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(更新: ORICON NEWS

止まらぬ過激コラボ 「仕事選ばない」キティの背後にあるサンリオの熱い思いに感動

  • ロックバンド・XJAPANのYOSHIKIとの人気コラボキャラ「Yoshkitty」

    ロックバンド・XJAPANのYOSHIKIとの人気コラボキャラ「Yoshkitty」(C)ORICON NewS inc.

 ガンダムに銀魂、ロックバンド・KISSからホラー映画『チャイルド・プレイ』のチャッキーまで、様々な作品やアーティストとコラボしているサンリオ。最近でも、“とびっきりのクソ4コマ!!”として人気の漫画『ポプテピピック』とコラボし、ネット民からは驚きの声が。中でもハローキティは、パンチの強いキャラクターや、あまりに違いすぎる世界観とコラボを果たしていることから、「仕事を選ばなすぎ」と度々話題になっている。果たしてキティは本当に仕事を選んでいないのか?その答えは、戦争を経験したサンリオ創業者・辻信太郎氏の強い想いに隠されていた。

過激コラボにネット民ざわつくも、キティ本人が清々しい反論「全部選んでる」

 昭和49年、サンリオ初の自社オリジナルキャラクターとして誕生したハローキティ。発売当初はキティを始め6種類のキャラクターで発売されたが、キティだけが圧倒的に売れ、不動のエースへと成長。現在は世界130か国以上でグッズが販売されており、レディー・ガガやマライア・キャリー、キャメロン・ディアスなど多くの著名人もファンを公言する世界的人気者に。今年、初のハリウッド映画化も発表され、更なる飛躍が期待されている。

 これまでに様々なコラボを果たしてきたキティ。カニやたこ焼き、八つ橋など全国各地の名産品に扮するご当地キティを始め、ルービックキューブ化や深海魚のチンアナゴ化、貞子とのコラボからヲタ芸まで披露する姿に、「仕事を選ばなすぎ」「もう少しコラボ先選んで」と、度々ネット民をざわつかせてきた。

 そんな声に、実はエゴサをするというキティ本人は「仕事選ばないとか言われているのも知っている」と公言。去年開設された公式YouTubeチャンネル『HELLO KITTY CHANNEL』で、「“選ばない”っていうか、むしろ全部“選んでる”。キティがやりたいって思ったことを全部やった結果が今。“やりたいことは全部やる”っていうのがキティらしさ、自分らしさだと思ってる」と堂々と発言した。YouTuberデビューしたことで、44年間秘めていたキティの本音が炸裂。「伝わってなかったから、改めてみんなにもっと知ってほしい」と語るキティの姿は清々しく、世間の心配の声が杞憂だったことを証明してみせた。

戦争で友人失った辻氏 “可愛い贈り物から始まる世界平和”を願い、サンリオ創設

 多岐に渡るコラボを繰り広げるサンリオの企業理念には、創業者で現役の代表取締役社長である辻信太郎氏の強い思いが秘められている。昭和2年生まれで、今年92歳を迎える辻氏は、専門学生時代に戦争を経験し、同級生を数人失ったという。その傷跡は何十年経っても消えることはないと語られている。世界のすべての国の人たちが仲よく助け合うにはどうしたらいいかを考え続けた結果、1番大切なのは“コミュニ―ション”だという結論に達した辻氏。「きっかけになるような、小さな贈り物、高価ではなく、ちょっとした可愛らしいものを贈り合うことが良いのではないか」という思いから、サンリオを創設するに至ったのだ。

 創業目的は「友情と助け合いによる世界平和の実現」、事業目的は「お互いのコミュニケーションのきっかけとなる小さな贈り物を生産すること」、そして合言葉は『スモールギフト・ビッグスマイル』だ。どの言葉をとっても根底にある信念はゆるぎなく、戦争で奪われた命への悲痛な気持ちと世界平和を願う辻氏の強い思いが伺える。

「売れていないお店や商品にサンリオキャラ使って」コラボで他社救う“お助けビジネス”

 サンリオでは年に1回、6月に株主総会を開いており、総会後に辻社長があいさつするのが毎年恒例となっている。昨年、出席者のツイートにより辻社長の発言が大きな話題となった。
「もし知っているお店で、いい商品やおいしいお菓子があるのに、実はお店では売れていないということがあれば、株主様の方からお店の方に、商品にサンリオのキャラをデザインしてみたらどうか提案してみてください。そうすれば商品が売れるようになりますから。うちはお助けビジネスですから」
  • 超合金ハローキティ(C)1976, 2013 SANRIO CO.,LTD.

    超合金ハローキティ(C)1976, 2013 SANRIO CO.,LTD.

 自社の利益のためだけではなく、傾いている他社をすくい上げるためのコラボを積極的に受け入れる姿勢は、あまり他に類を見ないのではないか。同社広報も「弊社のキャラクターを使用して、他社さまが新規のファンを獲得できればというのが基本思想」と発言しており、若い世代を取り込みづらい老舗などはパッケージにキティがいるだけで客層が広がることもあるという。

 しかし、そんなサンリオにもNGは存在する。企業理念である『世界中がみんな“なかよく”』に反するコラボは受け入れていない。例えば、包丁は悪意のある人が手にすれば人を傷つける道具になってしまう恐れがあるため、要望があっても作らないようにしているという。また、キティをはじめ、サンリオキャラクターたちが人を傷つけたり、暴力を振るったりする姿は絶対に描かない。このポリシーを守るために、バトル要素のあるゲームなどにも出演は難しいそうだ。キティの公言した通り、門戸はかなり広いものの、仕事はしっかり「選んでいる」と言えそうだ。

キティの顔に口がない理由とは?サンリオキャラクターが体現する“本当のやさしさ”

 キティちゃんの顔には、口がない。その理由は、“本当のやさしさは、口で言うだけでなく態度で示そう”という辻氏の深いポリシーが込められているからだ。彼は語る、「言葉だけなら、何とでも言える。大切なのは、行動に現れているか否かだ」と。

 サンリオの株主総会では、株主が子どもを連れて出席することもしばしばあるという。5年前に出席した10歳の女の子が、「(株主)優待がタオルばっかりなのでタンスに入りきれなくなりました。わたし的にはぬいぐるみがいいです!」と発言。会場は拍手喝采で、辻社長も「次回はぬいぐるみやりたいです。やらせましょう」と答えたとのことだ。

 どんな場面でも、“やさしさ”を言葉だけでなく態度や行動できっちり示すサンリオ。戦争を経験した辻氏の平和への思いを、キティを始めとした様々なキャラクターたちが体現し、今日も世界へと届けている。

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