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平成の“働き方”見つめ32年『サラリーマン川柳』が果たした役割とは?

『叱らずに 育てた部下に 怒鳴られる』、IT革命とハラスメント問題で上下関係に変化

  • サラリーマン川柳

    第14回 1位作品

  • サラリーマン川柳

    第17回 1位作品

 景気に左右される一方、上司・部下の関係性にも大きな変化が起こったと分析するのは宮田さん。

 「2000年前後で、上司と部下の立場の逆転が起こったように思います。2000年くらいまでは、上司が仕事のできない部下を叱る…といった句が多かったのですが、IT革命によって様相がガラッと変わったんです。職場にパソコンが導入されたことで、部下が上司に教えるという構図や、使い方がわからない上司を揶揄する内容が増えた。『ドットコム どこが混むのと 聞く上司』(2000年第14回)などがそうですね。

 さらに2000年代後半になると、『叱らずに 育てた部下に 怒鳴られる』(2011年第25回)など、パワハラやセクハラなどが問題になったことで、“部下に気を遣う上司”の句が増えました。職場の上下関係の構図が変わったことに驚きます」(宮田さん)。

 また近年では、『イクメンと 乗せられ今や 家事すべて』(2010年第24回)など、女性の社会進出、家事のシェア、イクメンなどのキーワードが増加。「各社でAIの導入が行われ、自分の居場所がAIに奪われる不安を詠んだ句が増えてきたのも、最近の傾向です」(山本さん)。一方で、東日本大震災に見舞われた2011年には『災害を 心の絆で 助けあい』(2011年第25回)、『家にない 絆を求めて ボランティア』(同年)など、「家族や周囲の人との絆を詠んだ句が増えた」という。

嘆きを笑いに変える日本人の強さ、「SNSと同じで共感をシェアするツール」に

 景気や業績、会社と家庭の人間関係など、とかく悩み多きサラリーマン。“サラ川”には世間の荒波にもまれた人々の愚痴や嘆きが反映されているが、それを時事ネタなども絡め、笑いに変えているところが特徴だ。「嘆きをユーモアに変える前向きさや柔軟さ、強さが日本人にはあるのでは」と、多くの句を見てきた山本さんも語る。

 昭和から平成、激動の社会を生き抜いてきた人々にとって、“サラ川”が果たした役割とはなんだろうか?

 「サラリーマン川柳とは言っていますが、アルバイトや主婦の方など、働くすべての人が対象だと思っています。そんな中での“サラ川”の役割と言えば、共感をシェアするツール、といったところでしょうか。『自分も同じことを経験した』『気持ちがわかる』といった声をいただくこともありますし、句を読んで溜飲が下がる方、笑ってくれる方もいるでしょう。SNSと同じで、それぞれの思いをシェアするツールとして活用していただき、少しでも元気になっていただけたら嬉しいです」(宮田さん)

 実際、主催する第一生命保険の“本業”としても、“サラ川”は役立っているそうだ。「わが社では全国4万人の営業員が、フェイス・トゥ・フェイスでお客様に役立つ情報をお届けしているんですが、“サラ川”はその際のコミュニケーションのきっかけにもなっています」(山本さん)

 「現在は川柳ブームでもあるので、20代30代の方の参加を増やしていきたい」(山本さん)、「サラリーマンに限らず、特別企画も増やしていきたい」(宮田さん)と、展望を語る“サラ川”担当の二人。平成が終わり令和に突入したが、今後も『サラリーマン川柳』は人々の思いを乗せ、日本中で笑いと共感を生むことになるだろう。

(文:今 泉)

■『サラリーマン川柳』公式サイト(外部サイト)

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