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カニ缶に鮭缶も…“缶詰リング”にSNS賞賛、作者明かす “駄美術”の信条「ゆるさが大事」
カニ缶を縮小して指輪にした“缶詰リング”、Twitterで「欲しい」の声が殺到
ふじわらさん2007年に「かに」をテーマにした展覧会をしたときに、「かに缶リング」という作品をつくったんです。そのときはラベル部分を自分でデザインして架空のかに缶をつくったのですが、デザインがいまいちだったので、今回既存の商品のラベルをそのまま縮小させてもらってつくってみました。
――指輪の素材や作り方を教えていただけますか?
ふじわらさん素材は樹脂に塗装したものです。作り方は、まず形状を決定して3Dモデリングし、3D出力したものを型取りして樹脂で複製します。磨いて塗装、というところまでがベースの指輪部分で、ここから既存の缶詰を買ってきてラベルの縮小作業に入ります。紙のラベルだと剥がして平面にして縮小できますが、缶自体に印刷が入っているものは22.5度ずつ回転させて撮影した画像をつなぎ合わせてラベルを作りました。
――指輪の絵柄として、フルーツ缶ではなく鯖缶とカニ缶を選んだ理由は?
ふじわらさん缶詰らしいもので、形状が指輪に近いものを選びました。フルーツ缶は縦長のものが多いので……。
――SNSでたくさんの反響がありましたが、それについてのご感想は?
ふじわらさん楽しんでもらえたようで本望です。
「お菓子の中に駄菓子があるように、美術の世界にも”駄美術”があってもいいのでは」
――こうした“駄美術”への発想力はどこから得ていますか? また、初期の頃と今を比べて、作品に何か変化はありましたか?
ふじわらさん他の作家さんの展覧会を見たり、テレビを観たり、いろいろ見ることです。「俺ならもっとこうするのに……」と思ったりすることがきっかけになったりしています。(昔と今を比べると) 昔の方が単純に大きい作品が多いですね。
『ワイドナショー』(フジテレビ系)の小道具「ぐれダルマ」など、平成の笑いに貢献
さらに、シンガポールの「マーライオン」、コペンハーゲンの「人魚姫」、ブリュッセルの「小便小僧」という”世界三大がっかり有名観光地”を合体させたオブジェ「がっかりトリプル」や、人類最大の謎といわれるナスカの地上絵を模った蚊取り線香「ナスカの夏、ペルーの夏」、鯉のロカビリー歌手が演奏するたびに本物の鯉が寄ってくるという「KoiのRock 'n' Roller」(2017年、神戸で開催された「六甲ミーツアート大賞」にて準グランプリを受賞)も。いずれもクスッと笑える”脱力系アート”のオンパレードである。
そんなふじわらさんに今後の目標を聞いてみると、「駄美術を見てものづくりを始めました!という作家が出てくることですね。」と野望を語ってくれた。
GWに金沢で開催される個展「帰ってきた 駄美術百万石」展では、以前Twitterで拡散された「スタッフロールが流れ始めると すぐにスマホをいじるやつ」や「会社のシュレッダーに額縁つけました」「カリオストロの城の指輪」など、約140点の作品が展示される予定。平成に始まり令和に終わる”元号またぎ展覧会”に注目したい。
現代美術二等兵個展「帰ってきた駄美術百万石」
・会期:2019年4月27日(土)〜5月6日(月・祝)
・時間:10:00〜18:00 最終日17時まで。
・会場:しいのき迎賓館 石川県金沢市広坂2-1-1