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「ピンクは脳に美味しいんです」 閑静な住宅街に突如現れるピンクの館『あさくら画廊』オーナーを直撃

「ピンクは脳に美味しいんです」 閑静な住宅街に突如現れるピンクの館『あさくら画廊』オーナーを直撃

 『あさくら画廊』、それは静かな住宅街に突如として現れるピンクの館――。東武スカイツリーラインの竹ノ塚駅から15分ほど歩いた場所にある画廊で、鮮やかなピンクに塗られた大量の作品群が乱雑に展示される外観は、生活感ある近隣住宅とのギャップも相まって異次元の様相を呈している。果たして、この画廊のオーナー・辻修平氏とはどんな人物なのか。画廊のコンセプトは? そしてどんな生活を送っているのか。

バス・トイレ完備の自宅兼画廊 林家ペー・パー夫婦もビックリ!! 目に映るすべてのものがピンク

ドアを開けて入った1階は作品の展示スペース&生活空間。「土足でいいですよ」と入れてもらった先はすべてピンクで彩られており、導線以外は足の踏み場もないほど。天井にはラムネ菓子のボトルが貼り付けられているが、一部ピンクに塗られてないものも。「貯まったらまたピンクに塗ろうと思ってるんです」と解説するのはオーナーの辻氏。清潔感のある坊主頭に、メガネの奥の鋭い目つきが印象的な41歳の男性だ。

 辻氏はこちらで生活しているらしく浴室も完備。だが浴室には頭に日本刀を刺されて流血するぬいぐるみが鎮座しており、「使う時は取り外します。翌日、水滴が乾いたらまた設置し直します」と、かなり手間を掛けているようだ。階段を登った2階は作業スペース&「朝倉天主堂」と呼ばれるくつろぎスペース。目に入ってくるもののほぼすべてがピンク。すべて自らの作品だという辻氏は一体、何を考えながら日々を過ごしているのだろうか?

影響を受けたのは草間彌生 InstagramやTwitterからインスピレーションも

 辻氏に『あさくら画廊』のコンセプトについて聞いてみた。「色んな人に聞かれて考えたこともあったんですけど、ピンクって脳においしい。そのピンクでぐちゃぐちゃにしたいという想いがあって。それがコンセプトですかね」(辻氏)

 辻氏が絵に興味を持ち始めたのは幼少期。学校の図画工作の授業が好きで、点数は小中学校とずっと満点。東海大学の付属高校に通っていたためエスカレーター式で大学に入学したそうだが、通学に片道3時間かかることから1年で断念。東京藝術大学入学を目指し、3回受験するも一次も受からず。そこで友達と駄菓子屋をやろうと考えたが、駄菓子問屋の店主に「若いのに何やってんの」と怒られ、父方の祖母“朝倉さん”が老人ホームに入ったことで空き家になった祖母宅へ引っ越し、『あさくら画廊』が誕生した。

 とくに影響を受けたアーティストは草間彌生氏。ほかゴッホやピカソ、モディリアーニやミロ、バスキア、キース・ヘリング、ウォーホールなどから影響を受けており、観たアニメのセリフや本のタイトル、歌の歌詞など、インスピレーションを受けた言葉も作品として貼られている。以前はファッション誌からもイメージを得たり作品にしていたりしていたそうだが、最近はInstagramやTwitterで見ず知らずの女子高生が呟いている言葉などからも素材を持ってきている様子。辻氏にとっては目に映るもの全てがアートとなり得るのだろう。

アーティスト活動の根底にはラップの“サンプリング文化”が影響

 「実はラップ…ヒップホップ文化が好きで、そこだけはどんどん掘っていきました。ラップのサンプリング文化がすごい好きなんですよ。レコードをサンプリングしてコラージュする。あの感覚と俺の絵は似ている。いろんなところから持ってきて一つの作品にする。そこから無意識に影響を受けているかもしれません」(辻氏)

 1ヶ月の訪問客は10数人ほど。絵を買って行ってくれる人は月に1人か2人で月4万円ほどの収入で生活をしているという。

 お客さんの一番嬉しかった言葉は、大阪から来た女の子の「かわいくて骨が痛い」。その言葉の意味は辻氏にもよく分からなかったらしいが、確かに「骨が痛いほどかわいい」というニュアンスは究極の褒め言葉のように思えなくもない。

 「夢や目標はここにある作品が全部売れて、次のもっと広いアトリエへ移動すること。そのためにも有名になりたいという想いもなくはない。今の状態から抜け出したいので。…僕は自分が作った作品をすごいとは思わないんです。書いて自分が満足したら終わりで、すぐ次に行くんです。二週間以上同じ作品に関わっているのはイヤなんです」(辻氏)

 そんな彼は独身。結婚相手に求めるのは「インスピレーションが湧くようなかわいい子」だそうだ。『あさくら画廊』にあるものは作品から家そのものも購入することができる。一度あなたも、この異次元空間を味わってみては如何だろうか?

(文・衣輪晋一)

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