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荒唐無稽なものの中にこそ真実が? 「令和」時代の正しい“オカルト”との向き合い方

荒唐無稽なものの中にこそ真実が? 「令和」時代の正しい“オカルト”との向き合い方

 世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン『ムー』(学研プラス)。同誌は昭和の後期から平成にかけて、様々な世界の謎に焦点を当ててきた。思えば「平成」は激動の時代であった。1999年に世界が滅ぶとされたノストラダムスの大予言や、コンピュータの誤作動で世界が混乱すると騒がれもした2000年問題、震災などの災害や長引く不況による社会不安、さらには痛ましい事件や事故の数々――。『ムー』から見た「平成」とはどんな時代だったのか。また、簡単にフェイク動画や加工写真が撮れてしまう「令和」時代において、どのような心構えで“オカルト”と向き合えばよいのか。5代目編集長・三上丈晴氏に話を聞いた。

70〜80年代のオカルトブーム「テレビの影響力が大きかった」

 『ムー』の創刊は1979年。UFOや異星人、UMAや怪奇現象や超能力、超古代文明や陰謀論などを扱っており、40年経った今も、未だ根強い人気を誇るスーパーミステリー・マガジンだ。『ムー』の扱う内容を「オカルト」と一括りにする向きもあるが、三上丈晴氏はそれには異を唱える。

「そもそもUFOやUMAなどをひっくるめてオカルトとくくるのがおかしい。オカルトとは本来、隠された秘教という意味です。もちろん、『ムー』は魔術や神秘主義などのほか、広い意味での心霊や超能力も扱いますが、そのほかの『ムー』で扱うテーマをホーリスティックにくくる言葉はそもそも存在しないのです」(三上丈晴氏/以下同)

 昭和後期――70年代は『木曜スペシャル』をはじめとする矢追純一氏の番組で紹介したUFOやネッシーを見て、小中学生が夢中になっていた時代だった。五島勉氏の著作『ノストラダムスの大予言』が出版されたのも70年代。同書は80年代にかけてヒットし、バブル期には再ブームとなった。また、実際に平成である90年代後半には、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが起こり、社会不安からくる終末感が漂っていた。しかし、三上氏は当時の社会情勢を振り返り、実際の世紀末のころは、80年代に比べて、マスコミがステレオタイプにあおるほど終末感はなかったと語る。背景にはメディアの変化にあるという。

「90年代半ば以前は、インターネットやSNS、スマホなども発達・普及していなこともあり、皆がテレビやラジオなどをエンターテインメントとして楽しんでいました。故にテレビなどで露出すればするほど、当然それは大きな影響力を持っていたのです」

 夏になれば『お昼のワイドショー』(日本テレビ/1968〜1987年)の「怪奇特集!!あなたの知らない世界」など多くの心霊番組が放送され、心霊写真ブームも起こった。だが社会的なブームは平成に入り、徐々に下火になっていく。

「平成」はUFO研究と陰謀論が結びついた時代

 そんな中、『ムー』は果敢に多くの世界の謎に挑戦してきた。『ムー』が扱ってきた内容の中でも象徴的なUFO問題について「平成」を語ってもらった。

「平成に入ると、UFO研究と陰謀論が結びついていきます。その前に基礎知識としてお話しますと、60、70年代は異星人にしても映画『スター・ウォーズ』(1977年〜)のように様々な宇宙人のバリエーションがありました。ところが映画『未知との遭遇』(1977年)以降は、「グレイ」と呼ばれる身長が低くて頭が大きく、体毛がない姿がメインになります。さらに70年代後半から80年代にかけては“アブダクション”…すなわち、異星人にさらわれ人体実験やインプラントをされるケースが報告されてくる。これにより、80年代の半ばから、『政府が何か隠しているんじゃないか』という陰謀論が台頭してくるのです」

 そのきっかけとなったのは1947年にUFOが墜落した「ロズウェル事件」の詳細が80年代に表へ出てきたこと。しかも、これに合わせたようにUFOに関連する政府の機密文書なるものが次々と世に出てくる。

「80年代末から90年代にかけて今度は『エリア51』という言葉が出てくる。アメリカ空軍によって管理されているネバダ州南部の一地区ですが、ここでアメリカ軍が極秘にエイリアンテクノロジーを手に入れ、地球製UFOを開発しているというのです。基本的に、UFO問題は軍事問題に行き着きます。未確認飛行物体というのは領空を侵犯する存在であり、国家の安全保障にかかわる重大な案件なのです。軍事問題ゆえ、情報はすべて管理され、操作されるもの。危険な軍事機密は巧みな情報操作によってミスリードされ、最終的にUFOは荒唐無稽なものであると大衆に思わせるのです」

 三上氏によれば、ある意味、UFOは軍事問題であり、超能力は政治問題、心霊は宗教問題、UMAだと環境問題であるという。「なので、『ムー』が扱うテーマをオカルトだと一言で言ってしまうと、その本質が見えなくなる」と三上氏は念を押す。

本当にヤバいものは、敢えて荒唐無稽な方向へ情報操作されている

 また90年代半ばからはインターネットが急速に発展していく。これにより、UFO問題や都市伝説などについての多くのwebサイトが乱立し、さらにこの手の話題は細分化されていくことになる。新聞や雑誌などの、昔からあるメディアに頼らなくても個人がSNSなどで発信できる時代となった…というのは誰もが感じるところだろう。

 時代は「令和」に突入、今では、映像や画像の加工も簡単に出来、誰でもいつでもどこでも情報を発信することができる。そういった中で、真偽が分からない陰謀論や都市伝説、いわゆるオカルトネタは氾濫。また、フェイク動画やフェイクニュースに至っては社会問題ともなっている。これに振り回されないためにはどうすればいいのか。

「本当のことなんて誰も分かりません。そもそもこれだけフェイクニュースがあふれている中で、「これが本当だ」と言えば言うほど嘘くさくも思えませんか? 本当らしいものこそ嘘かもしれない。逆に嘘っぽいものの中に真実がある。UFO問題もそうですが、本当にヤバいものは、敢えて荒唐無稽な方向へ情報操作されていく流れがある。『ムー』には、これらの情報の見方が多く記されています。提出された情報を読者がどう判断していくか、偽情報だとしてもそこには何かしらの真実が潜んでいるのではないか。おそらく成熟した『ムー』の読者は、そうした読み方をしていると思います。なので、ぜひ『ムー』を読んでみてください(笑)」

 過去には故・宜保愛子さんや矢追純一などアイコン的な存在も多かった。「平成は江原啓之さんや美輪明宏さんなどスピリチュアル界の人などが活躍した時代。『ムー』的には令和に入っても是非、アイコン的な方が出てきてほしいですね」と三上氏。令和の『ムー』的話題では、どんな話題や人物が登場するのか、楽しみに待ちたい。

(取材・文/衣輪晋一)
『サンシャイン60展望台 天空の未確認展 SUPPORTED BY ムー』
期間:2019年6月7日(金)〜7月7日(日)
場所:SKY CIRCUS サンシャイン60展望台
ビッグフットなどの未確認生物、UFOに関する記事や読者投稿写真を展示。『巨大ネッシー』を描き下ろしたフォトスポットなども登場。

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