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宮迫「メディアに法的措置」裁判の争点は? 訴訟のリスクを週刊誌対応に詳しい弁護士に聞く
タレントが週刊誌に対して行う法的措置は主に2つ、出版差し止めは1分1秒を争う
週刊誌に掲載される場合、発売日の遅くとも4、5日前には週刊誌の記者から所属芸能事務所や取材対象者にFAX等で質問状が送られてきます。質問状には「〜という事実はありましたか?」というような内容になっていますが、それを否定したとしても「〜疑惑?」という記事が掲載される可能性はかなり濃厚です。そのため、質問状が来たタイミングで裁判所に対して「質問状に書いてあることを記事にすることを禁止する仮処分」を申立てることになります。弁護士としては、質問状が来てから申立てまで数時間で準備をしないと発売や、先立つ輪転機印刷に間に合いませんので、まさにドラマ『24』のような1分1秒を争う緊急事態になります。
名誉毀損に基づく損害賠償請求では、週刊誌サイドが真実を証明する必要あり
週刊誌の発売後に、「事実ではない内容の記事により名誉を毀損された」として訴訟提起し、金銭補償と名誉回復を求める方法です。審理では主に記事の内容が真実か否かが争点になるのですが、被告である週刊誌サイドが真実であることを証明する必要があります。
そして、仮に週刊誌サイドが真実であることが証明できなくとも、「確実な資料根拠に基づき、真実であると誤信」した場合であっても、週刊誌は免責される可能性があります。
宮迫“ギャラ飲み”報道、証言の信用性は?
とはいえ、記事を読んだ人が、この「目撃者」の「証言」をどこまで信じるかはかなり疑問です。つまり、素性も明かさずどこの誰かもわからない人が「金銭を受け取っているのを見た」という話をした、という記事を読んだところで、それを鵜呑みにし、真実なんだと思う読者はかなり少ないのではないでしょうか? 例えば「目撃した」ではなく、「私が宮迫さんに直接お金を10万渡した」という記事であれば、まだ読者の信用性は変わるかもしれませんが、素性を明かさぬ人物の目撃証言にどこまで信用性があるのか、そもそも疑問です。
また、翌週26日発売の本誌では、獄中の金塊強奪犯・野口被告を取材。野口被告は「(宮迫と)一緒に乾杯してシャンパンを飲んだ記憶がある」と述べ、現金の授受については「それについては話せません」と証言したといいます。この部分についても、確かに明確に「否定」はしていませんが、「お金を渡した」とも言っておらず、印象の問題はさておき証言としての意味はほとんどないに等しいといえます。週刊誌側があえて読者に「受け取っていそう」と思わせるような表現にした可能性も否定できません。
裁判の争点は?「目撃者」に損害賠償請求も可能
宮迫さんとしては、この目撃者が出廷し素性が明らかになれば、目撃者が嘘をついたことで名誉が毀損されたとして、目撃者に対しても名誉毀損に基づく損害賠償請求することも可能です。この訴訟では、宮迫さんが金銭を受け取っていたか否かが裁判の中心的な争点となります。