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タコ型から人型、さらには憑依型まで 時代とともに変化する宇宙人像

  • 時代とともに変化する宇宙人の容姿 写真は映画『宇宙人ポール』

    時代とともに変化する宇宙人の容姿 写真は映画『宇宙人ポール』

 昔から映画やアニメ、ゲームなどで欠かせないキャラクターである“宇宙人”。その姿といえば、『未知との遭遇』や『宇宙人ポール』に登場するような、頭と目が大きくてあごが小さく、鼻がない銀色の生物から、爬虫類の怪物のようなクリーチャー型までルックスのバリエーションもさまざま。また、今年公開された邦画『散歩する侵略者』のように、姿や形がなく人間に憑依するものあり、その能力や生態にもいろいろあるのだ。われわれの“宇宙人像”は、時代とともにどのような変遷をたどっているのだろうか?

宇宙人=ヌメヌメしたタコ型 気持ち悪さが伴う初期の宇宙人

 一般に世間に確立した宇宙人のルーツといえば、1897年にH・G・ウェルズが執筆したSF小説『宇宙戦争』に登場する火星人型=“タコ型”のスタイルだろう。『宇宙戦争』はラジオドラマから同名映画(1953年)に発展し、1996年の映画『インデペンデンス・デイ』の元ネタともなり、2005年にはスティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演でリバイバル映画化までされるにいたる。

 こうして時代をまたいだ“メディア展開”によって、どことなくヌメヌメした“タコっぽい”宇宙人のイメージはひとつの“フォーマット”となり、それは気持ちの悪い生き物の宇宙人像の系譜として、1979年の『エイリアン』、『遊星からの物体X』(1982年)、『プレデター』(1987年)へと受け継がれ、“クリーチャー”という名でも知られるようになる。

親人間派の出現により徐々に人間型へ 姿かたちは無機質なものへと変化

 一方、多くの人にとってメジャーな宇宙人像といえば、頭と目が異様に大きく体の小さい銀色の生物だろう。重力への抵抗から無駄を削ぎ落した“人間の進化した姿”的な、いわゆる“グレイ”と呼ばれるタイプだ。このスタイルが世界に浸透したのは、1947年に起きた「ロズウェル事件」で報道された“宇宙人の写真”のわけだが、特に日本では1970年代にオカルトが流行し、当時の日本テレビのプロデューサー・矢追純一氏が次々と手掛けたUFO番組によって、多くの少年少女の頭に刷り込まれている。このグレイ型の確立によって、宇宙人はヌメヌメしたクリーチャーから、人工的で無機質な二足歩行のものへとイメージが変わっていくのだ。そして性格的にも、クリーチャー型の攻撃性、グレイ型の無感情から、より人間味を帯びた親・人類型へと移っていくのである。

 1977年に公開された『未知との遭遇』では、それまで描かれなかった人間に友好的な宇宙人が登場。地球を侵略する“敵”というイメージに変化をもたらした。さらに『E.T.』(1982年)となると、宇宙人はもはや反・人類=恐ろしい侵略者などではなく、親・人類=地球人に興味を抱くよき先輩格とでもいうような、アドバイスを施してくれる優しい生物となるのである。宇宙人と地球人が指と指を合わせて心を通わせる有名なシーンは、当時の誰もが真似をした。

“笑える宇宙人”も出現 形の変貌とともに性格も多様化

 こうした人間とコミュニケーションをとる親・人類型の宇宙人は、キアヌ・リーブス主演版の『地球が静止する日』(2008年)や『アバター』(2009年)、『宇宙人ポール』(2011年)へと活躍の場を増やしていく。実際、『メンインブラック』(1997年)や『ハワード・ザ・ダック』(2009年)のようなコメディ色の強い“笑える宇宙人”の映画は、それまでの怖い未知の存在というイメージのままでは決して生み出され得なかったジャンルだろう。

 そして今では、地球を侵略する凶悪なクリーチャー型ばかりだった“宇宙人シーン”は、定番のグレイ型のイメージもしっかり保持しながら、人間と仲良くしたり助けたりする感動系・コメディ系も混在するようになり、さまざまなタイプの宇宙人が人類と“共存”する世界になってきているのである。果たして我々が抱く宇宙人のイメージは今後どのように変化していくのだろうか? 科学の進歩や新たな“歴史的発見”次第では、現状では想像も出来ないような“形態”になっているかもしれない。

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