしている。現在、全国的な休校対策として400冊以上の児童書が無料公開されているKADOKAWAポータルサイト「ヨメルバ」でも、『どっちが強い!?』シリーズをはじめとする学習まんがは、たくさんの人に読まれているという。(無料公開は2020年4月5日まで)

 世界的な児童書人気も追い風となり、4月には、『どっちが強い!?』と、その別シリーズ『恐竜キングダム』をクロスオーバーさせた『どっちが強い!?X』シリーズの発売が予定されている。さらにエンターテインメント性を高めた、新たな“もしも”シリーズを含めた『どっちが強い!?』人気の勢いは、まだまだこの先も続いていきそうだ。
(文/布施雄一郎)

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