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夏の文庫本フェアも好調 出版界、書店を揺るがす『乃木坂文庫』の威力
夏の文庫本フェアも好調 出版界、書店を揺るがす『乃木坂文庫』の威力
■乃木坂文庫「衣装は白のブラウスに統一」「4期生11人は古典作品を担当」で文庫本の雰囲気を壊さない心遣い
こうした流れの中、光文社の担当者は、乃木坂46を起用した理由として「普段、小説をあまり読まない若年層に本を手に取ってもらう機会にしたいと考えました」と返答した。
「青春&ミステリーをテーマに、人気作家の話題作を選び、可能な限りメンバーと作品のイメージをすり合わせながら選定しました。乃木坂46の透明感、清涼感をイメージして、スタイリングを白のブラウスに統一しました」(担当者)
情報解禁、担当作発表のタイミングについても工夫を凝らしたという。特に4期生は世界各国の名作を新訳で刊行する「光文社古典新訳文庫」作品を担当したが、遠藤さくら×ヘミングウェイ「老人と海」、賀喜遥香×アガサ・クリスティー「オリエント急行殺人事件」など11名を一気に発表して話題を呼んだ。
「書店からは当初予定の2倍以上の注文があり、期待値は予想以上でした。お客様からも『どこで手に入るのか?』という問い合わせがあるなど、当初から反響は大きかったです。フェア開始後は、書店の追加注文が多く寄せられています。また、一緒に盛り上がってくださる作家や乃木坂46メンバーの方も多く、色紙やSNSでの発信など、さまざまな形でご協力いただいています」と予想以上の反響の様子。読者からも「これを機に読書家になりたい」というツイッターがあるなど、光文社の狙い通り「乃木坂文庫」は多くのユーザーが本を手に取るきっかけ作りとして機能しているようだ。
■ジュンク堂書店 池袋本店では「等身大パネル」も活躍 文庫1位に齋藤飛鳥、3位に白石麻衣の表紙作品が
有力店の一つ、ジュンク堂書店 池袋本店では、グループでもトップクラスの人気を誇る齋藤飛鳥の等身大パネルが設置されている。同店の担当者によると「齋藤さんの等身大パネルを置いている文庫売場は、店の奥の方にありますが、パネルや棚の写真を撮影しにそこまで来られる方が増えました。ファン以外でも『こんなことやっているんだ』と足を止めるお客様も多いです」。
乃木坂文庫が始まって間もない7月8日、ジュンク堂書店 池袋本店のTwitterで発表された「今週の文庫本売上ランキング」には、1位に齋藤飛鳥表紙の『疾風ガール』(誉田哲也 著)、3位に白石麻衣表紙の『サクラ咲く』(辻村深月 著)がランクイン。ジュンク堂書店 池袋本店の書店員によると、乃木坂文庫の購入者は10代から30代前後の男性が多く、「普段文庫本コーナーにいらっしゃる方とは違う方も来店されています。乃木坂文庫をお買い上げされた方に配布中の乃木坂文庫のタブロイド紙も人気で、皆さん手にもって書店内を歩かれています」という。
同店では、文庫以外でも乃木坂46関連の本が人気で、7月8日発送の「今週の文芸書ランキング(小説、エッセイ、写真集、タレント本など)」でも5位に乃木坂46『N46MODE VOL.1』がランクイン。担当者は「齋藤飛鳥さんのパネルがある日本唯一の店舗なので、齋藤さんの本が人気ですが、白石さんはじめ他のメンバーの本も売れています」と話している。
今回のフェアの反響を受けて、光文社では「乃木坂46の素晴らしさを通じて、小説の面白さをより多くの方々に伝える機会となりました。今回の事例をひとつのモデルとして、これからも読者層の拡大を図り、さまざまなフェアや企画などを展開していきたい」としている。その清楚なイメージから、“読書”や“文芸”との親和性も高いとされる乃木坂46。今後も出版界の強力コンテンツとしてますます注目されそうだ。