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(更新: ORICON NEWS

「娘が遊んでた形跡」を愛でる父の深い想い 成長嬉しくも本音は「時間よ、止まれ!」

 日中、外で働いているパパにとって、その日我が子がどんな遊びをしていたのかを知るすべは、本人から話を聞かない限りなかなかない。そんな中、あるユニークなInstagramのアカウントを発見。漫画家の宮川サトシさんが開設した「娘が遊んでた形跡(@kokodeasondetanoka)」は、仕事から帰った宮川さんが、4歳の娘さんの“遊んでた形跡”を撮影し投稿するアカウントである。形跡撮影のためにiPhone11proに機種変更までしてしまったという宮川さんに、写真を投稿するきっかけや娘さんへの想いを聞いた。

いないことすらかわいい…葛藤の末にひらめいた「娘が遊んでた形跡」

――昨年10月よりスタートした「娘が遊んでた形跡」アカウントですが、開設したきっかけを教えてください。

【宮川サトシ】うちは子供が寝るのが早くて、19時過ぎには布団に入っているんですね。なので、仕事の打ち合わせ等で帰るのが少しでも遅くなると、もう寝ちゃっていることがほとんどで…。僕も寂しいから、子供がそこにいた形跡とかを自然と探すようになりました。「あぁ、さっきまでここでこんなふうに遊んでいたんだな」とか思いながら。脱ぎっぱなしになっている服とか、クッションについた跡とか、そういうのってちょっと愛おしいじゃないですか。

――たしかに、愛おしく感じる瞬間です。お父さんって休日以外はお子さんの遊ぶ姿を見るタイミングがないですもんね。

【宮川サトシ】普段、子供の可愛らしいしぐさとかに気づくと、本当は写真にしてSNSに載せてみんなに見てもらいたかったりするのですが、(安全性の配慮から)その都度、子供の顔をスタンプで隠したりして載せなきゃいけなかったりするのがなんか悲しいというか、「そんな世の中か…」みたいなことを常々思っていたというのもあったので、「あ、子供が遊んでた形跡の写真ならSNSに遠慮なく載せられるな」とひらめいたのがきっかけです。
――プロフィール欄に「形跡好き」と書かれていますが、宮川さんが「何かの形跡」にハマった理由はどういったところからですか?

【宮川サトシ】学生の頃、実家で猫を飼っていたのですが、帰宅した時にキャットフードが食い散らかされていたことが一度あって。噛まれてクチャクチャになったビニール袋とかを見ていたら、その必死な様子想像できて、後片付けの厄介さよりも、可愛らしいなと思った原体験が根っこにある気がします。

――娘さんの想像力の豊さも形跡から読み取れて、とても楽しいです。娘さんはどんなお子さんですか?

【宮川サトシ】娘は今4歳で幼稚園の年少組です。今年の5月で5歳になります。性格は負けず嫌い、寂しがり、あと笑わせたがりです。最近好きな遊びはすごろくですね。僕ら夫婦が忙しい時に、たまに1人ですごろくをやっていたりするのですが、その姿はいじらしくて身震いするほど可愛く感じます。

形跡は「親子のつながり」 娘の存在を感じて愛おしくて震える

――帰宅して、娘さんの「遊んでた形跡」を見つけた時の気持ちを教えてください。

【宮川サトシ】見つけたら、「そこにいたんだ…」とまず娘の存在を感じて、その日娘が何をしていたかを想像して愛おしい気持ちになります。大袈裟かもしれませんが、そこに「親子のつながり」みたいなものを感じて安心します。それと同時に、なんだか得した気分にもなりますね。スタンプラリーとか、化石を集めたりするような、「趣味」としてコレクションが埋まっていく達成感を得られるというか。

――今までで1番かわいい!と思った形跡は?

【宮川サトシ】これはまだインスタグラムのアカウントを作る前の初期の頃の形跡ですが、迷路帳で遊んだ形跡ですね。鉛筆で迷路を辿った跡を追っていくと、行き止まりまで行って戻った跡とかがそのまま残っていて、それを見つけた時は膝がガクガク震えるほど可愛いと思いましたね。「あぁ〜…ここで迷ったんだね〜…」って。

――驚いた形跡はありましたか?

【宮川サトシ】絵本を作ろうとした形跡ですね。

――えっ、絵本ですか?

【宮川サトシ】僕が漫画やアニメの絵コンテを描く仕事をしていて、それをいつも近くで見ているから影響を受けたのだと思うのですが、ただ絵を描くだけじゃなくて、タイトルの入った冊子を作ろうとしていたことがわかったので、「すげぇ!」と思いました。ただの親バカですね。ちなみに、タイトルは『バナナをとってきたおとこがかけてきた』でした。アメリカのフィルム・ノワール(虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画を指した総称)作品みたいなタイトルですよね(笑)。

成長が嬉しくも寂しい あくまでも自然で“純度の高い形跡”が見たい

――娘さんの形跡を収集し始めてから、宮川さん自身の気持ちに変化はありましたか?

【宮川サトシ】成長が嬉しくもあり、寂しくもありますね。折り紙とかで遊んだ形跡も、少しずつ折り紙作品としての完成度が上がっているので、子供らしさはあるものの、幼さが弱まっていくのをなんとなく感じています。本当は喜ぶべきところなのですが、形跡を見ていると「時間よ、止まれ!」と思ってしまいますね…。

――宮川さんが形跡を撮りためていることへのご家族の反応は?

【宮川サトシ】妻には伝えていて、よい形跡が撮れたら、釣った魚の写真を自慢するかのように見せたりします。ただ、アカウントも興味を持って見てくれているそうで、「あ、それもう見た(笑)」みたいに言われることもよくあります。ちなみに妻は、形跡があると片付けずに僕のために残しておこうと思うようになったと言っていました。

――娘さんはご存知なのですか?

【宮川サトシ】娘には伝えていないです。来年もう5歳ですし、父親が自分の形跡を楽しみにしているとわかったら、もしかしたら僕を喜ばそうとして見た目にイイ感じの形跡を残そうとしてしまうかもしれない。あくまでも自然な、純度の高い“娘が遊んでた形跡”が見たいので内緒にしています。

――最後に、宮川さんが大切にしている娘さんとの時間はありますか?

【宮川サトシ】会話をする時間ですかね…。娘の気持ちを聞き出す時間をいつも大切にしています。「幼稚園でこういうことがあった」と話してくれたら、その時どう思ったの?どう感じたの?と、ついしつこくインタビューなんかをしてしまいがちですね。

――(笑)。

【宮川サトシ】自分の気持ちをちゃんと伝えられる人間になってほしくて。

 アカウント開設から3ヵ月あまり。今夏、お姉ちゃんになる娘さん。リビングの壁にあるホワイトボードシートにはお母さんのお腹の中にいる赤ちゃんを想像して描かれた絵が……。形跡には4歳の子どもが日々感じている気持ちが詰まっている。これからも娘さんの成長を見守ると共に、投稿を楽しみにしたい。
Information
娘が遊んでた形跡|宮川サトシInstagram @kokodeasondetanoka
宮川さんの新刊そのオムツ、俺が換えます 2巻(外部サイト)が発売中。父親目線で描かれる育児エピソードが収録、「共感できる!」「泣ける」と話題を集めている。(講談社/920円+税)

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